安心!確実!揉めない!手間楽!公正証書遺言のすすめ

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この遺産分割協議書は、不動産の名義変更をする際や相続税を申告する場合、亡くなられた方の預金口座の解約手続きや株式の名義変更手続き等、様々な場面で必要になります。したがって、遺産分割協議書が作成できなければ上記の手続きが一切できなくなります。しかし、きちんとした公正証書遺言を作っておけば遺産分割協議書を作成しなくても、公正証書遺言だけでこれらの手続きを行うことができるので、相続人間の争いを回避することができます。また、相続人が多ければ多いほど遺産分割協議は複雑で困難になりますので、そのような手続きや相続人間のやりとりが不要となり、相続人の負担がとても軽くなります。

2-2-4. 遺言執行者の指定でさらに簡略化

自筆証書遺言等でも可能ですが、公正証書遺言の中に遺言執行者を指定すると、さらに各種相続手続きがスムーズになります。

遺言執行者がいる場合ですと、例えば、金融機関での手続きを行う際、遺言執行者のみで相続手続きを行うことができます(金融機関や生命保険会社等によって異なる場合もあります。必ずご確認下さい)。しかし、遺言執行者が指定されていない場合、相続人全員で相続手続きを行わなければならないため、遺産分割協議書や相続人全員の署名・捺印や印鑑証明書の提出等を求められ、手続きがスムーズに進まないことがあります。

 3.公正証書遺言作成までの流れ

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4.公正証書遺言作成費用

4-1. 公証人への手数料

続いて、公証人に支払う公正証書遺言作成手数料は、遺言により相続させる又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。各相続人・各受遺者ごとに相続又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額が手数料の額になります。

【法律行為にかかる証書作成の手数料】WS000011

また、公証人が遺言者の自宅や病院等へ出張した際には、別途出張費や日当がかかります。

その他、案件によっては別途諸費用がかかる場合がありますので、必ず公証役場に確認してください。

4-2. 専門家への報酬

弁護士や司法書士等の専門家に公正証書遺言の作成を依頼した場合、遺言者との面談(遺言内容の打ち合わせや推定相続人、財産状況等のヒアリング)から公証役場において公正証書遺言を作成するまで、相続財産の価額や各専門家によっても異なりますが、専門家の報酬はおおむね10万円前後~となっています。その他、証人を専門家が用意する場合や戸籍等の取得についても別途料金が発生しますが、専門家が行ってくれます。

4-3. 専門家に作成を依頼するべきなのか

公正証書遺言を作成する場合、弁護士や司法書士等の専門家に作成を依頼するべきなのかどうかということについてですが、たしかに、ご自身で作成した遺言書でも公証役場に赴き、手続きを経れば公正証書遺言を作成することは可能です。

しかし、遺言内容や証人の準備、収集すべき書類等、作成までに多くの時間がかかります。専門家に依頼をすれば、作成までの準備をスムーズに行うことができます。

また、公証人は確かに遺言内容が法律的に有効であることを証明してくれます。一方、以前あった事例ですが、遺言者が公正証書遺言を作成しましたが、遺言者よりも推定相続人である相続人が先に亡くなってしまいました。

このような場合、亡くなった推定相続人への遺言内容の効力はなくなります。そのため、先に亡くなった推定相続人への遺産は、法定相続人全員の協議により分割しなければならなくなります。これでは、遺産分割で揉めることを避けるために用意した遺言書の意味がなくなってしまいます。

このようなことを避けるために、「遺言者よりも早く推定相続人が亡くなった場合、この財産は○○に相続させる」等という文を遺言書に一文加えておくことで、万が一、遺言者よりも先に相続人が亡くなってしまった場合のトラブルを防ぐことができます。これを予備的遺言と言います。

公証人は遺言内容が法律的に有効であることは証明してくれます。しかし、すべての公証人がこのようなアドバイスをしてくれるわけではありません。この事例ですと、たしかに遺言者が書いた遺言は法律的には有効ですが、予備的遺言がないため、先に亡くなった推定相続人の分の遺産については、結局相続人全員で遺産分割協議をしなければならないことになってしまいました。

そのため、遺言書の作成を得意とする弁護士や司法書士等の専門家と作成することで、より一層安心で確実な遺言書の作成ができると思います。

5.公正証書遺言が無効になる場合

5-1. 遺言能力を欠く場合

遺言能力とは、簡単に言えば、遺言者に遺言の内容をしっかり理解できるだけの判断能力が備わっている状態のことです。認知症の場合などは、この遺言能力が否定されてしまうケースがあります。

また、遺言書を作成する際に遺言能力があるかどうか不鮮明な状態で公正証書遺言が作成されたとしても、後日相続が発生した際に遺産分割内容に納得できない相続人が、作成当時遺言者に遺言能力がなかったのではないか、ということを争点に裁判を起こす可能性があります。

もし、遺言能力が作成時にはなかったと裁判所で判断された場合、その公正証書遺言は無効となってしまいます。そのため、遺言者の意思がしっかりしている時に作成することをお勧めします。

公正証書遺言が無効になった事例については、下記をご参考ください。
無効な遺言書で損しない!確実に資産を相続するために遺言能力の有無をチェック

6.まとめ

今回は、大切な財産を大切な人に、争いなく確実に遺し、その上、その後の手続きをできるだけ簡単に済ませることができる公正証書遺言について、その特徴と効果、なぜ公正証書なのか、無効にしないためのコツ等をご説明いたしました。

遺言書は、まだ自分には必要ないと思っている方も多いかと思います。しかし、人はいつ何が起きるかわかりません。自分が亡くなった後、親族間で様々な争いが発生し、残された大切な人が悲しみだけではなく相続人間の争いの苦労までかけてしまう…そのようなことにならないために、「備え」として遺言書を書いておくことをお勧めします。

また、公正証書遺言を作成する際は、作成するまでに様々な準備や諸費用がかかりますが、相続人間の争いを未然に防ぐためにも、また、相続が発生した後の相続人の負担を少しでも減らすためにも、安全、確実な公正証書遺言を用意することを強くお勧めします。

著者:相続ハウス 山﨑あすか(相続診断士)
監修:司法書士法人おおさか法務事務所

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