また、会社は従業員が死亡退職した場合、社会保険事務所などにいくつかの手続きを行わなければなりません。従業員が生計を立てていた場合支払われる「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」、業務中または通勤中に災害に巻き込まれて亡くなった場合は「遺族補償年金」「遺族一時金」の手続きを行いますので、そのような支払われるべきものがないかを、確認しましょう。
3-2.死亡退職金
退職金の規定がある会社の場合、死亡退職した従業員に対しても退職金を払う必要があります。これを「死亡退職金」といいます。死亡退職金も、退職金と同じように勤務年数や最終的な役位から計算された金額に加えて、未支払い分の給与や慰労金などの要素が加味されたものが支払われます。
死亡退職金は、みなし相続財産とされるため、相続税の対象となります。
4. 相続税申告・納税
4-1.相続税申告・納税とは
亡くなった方が遺した財産があり、その財産を相続した場合に相続税がかかることがあります。相続税は、基礎控除範囲内を超えた場合に発生します。
現行の基礎控除額:3,000万円+600万円×相続人数(平成27年1月~)
また、相続税が0の場合でも、特例など(小規模宅地の特例、配偶者控除)を受ける場合には申告は必須になります。
申告書の提出先は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署になります。
納税の手続き先は、税務署・金融機関・郵便局のいずれかになります。
4-2.期限
相続税の申告・納税は、相続のあったことを知った翌日から10ヵ月と期限が決められています。
申告期限を過ぎた場合には「加算税」が、納税期限を過ぎた場合には「延滞税」のペナルティが課されてしまいますので、期限に十分注意して期限内に手続きを完了させましょう。
4-3.必要なもの
申告書、亡くなった方の戸籍謄本、除籍謄本、住民票、住民除票、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、固定資産評価証明書、登記簿謄本、預貯金の残高証明書、過去5年分の預金通帳、生命保険支払通知書など
詳細は、税務署又は申告手続きを依頼する税理士に確認してください。
5. チェックリスト
死亡後の提出書類や名義変更など、必要なリストをご用意いたしました。
ぜひダウンロードをしてご活用ください。
【手続き確認チェックリストダウンロード】(PDF)
まとめ
今回は、死亡後の手続きについて主なものをご紹介させていただきました。かなりの項目になりましたが、手続きとして挙げたもの以外にも、細かく掘り下げていくとまだまだ手続きはあります。
これらの手続きの中に、それぞれ期限が定められており、また、手続き先や用意するものもそれぞれによって異なります。期限を超えてしまうと、ペナルティが発生してしまうものもありますので、どのような手続きがあり、どの手続きから順に進めていけばよいのかご自身の家族や、同居人のパターンに当てはめてある程度準備をしておくと、実際にお亡くなりになった際に慌てずにすむでしょう。是非ご参考にしてください。
著者:相続ハウス 栗田千晶 (相続診断士)
監修:銀座総合法律事務所(弁護士) 清水 保晴
税理士法人エスネットワークス