遺す方も遺される方もこれで安心!自筆証書遺言書ガイド

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相続人が複数いた場合、相続人全員に家庭裁判所から連絡があります。検認手続きの日に、遠方にお住まいの相続人がいる、相続人の中に動けない方がいる場合など、検認に立ち会えないこともあるかもしれません。
ですが、検認の立ち会いには相続人全員の出席が必須という訳ではなく、出欠席は各人の判断に任されるため、代表者が1名だけ検認に立ち会うというようなケースでも問題ありません。
全員の日程が合わない場合は、再度日程の調整もできますが、内容確認が遅くなってしまいます。

3-3-2. 検認申立てに必要な書類

①遺言書
②検認申立を行う方の運転免許証などの身分証明書
③検認申立を行う方の認印
④遺言者の住民票除票
⑤法定相続分及び受遺者全員の住民票
⑥遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍謄本
⑦法定相続人及び受遺者全員の戸籍謄本

3-3-3. 検認申立てに必要な費用

① 遺言書1通につき、収入印紙800円分
② 連絡用の通郵便切手(申し立てをされる家庭裁判所により異なります)

3-4.もし遺言書が複数見つかったら日付を確認

亡くなった方の遺品整理をしていたら、金庫と引き出しの中から遺言書が見つかった・・・など、遺言書が複数発見されるケースは珍しくありません。
もし、複数の遺言書を発見した場合には日付の一番新しい物が優先されます。
また、遺言書の種類が違う場合でも同じです。例えば、遺言者が、公正証書遺言書を作成した後に、気が変わって自筆証書遺言書を後から作成していたとします。遺言者が亡くなった後、2つの遺言書が発見された場合、日付の新しい自筆証書遺言書が優先されます。
ですが、2-3でも述べたように遺言書に日付、氏名、押印のどれか1つでも漏れていた場合には無効になってしまいますので、ご注意ください。

4.注意点

4-1.遺言執行者の指定

自筆証書遺言書が遺されていた場合に多いのが、「遺言執行者」の指定がされていなかったケースです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために具体的な手続きを行う人(または法人等)のことです。遺言書の内容によっては、この遺言執行者が必要になってくる、または遺言執行者の方が居た方が手続きがスムーズに進む場合があります。

遺されていた遺言書に、遺言執行者の指定がされていればそのまま遺言執行業務に取り掛かることができますが、指定がされていなかった場合には、相続人全員で手続きを行うこととなり、さまざまな理由でそれが難しい場合もあるかもしれません。その場合には、家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てを行わなければなりません。

そうなると、遺言書の発見⇒検認申立て⇒遺言書開封の後に、更に、遺言執行者選任の申し立て⇒家庭裁判所より遺言執行者に選任された旨の通知が来る⇒遺言執行業務開始という流れになります。

遺言執行者は必ず必要という訳ではありませんが、相続人間での分割が複雑、揉めそうなことが予測されるなど、もしも遺言執行者が必要な場合に指定がされていないと、遺言書の検認手続きからさらにワンステップ手続きの手間と時間がかかってしまいます。

自筆証書遺言書を作成される上で、意外と見落とされがちですのでご注意ください。

4-2.遺言書の保管方法

公正証書遺言書の場合、遺言書原本は公証役場に保管されているため、遺言者が亡くなった際に遺言書の有無を確認することができますが、自筆証書遺言書は違います。

基本的には、個人が保管することになりますので、その遺言書の存在を誰にも明かしていなかった場合、最悪遺言書が誰にも見つけてもらえずに相続人間で遺産分割協議の末、遺産が分割されてしまうこともあります。

せっかく自身の思いをしたためた遺言書が無駄になってしまわないように、親族の誰かや親しい間柄の人など、誰かに遺言書の所在を知らせておきましょう。

5.遺言書の種類

今回は自筆証書遺言書についてご紹介をさせていただきましたが、遺言書には大きく分けて3通りの形式があります。
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詳しくはこちらを参考にしてください。
どれが良い?遺言書の種類/手間と効果と費用の比較

6.まとめ

遺言書といえば一番最初に連想される自筆証書遺言書。ポピュラーなものになってきましたが、手軽に作成できる半面、意外な落とし穴もあります。

いつでも、手軽に、お金をかけずに作ることができるメリットがありますが、形式を誤っていたために無効になってしまった。書き方が曖昧だったために遺された遺言書によって相続人間で紛争になってしまった。などといった事態になる危険も孕んでいます。

今は遺言書を作成される方も増えてきていますので、今回ご紹介させていただいた自筆証書遺言書のメリット・デメリット、書き方のポイントや注意点など、知っておかれると役に立つときが来るかもしれません。

リスクに気をつけつつ、作成していただければと思います。

著者:相続ハウス 栗田千晶 (相続診断士)
監修:銀座中央総合法律事務所 清水 保晴 (弁護士)

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