トラブル回避にも活用できる!権利をあげる相続分譲渡

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相続分譲渡

面倒な遺産争いを避けるため、相続分譲渡を考えているけれど、どのように行ったらいいのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?

自分が持っている相続分の権利を他の人に譲り渡すことを「相続分譲渡」といいます。
「聞いたことがある!」なんて思った方もいるかもしれません。

似たようなもので相続放棄という制度がありますが、それぞれの内容には所々で違いがあるので、混同しないように注意が必要です。

ここでは相続分譲渡の特徴や、譲渡を行うために覚えておくべきポイントについて説明します。
争いごとを避けて、円滑に相続を進めるための参考として、是非ともご一読ください。

1.相続分譲渡の特徴について

遺産分割による問題を回避し、相続をスムーズに行うための方法の1つが相続分譲渡です。

しかし、債務をまぬがれるために権利を手放したいのであれば、相続放棄という別の手続きを行わなければなりません。
相続分譲渡と相続放棄の違いについてもしっかりと押さえておきましょう。

1-1.相続分譲渡とは

相続分譲渡とは、自分が持っている相続分の権利を他の相続人や第三者に譲渡することです。
相続分そのものを譲渡することになるので、正の財産だけではなく、負の財産を譲渡することができます。

相続による遺産分割は、長い時間がかかってしまったり、親族間でのいさかいの元になったりする場合が少なくありません。
「できるだけ早く相続を終わらせたい」「争いに巻き込まれたくない」という時、問題を回避するための手段の1つとして行うのが相続分譲渡です。

また、相続分の権利の一部だけを譲渡することも可能となっています。

1-2.相続分譲渡と相続放棄の違い

相続によって生じる債務を免れるために、相続分譲渡を行おうと考える人もいるかもしれません。
しかし相続分譲渡では、債務を完全に免れることはできません。

相続分譲渡と相続放棄の大きな違いは、この「債務の支払い義務から免れることができるかどうか」という点にあります。
債務を回避したいのであれば、家庭裁判所に申立てをして相続放棄を行わなければいけません。

2.相続分を譲渡するためには

譲渡は他の共同相続人の同意を得なくても行えます。
しかし、後になって相続の問題に巻き込まれるリスクを防ぐために「相続分譲渡証書」という書類を作成し、保管しておくことをおすすめします。

相続分譲渡証書の書式は、以下の書式を参考にしてください。

相続分譲渡証明書

参考元:http://ja-saitamamizuho.or.jp/info/legal130108.html

しかし、相続分を譲渡したあとは第三者が相続に参加する可能性があるため、譲渡をする人は相続人全員に通知をしなければいけません。
そのための方法としては「相続分譲渡通知書」という形で、書面にして伝えるのが一般的です。

相続分譲渡の通知は、配達証明付き内容証明郵便で行うようにしましょう。

3.相続分譲渡の注意点

相続分譲渡を行うためには、タイミングを守ることが大切です。
また、相続分を譲渡したことによって生じるトラブルや、課税のリスクに対応するためにも、相続分を取り戻せる制度や税金が発生するケースがあることを覚えておいてください。

3-1.相続分譲渡は遺産分割の前に!

相続分譲渡は遺産分割のトラブルを避けることがおもな目的なので、遺産分割の前に行わなければ効果がありません。
相続分譲渡をしたいと考えている人は、必ず遺産分割が始まる前に通知を行ってください。

3-2.相続分譲渡にかかる税金

無償で行う相続分の譲渡に関しては、税金が課せられることはありません。

しかし相続分譲渡には「相続分の譲渡と引きかえに●●●円を受け取る」などの形で、有償で行われるケースもあります。
その場合は、相続分譲渡の対価として受け取ったお金などは相続税の対象となります。

逆に対価を支払った側は、支払った金額が相続税の財産となる金額から差し引かれることになります。

3-3.「相続分の取り戻し」とは

相続分譲渡には、相続人がそれまで共同相続人に加わっていなかった第三者に譲渡を行う場合もあり得ます。
しかしこの方法をとると、第三者が新たに分割協議に参加することになるので、遺産分割がさらにややこしくなってしまう可能性もあります。

こうした問題を避けるために、他の共同相続人は譲渡された相続分を取り戻すことができます。
これが「相続分の取り戻し」です。

相続分を取り戻すためには、譲渡された相手に対して相続分の価格や費用を返還しなければいけません。
また、この手続きは相続分譲渡が行われてから1ヶ月以内に行うことも条件となっています。

4.まとめ

相続分譲渡は裁判所への申立が必要な相続分放棄よりも手続きにかかる手間が少なく、手早く相続の問題から離れたい人にとってはうってつけの手段であるといえるでしょう。

しかし、相続の譲渡だけでは債務から逃れたことにはなりません。
完全に負担を回避できる制度ではないという点も覚えておきましょう。

また、他の共同相続人に対して通知を行うことも忘れてはいけません。
相続は自分だけの問題ではないことを理解して、その後の相続が円滑に行われるための配慮を忘れないようにしましょう。

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