家庭用財産とは、家具、自動車、電話加入権、衣類などがあげられます。家財は、原則的には1個または1組ごとに評価をすることになっていますが、家具や衣類などの家財を一個一個評価するのは骨の折れる作業になります。
そこで、例えば一単位の価額が5万円以下のものについては、一世帯ごとに一括して評価し、それらの家財をまとめて「家財一式」として10万円などとして全体の評価額で提示します。
2-2. 骨董品・美術品
骨董品や美術品も、相続財産に含まれます。その際の評価は、国税庁の定めた評価方法では「鑑定」と定められています。ただし、実際にはわざわざ鑑定をしてもらう必要のある骨董品や美術品は限られたものになってくると思われます。ちなみに、鑑定にかかった費用は相続税の計算上、控除されないので注意してください。
購入時に数十万のものであれば、相続税の計算上、美術品・骨董品ではなく「家財」になります。他の家財と合わせた「家財一式」として相続税の申告書に入れる扱いになります。
2-3. 宝飾品
「形見分け」として被相続人から近親者や友人へ宝飾品が贈られることが見られますが、形見分けとはそもそも金銭的価値にない物を送ることをいいます。もらった宝石などを売るつりがなかったとしても、売った場合にお金になるようなものは相続財産として扱われます。
宝飾品についても、現金や不動産と同じプラスの財産として含まれます。また、高価なドレスや着物、毛皮、アンティーク家具なども相続財産として含まれますので注意してください。
2-4. 生命保険等
生命保険金は、相続財産には含まれません。
生命保険金というものは、保険契約者に支払われるのではなく、指定された受取人等に支払われるものです。したがって、指定された受取人の固有の財産ということになるため、相続財産とはならないのです。
ただし、一定額を超える保険受取額は、みなし相続財産として相続税の計算には含まれるので注意が必要です。
生命保険契約の契約者や受取人をどのように指定しているかによって、扱いが変わってきますので、下記の表をご参照ください。
(父を被相続人とした場合、みなし相続財産に含まれるか否か)
被保険者 | 保険契約者 | 保険料
負担者 |
保険金
受取人 |
みなし相続財産に
含まれるか否か |
備考 |
父 | 父 | 父 | 母 | みなし相続財産 | 母に相続税 |
父 | 父 | 母 | 母 | 含まれない | 母に所得税
(一時所得) |
父 | 父 | 母 | 子 | 含まれない | 子に贈与税
(母から子への贈与) |
被相続人が被保険者の場合、その死亡保険金には、保険料負担者及び保険受取人によって、みなし相続財産に含まれるか否かが異なってきます。
2-5. 祭祀財産
祭祀(さいし)財産とは、祖先のまつりごとを行うために必要なもので、具体的には墓地、墓石、位牌、仏具、神棚、神具、系譜などがあげられると民法では定められています。これらの財産は、相続財産には含まれません。
祭祀財産を相続と同じように複数の相続人の間で分割してしまうと、後々、法要などの祭祀を催す際に支障をきたす恐れがあるとして、相続の対象にはなっていないのです。
民法では、相続財産と祭祀を別のものとして切り離し、その継承者も相続とは別の方法で定めるとしています。
そのため、相続人ではない者が継承者となることも可能です。仮に相続人の中に祭祀継承者がいた場合には、この祭祀財産は相続財産には含まれないため、継承者に選定された人がその分の財産を減らされるというようなことはありません。
2-6. 未払金、未収金
未払金は、相続財産(マイナスの財産)に含まれます。
被相続人の相続が発生した時点で、まだ支払われていない費用などです。具体的には、医療費や生活用品の未払金、公共料金の未払金などがあげられます。また、未納の住民税や固定資産税などです。未収金も、相続財産(プラスの財産)に含まれます。
本来なら被相続人がもらうべきだったお金が、相続後に入金されたとしたら、それは相続財産に該当します。
被相続人の生前に入金されていたのなら、本来は被相続人の預貯金として資産構成されるべきものですが、相続発生時にまだ被相続人のもとに入ってきていないため、預貯金の額の増えていない部分として考えられます。その部分が未収金として相続財産に含まれるのです。この時、たとえ返ってくる見込みがない貸付であっても、相続財産の一部として考えられてしまう為、注意が必要です。
2-7. 名義が異なる財産
相続税の申告が無事に終わった場合でも、自宅に税務調査が入る場合があります。