土地や建物を譲渡したときに、譲渡所得税という特別な所得税を納めなければならない場合があることをご存じですか?
譲渡所得税の税額は、土地や建物を譲渡したときに生ずる譲渡所得の金額をもとに計算し、決められます。
では譲渡所得と譲渡所得税は、どのようにして計算されるのでしょうか?
今回は譲渡をする際に知っておくべき、譲渡所得税の計算方法についてご紹介します。
また譲渡所得税を抑えるための方法として、控除制度も合わせてお伝えしますので、うまく活用して節税効果を狙いましょう。
1. 譲渡所得とは
譲渡所得とは、資産を譲渡したことによって生ずる所得のことをいいます。
どんな資産を譲渡しても発生するわけではなく、資産のなかには譲渡所得の対象になるものと、譲渡所得に含まれず、事業所得、雑所得などの別の所得の対象になるものがあります。
今回は譲渡所得の対象となるものの中でも、土地や建物などの不動産の譲渡所得について、ご説明いたします。
対象になる資産 | ならない資産 |
---|---|
・土地 ・借地権 ・建物 ・株式等 ・特定の公社債 ・金地金 ・宝石 ・書画 ・骨とう ・船舶 ・機械器具 ・漁業権 ・取引慣行のある借家権 ・ゴルフ会員権 ・特許権 ・著作権 ・鉱業権 ・土石(砂) など |
・貸付金や売掛金などの金銭債権 ・新たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得 ・山林の伐採又は譲渡による所得 など |
出典:国税庁ウェブサイト「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3105.htm
2. 譲渡所得の計算方法
不動産の譲渡所得にかかる税金は、事業所得や給与所得といった、ほかの所得と合算せずに、分離して課税をする「分離課税」で計算します。
譲渡所得は土地や建物などの不動産を売却した金額(収入金額)から、購入時の代金や手数料などの取得にかかった費用(取得費)や、測量や解体工事など売却するために支出した費用(譲渡費用)を差し引いて算出します。
計算式は、以下の通りです。
【計算式】
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額
各項目について詳しく説明してきます。
2-1. 収入金額
収入金額とは、土地や建物などの不動産を売ったことによって、買主から受け取った金額のことです。
また、金銭ではなく、代わりに物品や権利を受け取った場合でも、それらの時価が収入金額となります。
2-2. 取得費
取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、資産の取得に要した金額に、支出した改良費や設備費を加えた合計額です。
また、土地や建物の購入時期が古かったり、先祖代々受け継いできたものなどで取得費用が不明な場合や、実際の取得費用が収入金額の5%以下の場合は、収入金額の5%相当額を取得費とすることができます。
例えば、土地を5,000万円で売却した際、取得費が不明な場合、収入金額5,000万円の5%相当額250万円を取得費とすることができるのです。
2-3. 譲渡費用
土地や建物など不動産を売るために支出した費用のことで、以下が該当します。
なお、修繕費や固定資産税など、土地や建物の維持・管理にかかった費用は、譲渡費用に葉含まれません。
・仲介手数料
・測量費
・売買契約書の印紙代
・売却するときに借家人などに支払った立退料
・建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用
など
2-4. 特別控除額
譲渡所得にはケースによって、以下のような特別控除の特例が適用される場合があります。
控除額 | |
---|---|
収用等により土地や建物を譲渡した場合 | 5,000万円 |
マイホームを譲渡した場合 | 3,000万円 |
特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡した場合 | 2,000万円 |
特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡した場合 | 1,500万円 |
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 | 1,000万円 |
農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 | 800万円 |
出典:国税庁ウェブサイト「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1440.htm
3. 譲渡所得税の計算方法
続いて、譲渡所得にかかる税金の計算方法について見ていきましょう。