被相続人と長男家族が一緒に住んでいた土地を相続により長男が取得した場合、小規模宅地の特例80%の減額が適用されるので、計算上、宅地の評価額は2,400万円となり大幅に低くなります。
この場合、他に遺された財産の額や相続人の数も考慮しなくてはなりませんが、結果として相続税がかからなくなる可能性があります。
*注意:この特例を利用することで相続税がゼロになる場合でも、税務署への申告は必要になります。
また、平成27年1月1日以後の相続等においては、上記にもある特定居住用宅地等と特定事業用宅地等は併用適用することができます。
それぞれの要件を満たす宅地等がある場合、限度面積までは減額が適用になります。
2-1-4. 特殊な状況の宅地の評価
土地はその利用状況や形状に応じて様々な種類があります。2-1-2でご説明したものも含め、下記にあるケースは、特に他の環境条件等の変化に応じて宅地の評価方法が変わってきます。
計算も複雑になってきますので、税理士等に相談してみることをお勧めいたします。
・貸家建付借地権(他人から借りている土地に自分所有の建物を建て他人に貸している場合)
・定期借地権(契約期間後、更新されない土地)
・私道 ・造成中の宅地 ・道路との間に水路がある宅地
・マンション用地 ・セットバックを必要とする宅地
・周りに比べて広い宅地
・道路より高低の差がある宅地 等
2-2. 建物の評価方法
2-2-1.通常の家屋
固定資産税評価額に一定の倍率をかけてもとめます。
現在、この倍率は1.0倍とされておりますので、固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額となります。
2-2-2.貸家の評価
貸家は、自用家屋の評価額からその家屋の借家権割合を控除した価額です。
借家権割合は30%となっておりますので、貸家の評価額は自用家屋の70%で評価することになります。
なお、家屋を借りている人には借家権がありますが、一部を除いて借家権は課税価格に算入されません。
2-2-3.増改築した場合
相続開始の直前に増築を行った場合や、大規模なリフォームを行った場合には、増築やリフォームした部分の価額を加味して申告する必要があります。
増改築した建築価額から減価償却相当額を控除した価額の70%に相当する金額を従前の固定資産税評価額に加算します。
また、建物自体の価値に影響を与えない現状維持のための修繕や、建物の固定資産税の対象とならない内装工事等については、固定資産税評価額に影響を与えないものもあります。
3. 株式等の評価額
3-1.上場株式
上場株式は、日々証券取引所で取引されています。次にあげる4つのうち、最も低い金額の売却手取額が評価額となります。
① 被相続人が死亡した日の終値
② 被相続人が死亡した月の終値の月平均額
③ 被相続人が死亡した前月の終値の月平均額
④ 被相続人が死亡した前々月の終値の月平均額
3-2.非上場株式(自社株等)
非上場株式とは、上場株式以外の株式の総称です。
非上場株式の中でも大会社から、個人企業並みの小規模会社まで様々です。
財産評価基本通達において、会社の規模に応じ大会社・中会社・小会社に区分し、区分に応じてそれぞれの評価方式を定めています。
また、自社株とは、同族会社のオーナー社長やその一族が所有する株式のことをいいます。
上場していない場合は、同様に上記通達の「取引相場のない株式等の評価」に基づいて評価することになります。
自社株は、所有者が同族株主かそれ以外の株主かによって評価方法が変わってきます。
そして、同族株主か否かで会社経営へ影響を与えます。
このあたりは、税理士等の専門家にご相談して評価を依頼するのがよいと思います。
3-3.その他
その他、公社債、投資信託等は、おおよそ最終的な売却手取額が評価額の目安とされます。
4.その他の財産評価額
4-1.家財等
家財とは家の中にある生活用品等になります。
これらは、相続発生時に金銭に換算したらいくらになるのかで評価されます。
アンティーク家具やプレミアムの付いた掛け軸など、鑑定が必要とされるような高価な品などがあれば、専門家に価値を確認してもらいましょう。
品物によっては百貨店などでも鑑定してもらえます。
4-2.ブランド品・貴重品等
相続税評価額に加算する場合、相続発生時に、金銭に換算したらいくらになるのかで評価します。