上記の4パターンのいずれかになった場合、不在者財産管理人の職務は終了します。
不在者の所在が判明した場合には、不在者であった者がそのまま財産を管理します。
不在者が死亡または失踪宣告された場合には、不在者の相続人にその財産が相続されることになります。
また、不在者財産管理人は、不在者の代わりに遺産分割協議を行ったらそれで終わりということではありません。
申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば、上記の様に遺産分割協議のため等)を果たしたとしても、そのまま不在者の財産管理も行わなくてはなりませんので、職務が終わる時までは不在者財産管理人の仕事は続くということになります。
4.失踪宣告
行方不明の相続人が7年経過しても見つからない場合には、家庭裁判所に「失踪宣告」の申立を行う必要があります。
失踪宣告を受けた行方不明者は、法律上、死亡したことになります。
なお、失踪宣告の対象となる者は、以下の2通りです。
① 生死不明になってから7年以上が経過している
② 火災や地震等によって生死不明になってから1年以上経過している
5.まとめ
今回は、相続人が行方不明になった場合の措置として、不在者財産管理人についての概要や申立ての手続き方法、不在者財産管理人の職務や権限等を解説させていただきました。
相続が発生したことをきっかけにして、疎遠だった親族と連絡を取ることになったが、連絡がつかない相続人がいる…等といった場合に、この制度が救済措置になるかと思いますが、遺産分割協議を行う為には、さらにもう1ステップ申立てが必要だったりと、手続きを進めていく上で、時間がかかります。
相続には期限が定められている手続きもありますので、相続発生後に焦ることのないように、連絡が取れない推定相続人がいらっしゃる場合には、今から備えておきましょう。
著者:相続ハウス 栗田千晶 (相続診断士)