これで完璧!成年後見制度を1から徹底解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

最近ニュースや新聞で「成年後見制度」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

近年では、平均寿命は延びていても実は健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)はそこまで延びていません。

そのため、ご家族に認知症などの方がいる方も多くなっていることから、最近では成年後見制度を活用する方も増えているのです。

でも単語だけ知っていても、誰が、どんな時に、どうやって使うのかがわからない方も多いと思います。

そこで今回は、成年後見制度について一から細かくご説明します。

表を使いながらわかりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

1.成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や精神障害などによって判断能力が不十分な方々が不利益を受けないために、家庭裁判所に申請してその方々を保護または支援してくれる人(成年後見人)を付ける制度です。

例えば、認知症の高齢者が悪徳な訪問販売者から必要のない高額商品を買ってしまったとしても、成年後見人がついていればその契約を無効にすることができます。

このように、高齢化が進み認知症の方が増えている現代では、とても必要とされている制度だと言えます。

2.成年後見制度の種類

下の表をご覧下さい。

図1

成年後見制度には2つの種類があります。

「法定後見制度」と「任意後見制度」です。

法定後見制度は判断能力が実際に衰えてから行うことができ、任意後見制度は判断能力が衰える前から行うことができます。

成年後見制度とはこの2つの総称です。

さらに法定後見制度は、判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。

下の表をご覧下さい。

図2

表を見てわかるとおり、全体的に見て、成年後見制度を利用する人が年々増えています。

中でも飛びぬけて多いのが、法定後見制度の「後見」です。

後見は判断能力が喪失しているという種類ですので、成年後見制度を利用しないとできないことが多いという方に利用されています。

2-1.法定後見制度

法定後見制度は、既に判断能力が低下している(認知症など)場合に行うものです。

家庭裁判所に申請し、家庭裁判所に後見人を選んでもらうことで制度が利用できます。

また、家庭裁判所が必要だと判断した場合は、法定後見監督人も選任されます。

ただし、一度法定後見制度を始めると、本人の判断能力が回復するか本人が死亡するまで制度は続きます。

申請する時は周りの人とよく話し合って、計画的に行いましょう。

下の表は法定後見制度についてまとめたものです。

図3

2-1-1.後見

■判断能力の低下程度が【重度】

「後見」では、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力を欠く状況にある人を支援します。

常に自分で判断して法律行為をすることはできないという場合です。

この支援する人は「成年後見人」と呼ばれ、支援される人は「成年被後見人」と呼ばれます。

後見の場合は、本人の同意なしに申請することができます。

また、大きな特徴として、例えば預金の引き出しなどの手続きを本人の同意なしで代わりに行うことができるのは後見のみで、保佐・補助の場合は本人の同意が必要になります。

ただし、この場合、預金の引き出しについて本人の同意のもと代理権が付与されれば、その後は本人の同意無しに引き出すことができます。

反対に、本人が預金の引き出しを行う場合には保佐人・補助人の同意が必要です。

2-1-2.保佐

■判断能力の低下程度が【中度】

「保佐」では、精神上の障害によって判断能力が特に不十分な人を支援します。

簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項については援助してもらわないとできないという場合です。

この支援する人は「保佐人」と呼ばれ、支援される人は「被保佐人」と呼ばれます。

保佐の場合は、本人の同意なしに申請することができます。

2-1-3.補助

■判断能力の低下程度が【軽度】

「補助」では、精神上の障害によって判断能力が不十分な人を支援・保護します。

大体のことは自分で判断できるが、難しい事項については援助をしてもらわないとできないという場合です。

この支援する人は「補助人」と呼ばれ、支援される人は「被補助人」と呼ばれます。

補助の場合は、申請するのに本人の同意が必要です。

2-2.任意後見制度

任意後見制度は、まだ判断能力が十分ある時に、あらかじめ自分を支援してくれる人(任意後見人)を自ら指定しておき、その人にどこまで支援してもらうかの内容を決めておくことができます。

この場合は公正証書を作成する必要がありますので、公証役場に行くかあるいは公証人に出張してもらう必要があります。

その後、実際に判断能力の低下が見られ後見開始となった際は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、本人が指定した任意後見人がきちんと後見人の仕事をしているかチェックします。

2-3.後見監督人

法定後見でも任意後見でも、成年後見人が仕事を怠ったり不正をしたりしていないかをチェックするために、原則的に「後見監督人」という人が選出されます。

これは家庭裁判所によって選出され、後見の種類によって「成年後見監督人」「保佐監督人」「補助監督人」「任意後見監督人」と呼ばれます。

後見監督人が選出されるかどうかは「家庭裁判所が必要だと判断した場合」という基準のため、裁判所の判断によることが多いようです。

相続についてまだ不安が…そんな時は無料でプロに相談しましょう

大切な人がお亡くなりになると、悲しむ暇も無いほど、やることがたくさんあります。
何をどうやってどれから進めれば良いのかわからなかったり、余計な手間や時間、支出を避けたいと思っている方は多いと思います。

そう思われる方は「お金の知りたい!」がオススメする税理士を無料で紹介してくれるサービスを是非ご活用ください。
相続税申告の経験豊富な全国の税理士がしっかりとお話を伺い、スムーズな相続のお手伝いをいたします。

相続税申告での信頼できる税理士はこちら

相続用