A.相続診断士が、相談者の所有している不動産の状況をお伺いしたところ、いくつかある不動産のうち1つは別荘で、相談者は高齢のためもう行くことはなく、管理も大変だとのことだった。別荘を売却し、その現金を納税資金に充てる方法もあると説明したところ、ぜひそうしたいと要望があったため、不動産業者に繋ぎ、売却手続きを行った。
2-4. 生命保険関係
相続診断士ができる | ・保険の基本的仕組み及び種類の説明 ・一般的な保険の相続対策例と、それに伴うメリット及びデメリットの説明 など |
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相続診断士はできない | ・保険商品の販売 ・保険を使った相続対策の個別具体的な提案 など |
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専門家 | 保険会社 保険販売代理店 |
必要資格 | 保険募集人資格 |
【実際の相談例】
Q.相続税を少しでも少なくしたいので、何か対策をしたい。
A.相続診断士から、生命保険の非課税枠についてご説明。500万円×法定相続人の数の金額までは非課税になるので、相談者の場合1,500万円まで非課税になり、生命保険に入るのが効果的をお伝えした。それを聞いた相談者が実際に保険に入りたいと希望したので、保険会社に繋ぎ、相談者に合った保険商品をご提案し、契約した。
3. 相続診断士が求められるケース
ここまで読むと、結局は専門家にしか手続きができないのだから、相続診断士はいらないのではないかと思う方もいるかもしれません。
ですが、相続診断士だからこそできることもたくさんあるのです。
ここでは私が相続診断士として相談に乗り、相談者の役に立っているなと感じたことをご紹介します。
3-1. どの専門家に聞けば良いのかわからない
「相続」とひとくちに言っても、誰一人として全く同じケースはありません。
その人その人によって悩みは違いますし、求められる対応も違います。
自分の相続の悩みを、誰に頼んでどの手続きをすればいいのかわからない人も多いので、そのような時に相続診断士が活躍します。
相談者の話を一通り聞いて、この悩みは税理士にこの手続きを頼んで、この悩みは司法書士にこれとこれの手続きを頼めばいいですよ、と専門家を振り分けることで、相談者は自分の悩みを正確に把握した上で解決することができます。
3-2. いきなり専門家と面談だと不安
「税理士」「司法書士」「弁護士」といった、いわゆる「先生」と呼ばれる人達に、直接話すのに抵抗がある人も多いのではないでしょうか。
よく見かけるのが、
・自分は全然財産がないのに恥ずかしい
・先生と一対一だと緊張する
・相談だけで高い相談料をとられそう
・敷居が高い
などという先入観があり、相談すること自体を躊躇してしまうことが多いのです。
しかし相続診断士は3-4.でご説明する通り、決して難しい専門資格ではありません。
専門家ではなく、「相続に詳しい知人」というような感覚で相談できるので、気軽に悩みを相談することができます。
それによってトラブルの芽を事前に摘み取ることができ、相続問題が深刻化する前に解決できるのです。
3-3. 偏りのないアドバイスがほしい
専門家にいきなり相談すると、どうしてもその分野内でのアドバイスになりがちです。
特に相続の経験があまりない専門家だと、例えば相続知識があまりない税理士に不動産相続の相談をしても税金面では解決できても、登記申請や遺産分割調停についてはよくわからない、ということが起こってしまうのです。
それに対して、相続診断士は相続に関することを専門家の垣根を越えて勉強しているため、そのような狭い視野で答えることはありません。
まずはこの手続き、次はこの手続き・・・と順序立てて効率的にアドバイスができるため、相談者も解決までの流れを正確に整理して考えられるのです。
3-4. 生活知識として役立つ
3-2で、相続診断士は「相続に詳しい知人」というような感覚で相談できる、とお伝えしましたが、まさにそのまま「相続に詳しい知人」となり、自分の生活面で役立つことが多いのです。
自分が暮らしていく上で、人の死は避けられませんよね。
自分自身はもちろん、家族、親戚、友人など、周りの人の暮らしを考えた時、これから起こる相続または起こってしまった相続について何か悩みがあるとき、まさに相続診断士の知識が役立ちます。
そのため、特に相続に関わる仕事をしていない一般の人でも、相続診断士の資格を取っている人もいます。
一度親の相続を経験して大変な思いをしたので、自分の子どもには同じ思いをさせたくないからと、知識をつけるために取得する人もいるので、決して敷居が高くないのがわかると思います。
まとめ
相続診断士について、資格を受ける人と相談したい人の両面からご説明してきましたが、参考になりましたでしょうか。
繰り返しになりますが、相続診断士は決して敷居が高いものではありません。
相談者の立場に寄り添い、話を聞いて導くことが相続診断士の役割です。
また、相続診断士は国家試験ではないので、資格を取ったからと言ってそれだけで事務所を構えて仕事ができる訳ではありません。
しかし近頃では、不動産会社、保険会社、信託銀行、葬儀会社など、会社として相続診断士を取得するように取り組んでいるところも増えています。
取得したからといってそれで就職できる訳ではないのですが、取得しておくと業務の幅が広がりますので、持っていると何かとメリットがあります。
そして相続について何かお困りの方は、気軽な気持ちで相続診断士に聞いてみてください。
今は小さな悩みでも、放っておくと手の施しようのない大きな問題になってしまうかもしれません。そうならない前に相談してみてください。
きっと自分の中でもやもやしているものが晴れ、何をするべきか明確になるのではないでしょうか。
相続診断士の活躍が大きければ大きいほど、相続で困る人も少なくなり、家族が笑って過ごせる時間が増えるはずです。
著者:相続ハウス 彼末 彩子(相続診断士)