実際にどれだけの税金がかかるのか、具体的な例を示して計算してみましょう。
【例】
被相続人の子ども2人が、6,000万円の現金を相続で受け取った場合。
まずは、基礎控除の金額を求めましょう。
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
6,000万円から基礎控除額を引きます。
6,000万円-4,200万円=1,800万円
課税対象となる金額は、1,800万円となります。
次に、相続税の金額を求めましょう。
1,800万円を法定相続分にすると、子ども一人当たりの課税価額は900万円になります。
900万円に課せられる税率は10%となります。
900万円×10%=90万円
子どもは2人ですから、相続税額の合計は180万円となります。
この合計額を、実際に相続した財産の割合に按分して、各子どもは相続税を支払うことになります。
2-3.相続税の控除制度
財産の内容や相続人の条件によって、相続税の負担が軽減されるさまざまな控除制度も設けられています。
こうした制度を利用することによって、相続税がかからなくなるケースもあります。
・配偶者控除
被相続人の配偶者が相続を受けた財産は、1億6,000万円か法定相続分に相当する金額のうち、高い方の金額までの控除が認められています。
・未成年控除
相続人が20歳未満であった場合、20年になるまでの年数1年につき10万円が相続税から控除されます。
相続の控除に関しては、他にも障害者に認められる控除や3年以内に支払った贈与税に対して行われる控除など、さまざまな控除が認められています。
▼相続税の控除について詳しく知りたい方はこちら
【控除できれば相続税が安くなる!相続税の控除のまとめ】
2-4.相続税の注意点
相続税については、他にもさまざまな注意点があります。
その中でも、特に注意してほしいものをお伝えします。
2-4-1.相続税の納税期限は10ヶ月
相続税の支払には、10ヶ月以内という期限が存在しています。
さらに相続人が複数いる場合、相続税の納税は全員で行うか、または連名によって行う必要があります。
2-4-2.不動産を売却した場合は、所得税が課せられる可能性がある
相続した土地や家屋といった不動産を売却し、利益が出た場合には、相続税とは別に所得税も課せられます。
相続税を支払えば大丈夫というわけではないので、注意しましょう。
2-4-3.負担をした人と受取人によって、課税の内容が変わる死亡保険金
被相続人が生命保険に加入しており、亡くなったことで死亡保険金が支払われた場合には、その死亡保険金も課税対象となります。
ですが、受取った死亡保険金には非課税枠が設けられています。
「500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額」
2-4-4.申告漏れや未納税にはペナルティーがある
未納税や申告漏れなどの理由で相続税を全額支払わず、期限である10ヶ月を過ぎてしまった場合には、支払っていない金額に対して延滞税が加算されます。
申告をしなかった場合には「無申告加算税」という延滞税が、少ない相続税を申告した場合には「過少申告加算税」という延滞税が、それぞれ課せられます。
こうしたペナルティーを負わないためにも、10ヶ月の期限以内に納税を行わなければいけません。
3.贈与にかかる税金
個人から財産を受け取った際には、受け取った財産の金額に対して贈与税が課せられます。
この贈与税について、税率や特例といった基本的な情報をお伝えします。
3-1.2つの課税制度がある贈与税
贈与税については2つの制度があります。
これらの制度は適用される条件が異なり、また控除される金額にも違いがあります。
3-1-1.暦年課税制度
暦年課税制度とは、1年間に行った贈与の財産の金額に対して贈与税が課せられる制度です。
この制度では110万円の控除が認められており、財産の価格が110万円を下回る場合には、申告や納税を行う必要はありません。
3-1-2.相続時精算課税贈与税
60歳以上の父親もしくは母親が、20歳以上の子どもや孫に贈与を行う場合に適用される制度です。
相続時精算課税贈与税の場合、その価格が2,500万円以下であれば、贈与税は課せられません。
ですが、贈与を行った父親か母親が亡くなった場合には、贈与された財産は相続税の対象となります。
そのため、後に相続税が課せられることを覚えておかなければいけません。
3-2.贈与税の税率
暦年課税制度の税率には、一般税率と特例税率の2種類があります。
国税庁の公式ウェブサイトに掲載されているそれぞれの税率と控除額は、以下のようになっています。