▼参考:国税庁ウェブサイト
http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm
上記の税率を見てお分かりの通り、生前贈与には、相続よりも高い税率がかけられているのです。
基礎控除額110万円を上回る財産をまとめて贈与してしまうと、節税どころか、さらに高い税金を納めないといけなくなってしまいますので、生前贈与で節税するためには、時間をかけて行うように、注意が必要です。
2-3.うまく活用したい相続時精算課税制度
60歳以上の父母や祖父母が20歳以上の子や孫に贈与を行う場合には、暦年課税のかわりに相続時精算課税制度を利用することができます。
この制度を適用すると、2,500万円までは非課税で贈与を行うことができます。
また2,500万円を超える贈与の場合は、超過額に対して、一律20%の税率をかけた金額で贈与税を納めることになります。
その後、相続が発生した際に贈与財産と相続財産を合わせた金額から、相続税をあらためて計算し、納めた贈与税との差額を納税します(還付があれば還付されます)。
結果的には相続税と同じ金額を支払うことになりますが、すぐに子や孫にまとめて贈与を行いたい場合や贈与の段階で支払う税金を抑えたい場合には有効な方法だと言えるでしょう。
ただし、一度、相続時精算課税制度を選択してしまうと後で暦年課税には変更することができません。そのため、充分に検討した上で選択するようにしましょう。
▼相続時精算課税制度について詳しく知りたい方はこちら
【相続税対策に意外と使える!相続時精算課税制度の活用法】
2-4.節税につながる贈与税の控除制度
他にも、贈与には税額が控除される制度がたくさんあります。
教育資金の一括贈与
祖父母などが30歳以下の孫などに、教育資金を援助した時に1,500万円以下までが非課税となります。
結婚・子育て資金の一括贈与
父母や祖父母が、子供か孫の結婚や子育てを援助するために、資金の一括贈与を行うと、1,000万円までが非課税となります。
おしどり贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で住まいに関する贈与をする場合は、この制度を適用することができ、暦年贈与の控除額である110万円に2,000万円の配偶者控除が加算されます。
住宅取得等資金の贈与
住宅を購入する目的で、直系尊属の相手から資金の贈与を受けた場合には、この制度によって、贈与税の控除を受けることもできます。
ただし、贈与を受ける人の合計所得が2,000万円以下であること等が条件です。
適用される条件は限定されているものの、これらの制度を利用することで贈与税を節税することができます。
生前贈与を行いたい相手がいずれかの条件に当てはまる場合は、利用することをおすすめします。
3.不動産を活用した相続税対策
相続に備えて、財産を現金ではなく不動産という形に変えておくと、相続税を抑えることができます。
具体的にどれだけ節税できるのかを、例を交えて紹介します。
3-1.不動産によって評価額をおさえる
不動産から相続税の金額を決定する際には、評価額と呼ばれる金額におきかえて計算が行われ、この評価額は実際に売却した場合に得られる価値よりも低くなるケースが多いのです。
そのため、同じ金額の現金を相続するよりも、節税につながる可能性が高いのです。
不動産による節税の例
例えば、時価が1億円である土地を相続で引き継いだとします。
一般的に、土地を購入した場合の評価額は実勢価格の7~8割、家を建てた場合は建築費用や購入費用の3~7割の範囲で決まります。
この土地の評価額が、8,000万円に定まったとしましょう。
すると相続税の計算に含まれる金額は、現金に比べて2,000万円も安くなるのです。
3-2.小規模宅地等の特例
相続される土地が被相続人の自宅であったり、事業用に用いていた土地や建物であったりした場合には、特例が認められています。
減額の割合は、利用区分によって決まります。
また、該当する利用区分であれば無制限に適用できるわけではなく、面積に制限があります。
相続開始の直前における宅地等の利用区分 | 要件 | 限度面積 | 減額される割合 | ||
---|---|---|---|---|---|
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 | 貸付事業以外の事業用の宅地等 | 1.特定事業用宅地等に該当する宅地等 | 400㎡ | 80% | |
貸付事業用の宅地等 | 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等 | 2.特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 | 400㎡ | 80% | |
3.貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | |||
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 | 4.貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | ||
被相続人等の貸付事業用の宅地等 | 5.貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200㎡ | 50% | ||
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 | 6.特定居住用宅地等に該当する宅地等 | 330㎡ | 80% |
▼参考:国税庁ウェブサイト
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm
4.生命保険を活用した相続税対策
生命保険に加入しておくのも、相続税の節税に有効です。
しかし、生命保険と税金の関係はやや複雑で、それをしっかり把握していないと節税にならない可能性もあります。
4-1.生命保険の非課税枠
生命保険に加入していると支払われる死亡保険は、相続税の課税対象になります。