なぜかと言いますと、相続人の人数によって遺産分割の割合も変わるからです。
そして、胎児が産まれて相続人になったからといって遺産分割協議に参加できる訳がありませんので、その場合には胎児の代わりに特別代理人を申立て、その代理人が遺産分割協議に参加することになります。
胎児の存在が発覚した場合には、通常の相続とは違う流れになりますのでご注意ください。
3-6.相続廃除をされていた場合
相続廃除とは、被相続人から見て、その人に相続させたくないと思う様な非行があった場合に、被相続人の請求によって家庭裁判所が審判または調停によって相続権を剥奪する制度です。
被相続人に対して虐待を日常的に繰り返していたり、重大な侮辱を与えていた、または推定相続人に著しい非行があった等の理由で、被相続人によって相続人から相続権を取り上げられます。
そうなると、相続権を失う形になりますので、財産を相続することはできません。
相続廃除をされた場合には、遺贈を受ける権利までは消滅しません。
遺贈については、次項目で解説いたします。
▼相続廃除について詳しくはこちらをご参照ください。
【相続させたくない人を廃除するための制度と手続き方法】
3-7.相続欠格をされていた場合
相続欠格とは、ある一定の事由により、相続人としての資格を剥奪されることをいいます。
一定の事由とは、故意に被相続人及び先順位または同一順位の相続人を殺害したり、被相続人を脅迫し、遺言書を作成させる・内容を変更させる、また、遺言書の内容を偽造や破棄した等が挙げられます。
これらの行為が発覚した場合には、相続廃除と違い誰からの手続きがなくとも、当然に相続人の資格を失うことになります。
従って、相続権は消滅してしまいます。
さらに、相続欠格をされた場合には、相続権だけでなく遺贈を受ける権利も消滅します。
遺贈とは、遺言書によって被相続人の財産を誰かに贈与することをいいます。
贈与を受ける人が、相続人に限らず誰でも受けられるのと同じように、受贈者についても相続人以外の人がなることも可能です。
4.相続権の時効
相続権を有する相続人が、残された財産を誰が、どのようにして相続するのかを協議することを、遺産分割協議といいます。
この遺産分割協議には、時効はありません。
一定の期間を過ぎてしまったからといって、相続権が消滅してしまうこともありません。
協議による話し合いがまとまらない場合には、結論が出るまで話し合いを続けるか、遺産分割調停・審判といった様に法的な機関を間に入れて協議を進めていくことになります。
▼その他の相続にまつわる様々な時効についてはこちらをご参照ください。
【知らないと危険!遺産相続の時効と各種手続きについて】
5.相続権の放棄
相続の放棄には、似ている様で全く違う2種類の意味があります。
家庭裁判所に申立てを行う、法的な「相続放棄」と、遺産分割協議書にて行う事実上の「相続放棄」です。
前者は、相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申立てを行う手続きになり、プラスの財産もマイナスの財産も全て放棄をし、はじめから相続人でなかったことになります。
従って、家庭裁判所にて相続放棄の申立てが認められた場合には、今後新たな財産が出てきた際や、銀行の預金口座や不動産の名義変更等の手続き時にも一切関わる必要がなくなるということです。
後者は、遺産分割協議書の中に記されている財産について、相続する権利を放棄するという意思表示になる為、相続人である権利までは放棄されません。
その為、新たな財産が見つかった場合にはまた遺産分割協議に参加する権利がありますし、各名義変更等の手続きの際にも、都度、意思表示が必要になります。
一口に「放棄」といっても、どういった放棄の方法を取りたいかによって手続きが変わってきますので、ご注意ください。
6.まとめ
今回は、相続権とは誰にどこまで発生するのか?順位や、判断に迷われるかもしれないいくつかのパターン別で相続権の発生有無について解説させていただきました。
知っているか知っていないかで、対策方法や手続きの手順も変わってきます。
相続権があるのか、ないのかは、相続手続きにおいて入り口となる部分になりますので、ご参考にしていただけますと幸いです。
著者:相続ハウス 栗田 千晶(相続診断士)