築30年の一戸建て(評価額2,000万円)所有するAさん。
奥様と2人の子どもがいます。総資産5,000万円の内訳は預貯金2,000円、証券評価額1,000万円です。
このように、相続税を支払う対象となるのは「一戸建て所有の普通の家庭」となります。
計算内訳を詳しく見ていきましょう。
①相続財産5,000万円(預貯金2,000万円、不動産2,000万円、証券1,000万円)
②基礎控除 定額:3,000万円+(法定相続分:600万円×3人)=4,800万円
③相続税の計算 5,000万円(①)-基礎控除4,800円(②)=200万円
この③を法定相続分にしたそれぞれの額に税率を乗じて足したものが、相続税の総額になります。
預貯金2,000万円と証券1,000万円を持つ一般的な家計では、不動産の評価額2,000万円前後だと「相続税がかかる」という計算になります。
上記の計算では相続税がかかるかどうか、可否を示すひとつの根拠となります。
しかし、不動産は時価と評価額という2種類の価格算定方法があります。
また贈与との兼ね合いで、相続の一定程度前に相続人に移動した被相続人からの財産は、「相続財産に加算する」という決まりもあるため、詳しい計算は税理士などの専門家に依頼するようにしましょう。
4.贈与税についてもおさえましょう
贈与税は、資産所有者がまだ生きているときに資産を譲渡する方法です。
生存中に贈与することから、贈与を使用して相続対策を行うことを「生前贈与」といいます。
贈与にも税金がかかり、相続税と同じように最大55%の税金がかかります。
贈与税にも基礎控除がありますが、贈与税の基礎控除は、「受贈者1人あたり年間110万円まで」です。
かつ、贈与税は相続税のような定額控除がありません。
また、相続人1人への集中した財産譲渡を避けるため、「相続開始3年以内の贈与は相続贈与とみなす」という決まりがあります。
先ほど相続のモデルケースでお伝えした「相続資産の計算に追加される可能性がある生前の資産譲渡」のことですね。
この「毎年コツコツ」と贈与することを「暦年贈与」といいます。
毎年110万円未満の金額の贈与であれば、贈与税課税の対象になりません。
長い期間はかかるかもしれませんが、時間をかけて贈与をしていこうという考え方です。
<贈与税の税率速算表>
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm
5.まとめ
相続税の改正内容をもとに、相続税の基本的な計算方法と税額を押さえました。
相続税は一部分ではなく、全体を見たコンサルティングが必要です。
相続税に深いかかわりを持つ贈与税との関連性もしっかり押さえるようにしましょう。
税法の改正点をおさえつつ、相続税改正で盛り上がっている生前贈与まで合わせて考えていくことが大切です。