例えば、父A、母B、子C、Dの4人家族がいました。
父Aの相続発生後に、母B、子C、Dの3名で遺産分割協議を行う予定が母Bの相続も発生してしまいました。
本来であれば、父の相続時に相続人となる母B、子C、Dの3名で遺産分割協議を行い、登記をしなければなりませんが、父Aの相続の際に、母Bのみが1人での単独所有をする予定だったという内容を遺産分割協議書に盛り込み、母Bの相続時の遺産分割を子C、Dで行い、その協議結果を記載した遺産分割協議書をもとに登記申請を行えば、1回の登記で申請を行うことが可能です。
また、最終的な相続人は単独でなくても問題ありません。
3-3-2.中間省略登記できない場合
上記以外の場合には、原則として省略して登記を行うことはできません。
先程の例に当てはめて考えますと、父Aの相続発生時にさかのぼって遺産分割協議を行い、法定相続分通りに母Bが1/2、子C、Dが1/4ずつという分割方法にした場合には、その内容で1回目の登記申請を行います。
そして、母Bが取得した1/2の相続分を、子C、Dが1/2ずつ取得するという内容で2回目の登記申請を行う必要があります。
4.まとめ
今回は数次相続について解説させていただきました。
両親のどちらかが亡くなり、相続手続きを終える前にもう一方の両親も亡くなってしまうというケースは、少なくありません。
そういった事態に、誰が相続人になるのか?まず何をすれば良いのか?どんな手続きの進め方があるのか?迷ってしまう前に、こちらの記事をご参考にしていただけますと幸いです。
また、遺産分割協議書についての章で、中間省略登記ができる場合、できない場合とご解説をさせていただきましたが、中間省略登記を行う際には、遺産分割協議書を1枚にまとめて作成します。
数次相続が続くと、相続人の数も枝分かれして増えます。
そうなってくると、作成する遺産分割協議書の内容もどんどん複雑になりますので、相続人の状況等が複雑な場合は、専門家に協議書の作成を依頼されることをおすすめします。
著者:相続ハウス 栗田 千晶(相続診断士)
監修:赤坂トラスト総合事務所 市倉 伯緒(司法書士)