落ち着き始めたと思った今年5月に父がまた亡くなった。
父は母である祖母から受け継いだ財産が1億5千万円。
今回の相続財産価額の合計額が1億8,000万円。
今回の相続で相次相続控除を受ける子が取得した財産価額は9,000万円。[二次相続]
このケースでは350万円が相続税から控除されることになります。
4.相次相続控除が算出されない場合
4-1.配偶者控除との関係
相次相続控除は、前回の相続において被相続人が納めた相続税がある場合に、その相続税額を基に計算する制度です。
仮に、今回の被相続人(母)は、前回の父の相続において配偶者の税額の軽減により相続税を納めることがなかった場合、相次相続控除額は算出されませんので、相次相続控除を受けることはできません。
4-2.二次相続と対策
相次相続控除は2次相続以降の相続税申告に適用されます。
1次相続発生から2次相続発生までの期間が10年以内という要件もありますので、被相続人が亡くなられた時点で、被相続人が10年内に相続税を納税している場合がないか、気をつけてみておくことをおすすめいたします。
5.注意点
相次相続控除が適用できるのは、二次相続の相続人に限られます。
その中で、相続放棄をした人や相続権を失った人が、遺贈により財産を取得した場合には、相次相続控除の適用にはなりませんので注意が必要です。
相続人が複数いた場合に、遺産分割が終えていない場合でも相次相続控除は適用できます。
その場合、各相続人は法定相続分で相続財産を取得したとして計算を行い、それを相次相続控除の計算においても同様に行います。
6.まとめ
短い期間に相次いで相続が起こった場合、相続人にとって相続税の負担が大きく増えることが予想されます。
相続税はそのまま払わなければならないのかという疑問に対して、過去に支払った相続税の一部は控除できるという、相次相続控除制度のご説明いたしました。
1 0年の間に相次ぐ相続を受けた場合、相続税の優遇制度があることをご理解いただけましたでしょうか。
この手続きは相続税申告の際に行われますので、可能性のある場合には税理士等の専門家にご相談しながら行うことをおすす
めいたします。
著者:相続ハウス 奈良澤 幸子 (相続診断士)
監修:税理士法人エスネットワークス