具体的には、相続発生時に孫がいる場合、孫は、相続人とはなりません。しかし、相続人である孫の親が既に死亡している場合、孫が受け継ぐこととなります(孫が死亡している場合、再代襲となり、曾孫が相続人となり、その曾孫も死亡している場合は再々代襲となります)(民法887、901)。
*相続人は、母・次男・孫(代襲相続)ということになります。
3. 相続分とは
相続分は、指定相続分と法定相続分とに分かれます。
3-1. 指定相続分とは
被相続人が遺言等で相続分を指定したり、指定すること自体を第三者に委託したりすることのできることです。これを指定相続分と言います(民法902)。
被相続人の最後の意思ですので、法定相続分よりも優先される点において注意が必要です。しかし、最低限の相続分としての*遺留分を侵害することはできません。
*遺留分とは、法定相続人の最低限の相続分のことです。
3-2. 法定相続分とは
被相続人による遺言等による指定がない場合、民法に定める法定の相続分によることとなります。
これを法定相続分と言います(民法900)。
実際の相続人 | 相続人 | 法定相続分 |
① 配偶者と子 | 配偶者 | 1/2 |
子 | 1/2 | |
② 配偶者と直系尊属 | 配偶者 | 2/3 |
直系尊属 | 1/3 | |
③ 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者 | 3/4 |
兄弟姉妹 | 1/4 | |
④ 子、直系尊属、兄弟姉妹 | 均等配分 | |
⑤ 配偶者のみ | ― | すべて |
例えば、相続財産2億円であれば、上記①の例では配偶者と子1億円づつとなりますね。
3-3. 遺留分とは
先ほども触れましたが、遺留分とは、法定相続人の最低限の相続分のことです。
基本的には、法定相続分の1/2ですが、以下まとめていきます(例外もあります)。
配偶者 |
配偶者と子供 | 配偶者と直系尊属 | 配偶者と兄弟姉妹 |
直系尊属 |
||||
配偶者 | 子供 | 配偶者 | 直系尊属 | 配偶者 | 兄弟姉妹 | |||
相続分 | 1 | 1/2 | 1/2 | 2/3 | 1/3 | 3/4 | 1/4 | 1 |
遺留分 | 1/2 | 1/4 | 1/4 | 1/3 | 1/6 | 1/2 | ― | 1/3 |
つまり、3億円の相続財産がある場合、配偶者と子供2人(長男・次男)の例で考えてみましょう。法定相続分は、配偶者:1.5億円(3億円の1/2)長男:0.75億円(3億円の1/4)