相続手続きを進める上で、「相続関係説明図」というものが必要になることをご存じでしょうか?
また、聞いたことはありませんでしょうか?
なんだか名前だけ聞くと、難しい書類の様に感じられるかもしれません。
相続関係説明図は、相続手続き上で作成する書類です。
では、相続関係説明図とは具体的にどんな書類なのか?必要なのか?自分で作ることは可能なのか?法定相続情報証明制度との関係は?
今回は、相続関係説明図についての解説と、様々なパターンに応じた相続関係説明図の見本について、ご紹介させていただきます。
相続手続きが必要な方は、是非ご参考にしていただけますと幸いです。
1. 相続関係説明図とは
相続関係説明図とは、被相続人(亡くなった方)と相続人(財産を受け取る方)との関係性を図で表した、簡単に言うと家系図の様な書類です。
相続関係説明図は、被相続人と法定相続人の関係を表したものになりますので、仮に遺産分割協議で財産を相続しなかった相続人がいたとしても、その相続人も含めて作成します。
2.相続関係説明図は必要なのか?
相続関係説明図は必要なのかといいますと、必ず必要という訳ではありません。
ですが、作成しておくと有利な点があります。
① 法務局への大量の戸籍のコピー提出を免れる点
これは、法務局へ相続登記の申請等を行う際に、複数枚に渡る戸籍謄本(特に被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍)を提出する必要があります。
その際に、相続関係説明図がない場合には戸籍謄本の原本を確認してもらった後にコピーを提出する必要がありますが、相続関係説明図を提出すれば戸籍のコピーを大量に用意する必要はなく、原本も還付してもらえます。
② 相続関係が一目で明瞭に分かる点
相続関係説明図を作成することによって、相続利害関係者の関係がすぐに分かる為、相続手続きを進めていく上ではあった方が何かと便利です。
以上、上記の2点が挙げられます。
また、法務省が2017年5月からの運用目指し、相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」(仮称)を新設すると発表しました。
現在では、相続人が不動産登記の変更や銀行口座の解約手続き等を行う場合に、各地の法務局や金融機関に下記の書類を揃えて提出していました。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の現在戸籍
・相続人全員の住民票の写し
・遺産分割協議書(遺産分割協議で相続した場合)
・相続人全員の印鑑証明書
ですが、新制度は相続の1人が全員分の本籍や住所、生年月日、続柄、法定相続分等を記載した「関係図」を作成し、相続人全員分の戸籍と、被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えて法務局へ提出します。
法務局で内容の確認が取れますと、作成した「関係図」を法務局の方で公的な証明書として保管し、その写しを交付してもらえます。
この写しが交付されれば、今後はその書類を以て手続きが進められる為、その後の手続きが以前に比べてとてもスムーズになります。
3.相続関係説明図は自分で作れるのか?
3-1.必要書類
相続関係説明図を作成するにあたって、これらの情報を調べる必要があります。
<被相続人>
氏名・出生日・死亡日・最後の本籍・最後の住所・登記簿謄本上の住所
<相続人>
氏名・出生日・現在の住所
上記の情報を調べる為に、以下の書類を取得しましょう。
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・被相続人の最後の住所を証明する住民票(除票)または戸籍の附票
・被相続人名義の不動産の登記簿謄本(複数ある場合には全て)
・相続人の戸籍謄本
・相続人の住民票
3-2.作成の手順
相続関係図は、作り方が法律で定められている訳ではありません。
用紙の大きさについても指定はありませんので、A3でもA4でも構いません。
法律で定められていないとはいっても、ある程度の定型がありますので、大まかなポイントをご紹介いたします。
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4.相続関係説明図の見本(パターン別)
4-1.配偶者と子の場合
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4-2.子のみの場合
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4-3.配偶者と兄弟姉妹の場合
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4-4.兄弟姉妹のみの場合
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