遺言に記載してある内容(故人の遺志)は、基本的にすべて有効となります。
かつ法定相続分の分配に優先します。
ただ、内容によっては「遺言がなければ本来、財産を受け取っていたはずの相続人(法定相続人)」に一部の財産を認める制度もあります。
それが「遺留分」です。
2-3.遺留分減殺請求権
遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に与えられます。
子の代襲相続人(子どもが死亡などで相続できないときに、代わりに相続する権利を持つ人。孫など)にも与えられます。
兄弟姉妹には与えられません。
遺留分の割合は以下の通りです。
①相続人が直系尊属のみ…法定相続分の1/3
②上記①以外の場合…法定相続分の1/2
遺留分は相続時の財産のほか、特別受益など「贈与財産」も含みます。
この遺留分を、遺言の執行時などに請求する権利が「遺留分減殺請求権」です。
3.相続は、特別受益や遺留分を含めたプロデュースが大切
遺留分減殺請求権はなぜ必要なのでしょうか。
たとえば亡くなった被相続人と長年連れ添った奥様がいたものの、被相続人が別の女性に「全額を遺贈(財産を渡す)する」と遺言で宣言したとします。
当然、この宣言は法定相続分よりも優先されます。
ただ、それでは家族の生活保障や「ともに支えてきた」権利を守ることはできないため、「遺留分」が存在します。
この場合、奥様の生活費は確保できないのでしょうか。
この対抗策として考えられたのが遺留分減殺請求権です。
遺留分減殺請求権により、奥様や子どもたちは当面の生活と「親族としての最低保障」を受けることが可能となります。
4.まとめ
まったく関係のない第三者に全財産を渡す、という遺言をよくテレビドラマなどで目にしますが、実際は遺留分減殺請求権によって、法定相続人に一定の財産が担保(保護)されています。
相続人同士で争いになる「争族」を避けるために、予め遺留分に注意することが大切です。