その為、裁判所によっても違いますし一概にこうだとは言えませんが、裁判所が選任した成年後見人等の場合は選任されることは少なく、成年後見人等に親族が選任され、本人の保有財産が多額である場合には選任されることが多いようです。
3.成年後見人になれる人・なれない人
3-1.なれない人
法律上、下記の人は成年後見人になることはできません。
・未成年者
・家庭裁判所に解任された法定代理人
・破産者
・被後見人に対し訴訟をし、またはした者およびその配偶者並びに直系血族
・行方不明者
3-2.なれる人
上記の人以外でしたら法律上は誰でもなることができますが、家庭裁判所がその人のためにならないと判断した場合は認められない場合もあります。
そして相続においては、本人と後見人に利害関係がある場合、後見人とは別に特別代理人をたてなくてはいけませんので注意が必要です。
もし本人と後見人が相続人だった場合、後見人が本人の相続分を減らすことで後見人の相続分を増やすことができてしまうからですね。
法律的に後見人になれるからといって安易になってしまうと、後で思わぬ落とし穴がある場合もありますので注意しましょう。
3-3.実際に後見人になっている人
下の表は、実際にどんな人が後見人になっているかをまとめたものです。
1番多いのは子で、これは想像がつく方も多いかもしれません。
注目すべきは、2番目に多いのが司法書士、3番目が弁護士となっており、第三者の方が親族よりも多いということです。
専門家が後見人になることで、もめる可能性は低くなり、スムーズに手続きができるのがメリットです。
4.成年後見人ができること・できないこと
4-1.できること
成年後見人は主に下記のようなことができます。
・財産管理業務…不動産売買、年金受給、保険金請求、遺産分割協議の参加など
・身の回りの契約行為…入院手続き、医療費の支払い、介護サービス契約、施設への入所契約など。
・身の回りの諸手続き…郵便物の管理、確定申告、身体障害者手帳の交付請求手続きなど。
4-2.できないこと
成年後見人は主に下記のようなことはできません。
・身元保証人になること(家族がなることができます)
・手術などの医療行為に同意すること(家族が同意することができます)
・本人の遺言書を作ること
身元保証人や医療行為の同意は、ご家族でなければできないということです。
また本人に遺言能力がなくなってしまった場合、遺言書はどのような方法でも作ることはできません。
4-3.申し立ての動機
下の表は、実際に何を目的として成年後見制度を利用しようと思ったのかをまとめたものです。
預貯金等の管理・解約が最も多く、その次に施設入所等のための介護保険契約となっています。
特に預貯金等は、本人の判断能力が低下していると窓口でお金をおろせない金融機関もありますので、後見人が必要となることも多いのです。
5.費用
5-1.申し立てに必要な費用
申し立てに必要な費用は各家庭裁判所によって違います。
ここでは東京家庭裁判所で提示されている費用を目安としてお伝えしますので、実際の費用は申し立てをする家庭裁判所に確認をしてください。
収入印紙 | 3,400円 |
郵便切手 | 3,200円(後見)または4,100円(保佐・補助) |
※判断能力の不十分さについて鑑定が必要な場合は、別途鑑定費用がかかります。
5-2.後見人に支払う報酬(法定後見の場合)
任意後見の場合は、あらかじめ本人と任意後見人との間で任意に報酬を決めておくことができますが、法定後見の場合は、後見人に支払う報酬は申し立てをした家庭裁判所が決めることになっているので、自分で決めることはできません。
5-1.と同じく、報酬も各家庭裁判所で違うため、ここでは東京家庭裁判所の目安をお伝えします。
基本報酬 | 月額2万円 |
管理財産額が1,000~5,000万円未満 | 月額3~4万円 |
管理財産額が5,000万円以上 | 月額5~6万円 |
ただし報酬は自動的にもらえるのではなく、半年に1回または年に1回の申請をすることで受け取れます。
この報酬申請は義務ではありませんので、家族や親戚などが後見人の場合、この申請をしないというケースもよくあるようです。
6.法定後見制度の申し立てに必要な書類
・申立書(家庭裁判所に行けばもらえます)
・申立書の付票