相続という分野で限られているので、勉強もしやすかったと思います。
試験問題も、テキストについている演習問題と同じもしくは似たような問題が出ますので、協会から送られてくるテキストとDVDをしっかり勉強することが、合格への一番の近道かと思います。
2. コンプライアンスに基づく業務範囲
相続診断士は専門家ではないので、実際の手続きを行うことはできません。
手続きをする専門家には、税理士法、司法書士法、弁護士法などという決まりがあり、この業務はその資格を持った人しか行ってはいけないと法律で決められています。
この決まりのことを「コンプライアンス」といいます。
相続診断士はこのコンプライアンスをきちんと守りながら、相続に関するトラブルの芽を早めに摘み取ることが求められるのです。
基本的に、一般的な相続の説明はできますが、「個別具体的な手続き」はすることができませんので注意が必要です。
では、実際の業務では、具体的にどういうことができるのでしょうか。
業務別にご説明していきますので参考にしてみてください。
2-1. 税金関係
相続診断士ができる | ・相続税の基礎控除額の説明 ・相続人の法定相続割合の説明 ・非課税贈与制度の内容の説明 ・相続税申告に必要な書類の説明 など |
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相続診断士はできない | ・相続税の申告手続き ・相続税の計算 ・個別的な節税対策の提案 ・税務書類の作成 など |
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専門家 | 税理士 |
必要資格 | 税理士 |
【実際の相談例】
Q.先月父が亡くなったので、相続税の申告が必要か知りたい。
A.相続診断士から基礎控除額のご説明と、各相続人の法定相続割合をご説明し、相続税の計算方法の流れをご説明した。それを聞いた相談者は、「それだと相続税がかかりそう」と懸念したため、税理士に繋ぎ、税理士がお父様の財産状況から相続税を算出した上で相続税申告を行った。
2-2. 法律関係
相続診断士ができる | ・不動産名義変更(登記)の手順の説明 ・遺言書の種類・特徴・書き方の説明 ・公正証書遺言作成の際に証人になる ・似たような事例の判例紹介 ・任意後見人になる など |
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相続診断士はできない | ・遺言書の作成アドバイス ・登記申請手続き ・調停、裁判の代理人になる ・相続放棄、遺留分減殺請求手続き ・法務局等に提出する書類作成 など |
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専門家 | 弁護士 司法書士 行政書士 |
必要資格 | 弁護士 司法書士 行政書士 |
【実際の相談例】
Q.そろそろ遺言書を作りたいが、どこから手をつけていいかわからない。
A.相続診断士から、遺言書の種類と方法・そのメリット及びデメリット、遺留分についてご説明した。それをうけて相談者が公正証書遺言を作成したいと要望があったため、司法書士に繋ぎ、司法書士が相談者と打ち合わせをし、公証役場で公正証書遺言を作成した。尚、その際証人として相続診断士が立ち会った。
2-3. 不動産関係
相続診断士ができる | ・不動産売買の基本的な流れを説明 ・一般的な不動産の相続対策例と、それに伴うメリット及びデメリットの説明 ・不動産用語の解説 など |
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相続診断士はできない | ・取引前に買主、売主に物件についての説明 ・売買時の重要事項説明書面への記名と押印 ・売買やリフォーム等、相続に有効な提案及び見積もり ・不動産の鑑定評価 など |
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専門家 | 不動産業者 不動産鑑定士 など |
必要資格 | 宅地建物取引士 不動産鑑定士 |
【実際の相談例】
Q.相続税がかかりそうなので子どもに納税資金を遺しておきたいが、自分の財産は不動産ばかりで現金がほとんどない。