もし相続が発生したら、どのくらいの資産があると相続税が課税されるのか、いくら相続税を払わなければならないのか、気になっている方もいるのではないでしょうか?
実際にどのくらいかかるのか、相続税の計算方法を知っていれば、目安がわかってとても便利ですよね。
そこで、今回は相続税の計算方法を説明するとともに、どのくらいの資産を有していると課税されるのか、ご説明いたします。
1.相続税の計算方法
相続税とは、資産を所有している人が亡くなったとき、資産を引き継ぐ人の立場により、引き継ぐ資産に課税される税金です。
課税額の算出方法を説明します。
①相続資産の把握
②基礎控除を引く
③各法定相続人に分配
④課税
順番にポイントを確認してみましょう。
1-1.基礎控除
基礎控除とは「相続の対象になる財産の合計額」から控除する(引く)金額のことをいいます。
相続財産からこの基礎控除を引いた分に対し、各法定相続人に分配のうえ、相続税がかかります。
基礎控除には「定額分」と、「法定相続人の人数による分」の2パターンがあります。
この基礎控除は2015年の相続税改正での変更点の一つです。
改正内容 | 改正前 | 改正後 | 差額 |
---|---|---|---|
定額分 | 5,000万円 | 3,000万円 | 2,000万円 |
法定相続分1人あたり | 1,000万円 | 600万円 | 400万円 |
出典:国税庁資料(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm)をもとに筆者作成。
1-2.法定相続人
法定相続人とは、財産を所有していた人が亡くなったときに、「その人の財産を受け取る権利のある人」のことを指します。
つまり、亡くなった方の奥様やお子様、ご両親、兄弟姉妹が該当します。
法定相続人によって、「受け取る財産の割合」が違います。
下記の表を見てみましょう。
<受け取る財産の割合>
相続人 | 相続の割合 |
---|---|
配偶者1人、子1人 | 配偶者1/2、子1/2 |
配偶者1人、直系尊属1人(両親のどちらか) | 配偶者2/3、直系尊属1/3 |
配偶者1人、兄弟姉妹1人 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 |
子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合にはそれぞれに均等に配分します。
たとえば子が2人いる場合は、子1/2×2人となりますので、1人あたりの子の配分は1/4となります。
2.相続税の税率について
相続税の税率についても、2015年の法改正にて変更されています。
一覧にして確認してみましょう。
今回の改正目的は、多額の相続財産を有する富裕層に対しての、税率の引上げと細分化です。
(法改正されていない1億円未満の税率については割愛します。)
<改正前>
取得分金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1億円超~3億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円超~ | 50% | 4,700万円 |
<改正後>
取得分金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超~ | 55% | 7,200万円 |
※「取得分金額」はすべての相続財産ではなく、1人あたりの法定相続人に配分される財産です。
3.一般的に、どのくらい資産を持っていたら相続税が課税されるのか
以上の計算式から、「これだけ財産を有していたら相続税が課税される」という計算が成り立つと考えられます。
たとえば以下の場合です。