連れ添ったパートナーに財産は遺せない?内縁の妻の相続

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手続き方法は、内縁関係であった者が家庭裁判所に「特別縁故者」の申し立てを行います。
家庭裁判所によって様々な事情を考慮した上で協議されます。

ですが、ご注意頂きたいのが、そもそも特別縁故者とは相続人の不在が確定してはじめて特別縁故者としての財産分与請求の申し立てを行うことができます。
最終的に被相続人の財産を取得するまでに非常に時間がかかるということをご留意ください。

2-3.内縁の妻が唯一相続できるもの

内縁関係にあった者が、被相続人の相続時に唯一守られている権利があります。「借家権」です。

借家権とは、その建物に継続的に住み続けることができる借家人の権利のことをいいます。
借家権は通常、被相続人の相続時に相続人に承継されるものですが、被相続人の相続発生後、内縁の妻を保護するためにこのような制度が設けられているのです。

例えば、内縁関係にあった夫婦が、夫名義で建物を借りていたが、夫が亡くなってしまいました。
夫の死を機に、内縁の妻は家主から立ち退きを求められ、他の相続人からも借家の明け渡しを請求されてしまいました。
相続権のない、内縁の妻は立ち退かなければならないのか?と思われるかもしれませんが、他に相続人がいない場合はこの権利を相続できます。

また、他に相続人がいる場合は、相続人から明け渡しの請求をされたとしても拒否することができます。
元々借家人である夫の借家権により、家を借りることができていたのに、夫の死という出来事により妻の住居を奪うというのは、酷であるからでしょう。

3.内縁の妻の子は相続財産を受け取ることができるのか

内縁の夫との間に子ができたとして、夫が子を認知すれは、子には相続権は発生します。
ただし、この時に相続で全財産を受け取った子が、母にも財産を分けたいと思っても、この場合の財産の移動には贈与税がかかりますのでご注意ください。

4.注意点

相続税の計算を行うにあたり、多額の税金を納めなくても良いように様々な救済措置があります。
ですが、相続人でない内縁関係の者には、これらの特例等を受けることができないため、相続税の税額をそのまま支払うことになります。

例えば、取得した財産の1億6,000万円もしくは法定相続分のいずれか多い方の金額までは、相続税がかからず財産を取得できる、「配偶者の税額軽減」という特例があります。
ですが、この特例を適用できるのは、婚姻届を提出した配偶者であるため、内縁関係にある者には適用できません。

また、一定の条件を満たせば、取得した不動産の相続税評価を80%減額できる「小規模宅地の特例」についても、取得者が被相続人の親族であることが条件の一つになっているため、内縁関係の者はこれに該当しません。
生命保険金の受取人には、保険会社によってはなれることはできますが、相続税の計算において「相続人数×500万円」は非課税の枠が設けられている非課税枠についても、内縁関係の者の枠はありません。

その他にも「2-2-1.遺言書を遺してもらう」で述べたように、遺言書によって財産を取得した場合にも、相続税を2割増しで納める必要があります。
このように、内縁関係にある者には相続税を減らす様々な特例が使えません。
それぞれの夫婦間で色々な事情があるかとは思いますが、単純に節税だけのことを考えた場合には、婚姻関係を結んでしまうことが税金を抑えることにつながります。

5.まとめ

今回は、内縁の妻は夫の財産を受け取ることができるのか?できるのであれば、どのような方法があるのか?内縁の妻が取得できる権利とは何か?内縁関係に生まれた子は財産を受け取ることができるのか?等について解説させていただきました。

以前に比べると、世間から段々認知されるようになってきたとはいえ、内縁関係である限り、何十年生活を共にしていたとしても、相続時に配偶者としては認めてもらえません。相続人として財産を相続する権利はないのです。

まだまだ内縁関係の者は、財産を受け取る権利の面でも、税金の面でも、相続時には不利です。
ですので、お互いのパートナーに何かあった時にお互いの生活を守るためにも、きちんと生前から自身の財産をどう遺していくか対策を話し合っておくことが重要と思われます。
籍を入れるのか、遺言書を遺すのか、生命保険金の受取人にするのか・・・状況や事情により、対策方法も変わってはくると思いますが、自分の大切な方の未来のためにも、今から対策を練りましょう。

著者:相続ハウス 栗田 千晶(相続診断士)

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