教育資金の贈与と同様で、贈与する側が認知症になったり亡くなる恐れがある場合、受け取る側は早めにまとまったお金を非課税で受け取ることで、後に受け取れなくなる可能性がなくなります。
デメリット
教育資金の贈与と同様で、この制度を利用するためには金融機関で口座を開設し、そこへ領収書を渡して始めてお金の引き出しを行うことができるので、少し手間がかかります。
そして途中で解約することができず、また、受け取る側が50歳を過ぎた時、使い残した金額があった場合はそれに対して贈与税がかかってしまいます。
受け取る側が亡くなった場合、使い残した金額に対して贈与税はかかりませんが、贈与する側の相続財産となりますので相続税が発生する可能性があります。
ここまでは教育資金の贈与と同じですが、1点違うのが、贈与した側が亡くなった場合には、使い残した金額は贈与した人の相続財産に加算されるということです。
もったいないからといって、もらったお金をあまり使わないうちにお金をくれた人が亡くなってしまうと、そのお金はもう使えなくなってしまうので注意が必要ですね。
3.生前贈与の失敗事例
① 念願のマイホーム購入にあたって住宅取得資金の贈与の特例を使おうと、私は2015年5月15日に祖父から1500万円の贈与を受け、そのお金を頭金に6月1日に契約をしました。
物件の引渡しは翌年2月1日なので、これで非課税になるから大丈夫!と思っていたら、なんと工事が遅れて3月15日までに引渡しができなくなってしまい、1500万円に対して贈与税がかかることになってしまいました・・・。
② 私には3歳と5歳のかわいい孫がいます。
かわいい孫の将来の為に、1,500万円ずつの教育資金贈与を行い、計3,000万円の資産を孫に贈与しました。
しかしそれによって自分の貯金が2,000万円になってしまい、老後は老人ホームでのんびり暮らす予定だったのにできなくなってしまいました・・・。
③私には10歳の子がいて、中学受験に向けて塾に通わせています。
2年前に私の父から子へ、1,000万円の教育資金の贈与を受けました。
先日、塾から参考書を3冊買うように言われたのですが、塾ではちょうど売り切れだったので、同じ参考書が近くの本屋に売っていたのでそこで買いました。
その領収書を持って銀行へ教育資金の贈与を受けようと思ったのですが、領収書の発行元が塾の名前ではなく本屋の名前だったため、お金を引き出すことができませんでした・・・。
※領収書は指導者の名前で発行されたものでないと認められません
まとめ
今回は祖父母から孫への生前贈与についてまとめましたが、参考になりましたでしょうか。
様々な非課税枠があるので迷ってしまうかもしれませんが、お子さんやお孫さんと話し合うことでどれをどのくらい活用すべきかが見えてくるのではないでしょうか。
生前贈与の中でも特に祖父母からの贈与は、認知症や病気のリスクも考えなくてはならず、孫がかわいいからといってやみくもに贈与してしまっては、自分の生活も苦しくなってしまいます。
また、まだ大金を持ったことのない孫がいきなり大金を持つと、金銭感覚を狂わせてしまうこともあります。
節税だから、孫のためだから、といって安易に贈与せず、周りと相談してきちんと計画を立ててから贈与することが大切ですね。
著者:相続ハウス 彼末彩子(相続診断士)