【メリット】
遺言者が口頭で述べた内容を公証人が筆記してくれるため、公証人に遺言作成の手助けをしてもらえます。
公証役場に行くことが難しい場合、自宅や病院に出張してもらえます。
原本が必ず公証役場に保管されますので、遺言書が破棄されたり、誰かに隠されたり、書き直されたりする心配もありません。
このように、公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べて安全確実な遺言方法なのです。
家庭裁判所の検印も不要です。
【デメリット】
2人以上の証人が必要であること、遺言者の実印や印鑑証明書をはじめとした、遺言作成にあたっての確認書類を揃える必要があること、あわせて預貯金や不動産などの相続財産を整理する必要があること、公正証書遺言作成費用がかかること、など。
【手続きの流れ】
【かかる費用について】
まず、財産の相続または遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出します。
その価額に応じた手数料は以下の通りです。
目的財産の価額 | 手数料の額 |
---|---|
100万円まで | 5,000円 |
200万円まで | 7,000円 |
500万円まで | 11,000円 |
1,000万円まで | 17,000円 |
3,000万円まで | 23,000円 |
5,000万円まで | 29,000円 |
1億円まで | 43,000円 |
※1億円を超える分については、
・1億円を超え3億円まで 5,000万円ごとに13,000円
・3億円を超え10億円まで 5,000万円ごとに11,000円
・10億円を超える分 5,000万円ごとに8,000円
がそれぞれ加算されます。
これらの手数料を合算して、遺言書全体の手数料が算出できます。
4-3-3.秘密証書遺言
遺言の内容を「秘密」にしたまま、その「存在」を証明してもらう遺言のことです。
秘密証書遺言とは、遺言をする人が、遺言の内容を記載した書面(自筆証書遺言と異なり、自書である必要はないので、Wordなどの文書作成ソフトを用いても、誰かの代筆でもかまいません)に署名押印し、封筒に入れて封印した遺言書です。
公証人と証人2人の前にその封書を提出し、自分の遺言書である旨と氏名、住所を申述し、公証人がその封紙上に日付と申述を記載したあと、遺言者と証人2人とともにその封紙に署名押印します。
【メリット】
遺言した人のものであることを明確にしながら、遺言の内容を秘密にすることができます。
【デメリット】
公証人が遺言書の内容を確認することができないため、法律的に不備がある恐れがあり、無効となってしまう場合もあります。
財産の特定ができない曖昧な内容の場合には、相続人の間で解釈に違いが生じて争いを起こしかねません。
4-4.遺言執行者
遺言執行者は、遺言書に書かれた内容や趣旨に沿って、相続人の代理人として相続財産を管理し、名義変更などの各種手続きを行います。
遺言執行者を指定することで手続きをスムーズに進めやすくなります。
4-5.エンディングノート
自分にもしものことがあったときのために、伝えておきたいことをまとめておくノートのことです。
エンディングノートは書き方にルールはありませんので、自分の言葉で思いのままに書くことができます。
遺言書は法的な効力を有するため、その遺言書が有効であれば遺言の内容が実現します。
しかし、エンディングノートは法的な効力がないため、書かれたとおりに実行されるとは限りません。
5.相続人の調査
5-1.相続人
相続人とは、被相続人の一切の権利義務を引き継ぐ立場にある人のことです。
5-1-1.法定相続人
相続人は民法によって定められていることから「法定相続人」とも呼ばれています。
被相続人と血のつながりがある血族を「尊属」(そんぞく)といい、尊属のうち、被相続人の父母、祖父母のことを「直系尊属」といいます。
被相続人の実子、養子、他家に養子に出した実子、孫、ひ孫のことは「直系卑属」といいます。
法定相続人は被相続人からみて近い世代が優先されます。