相続が発生した際に、不動産は相続税以外にも、税金がかかることをご存じでしょうか?
相続税と聞いたときに「自分の親のは、相続税がかかるのかな」ということがなにより気になるのではないかと思います。
しかし相続の際には、相続税だけでなくほかにも費用がかかることもあります。
特に不動産の場合は、相続登記で名義変更をする際に、登録免許税が発生します。
ここでは相続登記の際にどのくらい登録免許税がかかるのか、そして基礎知識や算出方法などもお伝えいたします。
1.登録免許税とは
登録免許税は「不動産の取得」「所有者の移転」「抵当権の設定」などの情報を登記簿に記載する際に発生します。
例えば、相続により所有権が変わったときは所有権移転登記が行われます。
そのときにかかる税金が登録免許税なのです。
1-1.登録免許税は支払わなければならないのか
相続が発生したならば、遺言や遺産分割協議にのっとって不動産の名義変更をします。
相続税の有無にかかわらず、相続登記は行う必要があるため、不動産があれば、登録免許税は必ず発生すると考えていいでしょう。
相続が進んで子供や孫の代になると、一般的には関係相続人が増加します。
不動産の名義変更をするのに、多くの人の承諾が必要になります。
しかも縁が遠く、ほとんど他人といっていいような人からも、承諾を得なくてはなりません。
場合によっては世界中に相続人が散らばることも考えられます。これらのことから、相続登記は速やかに行うのが鉄則で、その際、国税である登録免許税の納付は必須となります。
▼詳しく知りたい方はこちら
【放置しているとどうなるの?相続登記の期限と方法】
2.登録免許税の税率はどのくらい
2-1.課税標準
所有権移転登記は土地と建物の双方で行う必要があります。
また、移転の原因によって税率が異なります。
【土地の所有権移転】
所有権移転の原因 | 本則税率 | 特例(軽減税率) |
---|---|---|
相続 法人の合併 | 4/1000 | ― |
遺贈 贈与 | 20/1000 | ― |
共有物の分割 | 4/1000 | ― |
売買 贈与 その他 | 20/1000 | 15/1000(売買による)※平成29年3月31日まで |
【建物の所有権移転登記】
所有権移転の原因 | 本則税率 | 特例(軽減税率) |
---|---|---|
売買又は競売 | 20/1000 | 新築物件の取得の場合には住宅用家屋の軽減税率が適用 |
相続又は法人の合併 | 4/1000 | ― |
その他(贈与・交換等) | 20/1000 | ― |
参考:国税庁(登録免許税の税額表)https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm
税率は法律で定められており、基本的には値段の変更は行われません。
しかし経済状況やほかの法改正との兼ね合いなどで、優遇措置が取られることがあり、特例や軽減税率などと呼ばれます。
2-2.マイホーム購入時との違い
マイホーム購入時の税金と比較してみたいと思います。新築マイホーム購入ならば、新たに登記簿を作るための所有権保存登記、住宅ローンを組むならば、借入先を抵当権者とする抵当権設定登記などが必要になります。これら住宅購入を原因とする登記では、以下について軽減税率が適用されます。
【新築住宅の登録免許税 本則との比較】
軽減税率 | 本則 | 期限 | |
---|---|---|---|
所有権保存登記 | 1.5/1000 | 4/1000 | 平成29年3月31日まで |
所有権移転登記(売買) | 3/1000 | 20/1000 |
(認定長期優良住宅等は更に軽減あり)
参考:国税庁(登録免許税の税額表)https://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7191.htm