現金がないときは、相続税を土地で納めることができるのをご存じでしょうか?
どうしても相続税を現金で納められない場合の対策の1つとして、不動産や国際といった財産価値のあるものを代わりに納める「物納」という方法があります。
そして、物納をしている人のほとんどが、所有している財産の中でも土地を選び、納めています。
では土地を物納する場合、その土地の評価額はどのようにして決められるのでしょうか?
今回は土地を物納するときの評価方法やその注意点など、物納に関する基礎知識をお伝えします。
1. 物納とは
物納とは現金の代わりに、不動産や国債といった財産価値のあるものを納税に充てる方法です。
物納は基本的に延納も難しい場合の対策として行う最終手段であり、国もできるだけ相続税を現金で納税することを推奨しています。
また、物納できる財産には、第一から第三まで以下のように順位が決められています。
【第一順位】
不動産・国債・地方債・船舶・特定の美術品
【第二順位】
社債・株式・証券投資信託
【第三順位】
商品などの動産
実際に物納に使われている財産の9割は土地であり、それ以外の財産を物納しているケースはいずれも稀です。
▼物納について詳しく知りたい方はこちら
【現金でなくても納付できる!相続税における「物納」を知ろう】
2. 物納する土地の評価方法
国税庁は物納財産の価額について、以下のように説明しています。
物納財産を国が収納するときの価額は、原則として相続税の課税価格計算の基礎となったその財産の価額になります。
なお、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額となります。
出典:国税庁サイト(No.4214 相続税の物納「6 物納財産の価額(収納価額)」)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4214.htm
ここでは土地の3つの評価方式と、貸宅地の評価についてご説明します。
2-1. 基本の3つの評価方式
土地を物納するためには、まずその土地の相続税評価額を割り出さなければなりません。
相続において、土地を評価する方法には、路線価方式、倍率方式、比準方式の3つがあり、それぞれの地目によってどれが該当するかが変わります。
2-1-1. 路線価方式
路線価とは一言でいうと「税務署が道路に付けた値段」のことであり、毎年7月1日にその年の路線価が公表されています。
基本的に「宅地」の相続税評価額は、この路線価を基準に算出する「路線価方式」によって決められます。
全国の路線価が分かる「路線価図」は各税務署に設置されているほか、国税庁サイト(http://www.rosenka.nta.go.jp/)から自由に閲覧することができます。
●計算方法(概算)
相続財産となる土地の面積 × 路線価格
(例:面積が100平方メートルで路線価格が60万円だった場合、相続税評価額は6,000万円となります)
●路線価図の確認方法
国税庁サイト(http://www.rosenka.nta.go.jp/)にアクセス
↓
都道府県を選択
↓
「路線価図」をクリック
↓
物納したい土地のある市区町村をクリック
2-1-2. 倍率方式
「倍率方式」とは、路線価が定められていない地域で採用されている評価方法で、固定資産税評価額と国税局長が定める評価倍率をもとに計算されます。
該当地の評価倍率も、路線価図と同じように国税庁サイト(http://www.rosenka.nta.go.jp/)から確認できます。
●計算方法(概算)
固定資産税評価額 × 該当地の評価倍率
(例:固定資産税評価額が5,000万円で評価倍率が2.0倍だった場合、相続税評価額は1億円となります)
●評価倍率の確認方法
国税庁サイト(http://www.rosenka.nta.go.jp/)にアクセス
↓
都道府県を選択
↓
「評価倍率表(一般の土地等用)」をクリック
↓
物納したい土地のある市区町村をクリック
2-1-3. 比準方式
比準方式とは、後述する「市街地農地」「市街地周辺農地」「市街地山林」「市街地原野」を評価する場合にのみ用いられる方式です。