柔軟な財産管理が可能に!家族信託を活用するための基礎知識

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② 公証役場への手数料として、以下の実費がかかってきます。

[公証証書 手数料]

信託財産の評価額 手数料
1億円以下の部分 1%
(3,000万円以下の場合は30万円)
1億円超3億円以下の部分 0.5%
3億円超5億円以下の部分 0.3%
5億円超10億円以下の部分 0.2%
10億円超の部分 0.1%

(2) 信託監督人をおく場合

受託者のチェック機能として、受託者の暴走を未然に防ぐ為にも、第三者に定期的に見てもらうというものです。

報酬金額は専門家によっても違いがありますが、およそ、月額1万円~のようです。

(3) その他の費用

① 弁護士事務所や司法書士事務所に契約書の作成を依頼するケース
→概ね財産に対して0.1~1.0%の手数料

② 信託財産に不動産がある場合の登録免許税
→ 固定資産税評価額の0.4%(平成31年3月31日まで、土地に関しては0.3%)

③ 信託財産に不動産がある場合の登記手続費用
→ 一般的に固定資産税評価額を基準に報酬算定

3. 家族信託の活用

使い勝手のよい家族信託ではありますが、メリット・デメリットを考慮しながら検討していきましょう。

3-1.メリット

以下のように、その活用方法は幅広いものがあります。

① 委託者と受託者の合意で信託契約書を作成し、受託者は直ぐに財産の管理等を始められます。

② 受託者は、被後見人の財産内容を減らさない方向に力がはたらく成年後見制度(法定後見・任意後見)では不可能な、積極的な内容の財産管理も含め、実行していくことができます。

③ 自分の死後に発生した相続についても、財産を承継する者を指定することができます。

④ 遺言書は書くことに抵抗がある親等も、「今を生きるために財産管理を息子に任せる」という信託は、
「現在の問題」であるだけに、より、受け入れやすいものです。また、「契約」という形にすることによって締結しやすくなる心理的効果も期待できます。

⑤ 遺言書は書き直しや取消しができますが、信託は容易に変更や終了ができないことから作りかえられるというリスクは避けられます。

⑥ 信託には、万が一委託者や受託者が債務を負っても、信託財産は差し押さえられないという機能で守られます。

3-2.デメリット

① 信託契約に不備があると、受託者が勝手に、任せられた財産の売却・処分等を行うリスクがあります。

② 受託者をだれにするか、親族の中や他の機関に依頼する場合に揉める可能性があります。

③ 成年後見人でないとできないことがあります。
認知症になった場合の適切な身上監護(※)等は、法定代理人である成年後見人でなければできなくなります。

※身上監護とは、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する行為です。医療契約、住居に関する契約、施設入所契約、介護契約、リハビリに関する契約などがあります。

④ 実務として行っている専門家がまだ非常に少なく、税務上や法律上不明確な点があります。

4.家族信託の活用の実例

次に、いくつかの事例を見てみましょう。
いずれも、家族信託を選択することで依頼人(委託者)の思いを実現しながら、また残された家族のトラブル等を未然に防ぐことに繋がっていきます。

4-1.事例1:母の認知症に備える

◆背景
母は72歳になるが、夫とは死別しており、不動産を含めた相続財産を持っている。
残された二人の子供は成人し、その内の長女と現在同居中である。

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