手続きの手間が省ける!活用すべき相続人代表者指定届とは

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相続人代表者指定届

「相続人代表者指定届」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

「代表者を決める」というと相続人間の優劣をつけるような気がしますが、法律上の優遇や権限が発生するわけではありません。

相続人が複数いる場合に、窓口となる人を決めるのが目的で、相続手続きの手間を省き利便性を高める効果があります。

そんな相続人代表者についての概要やメリット・デメリット、相続人代表者指定届の手続き方法など、知っておくと役に立つ情報をお伝えいたします。

1.相続人代表者指定届とは

被相続人(亡くなった方)にも納税義務があることはご存知でしょうか。

収入のあった人なら所得税や住民税の申告がありますし、土地や建物を所有していた場合は固定資産税の支払いも被相続人名義となります。
相続人代表者指定届とは、財産の相続が決まるまでの間、被相続人に代わり、納税や手続きなどを代表して行う人を指定するために利用します。

なお、所得税の還付金などがある場合は還付を受けるといったメリットもあります。

住民税と固定資産税の納税義務者は1月1日の住所で判断されます。
つまり1月2日以降に亡くなった場合課税対象となります。

固定資産税は土地、建物の所有者、住民税は前年の所得がある人が納税義務者となりますので、納税すべき被相続人は多いです。
この住民税と固定資産税を中心に考えていきたいと思います。

1-1.相続人代表者指定届の必要性とメリット

住民税や固定資産税は、被相続人の住所地である自治体(市町村役場等)から納付書が送付されます。

送付先(納税義務者)は被相続人の配偶者がいるときは配偶者、もしくは同居者などです。配偶者も同居人もいない場合は死亡届を提出した人や非同居の相続人などで、一般的には役所が判断して送付します。

送付や連絡の受取人を上記とは異なる相続人にしたい場合は、被相続人側から「相続人代表者指定届」を提出する必要があります。

例えば、年老いた配偶者ではなく遠方に住む子どもが納税を代わりたい場合は、事前に届け出をしておくと直接子どもに納付書が届くので安心です。
自治体は代表だけに送付すればことが足りますし、お互いに効率的ですね。

1-3.相続人代表者指定届の書式

書式は自治体によりますが、すべての相続人の名前を記載すれば足り、印鑑証明書や戸籍謄本などの添付書類は不要というケースが多いようです。

相続人代表指定されたからといって特別な権利義務が発生するわけでもありませんし、厳格な要件は求められません。

相続人達に送付すべき書類があるときや、連絡しなければならない場合に、自治体が毎回相続人全員に送付や連絡をするのでは手間がかかりすぎます。
事務作業の簡略のために代表者を決め、その者に連絡をすればそれで済むようしたというだけの制度ですので、当然ですね。

中には指定の書式がある自治体もありますが、「とりあえず連絡してください」という緩やかな自治体も多いです。
まずは被相続人の居住していた自治体に問い合わせてみましょう。

1-4.相続人代表者指定届が提出されなかった場合

相続人代表者指定届の手続きをしない場合は自治体の方で代表者を指定しますので、提出しないことによるペナルティは特にありません。

ただし指定したい代表者がいるのなら、自治体が代表相続人を決定する前の提出が望ましいです。
自治体の方で決定した後に「じつはこちらを代表にして欲しい」というのは互いにとって非効率的だからです。

2.金融機関における「相続人代表者指定届」

金融機関の「相続人代表者指定届」についても触れたいと思います。

2-1.相続により預金はどうなるのか

金融機関では相続が発生すると被相続人の預金は凍結されてしまいます。
遺産相続が確定するまで、預金は相続人の間での共有財産となりますので相続人全員の合意がないと動かせません。

「相続人が1人だけだから預金を下ろしたい」というケースであっても、銀行はそれが本当なのか判断できません。
その際も、相続人は1人だけという証明がないと凍結は解けません。

2-2.金融機関で「相続人代表者指定届」が必要な場合

相続人が複数いる場合、相続人代表が払い戻しを受ける、もしくは相続人ごとに払い戻しを受けるなどの方法があります。

前者の場合、相続人代表選任届(相続手続き依頼書など名称は金融機関ごとに異なる)を提出することになります。

2-3.凍結解除の手続き

銀行により手続きは異なりますが、被相続人と相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などが必要です。
また、遺言書や遺言執行人がいるなど、被相続人の意思が明確な場合は手続きや必要書類が少し簡略になります。

3.自治体と金融機関の「相続人代表選任届」の違い

自治体への申請は要件が緩いのに比べて、金融機関への届け出は多くの添付書類が必要となるのはなぜなのでしょう。

自治体は、相続人が誰になるのか情報を有しているため、事前に代表者を独自に推定します。

しかし銀行は、相続人の情報は持ち合わせていません。
相続人が提出した「相続人代表選任届」で相続人が真正かどうか判断しなければなりません。
そのため自治体よりも届け出要件が厳格となるのです。

両者の違いに留意しましょう。

4.まとめ

相続人代表者指定届は戸籍謄本や遺産分割協議書のように法律で定められた書類ではありませんが、実務上は非常に有意義な届け出です。
納税時でも凍結預金の解除時でも、その利便性の高さは共通といえます。

近年は単身暮らしの高齢者が多くいます。
親子だけでなく、兄弟姉妹もそれぞれ遠方に暮らしているケースも多いのではないでしょうか。

もしものときは有効に利用し相続手続きの手間を少しでも軽減してください。

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