相続が発生し、亡くなった被相続人が不動産を持っていた場合、家や土地などの名義を(遺族などの)相続人に書き換えることを「相続登記」といいます。
費用を安く抑えるため、自分で手続きをしたいと思うけれど、実際にどのように手続きしたらいいのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか?
登記と聞くと、司法書士や弁護士等が担当をするイメージがありますが、専門家に依頼すると、どうしても費用が発生してしまいます。
今回は、相続登記にかかる費用や登録免許税の計算方法など、費用を安く抑えて、自分で手続きを行うために役立つ情報をお伝えいたします。
1.相続登記とは
相続登記は、相続が発生したからといって勝手に行われるものではなく、相続人から申請する必要があります。
申請先は、その不動産を管轄している法務局(登記所)に限られており、どこの法務局(登記所)でもいいというわけではありません。
また、申請は原則、その不動産を相続する人がしなければなりません。
申請における期間については定められておらず、不動産を相続することになったからと言って、必ずしも相続登記をしなければならないわけではありませんが、相続登記をせずに放置するのはあまりおすすめしません。
1-1.相続登記をしない場合のデメリット
相続登記をせずにそのまま放置すると、「この不動産は私のものだ」と第三者に対抗できなくなります。
また、その不動産を売りたくなった場合に売買契約がしづらくなります。
他にも、自身が亡くなった場合に、その不動産を引き継いだ人にとって権利関係が複雑になってしまいます。
このように、相続登記をせずに放置するとたくさんのデメリットが生じてしまいます。
▼詳しく知りたい方はこちら
【放置しているとどうなるの?相続登記の期限と方法】
2.相続登記にかかる費用
自分で相続登記をする場合、必要書類を取得するのにかかる費用のほか、交通費や郵送代を考慮する必要があります。
そして相続登記をするにあたり、登録免許税を納める必要があります。
2-1.必要書類にかかる費用
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) | 480円~(取得方法により金額が異なります) |
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被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの) | 300円/通 |
被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本 | 750円/通 |
相続人全員の戸籍謄本 | 450円/通 |
相続人全員の印鑑証明書 | 300円/通 |
不動産を取得する人の住民票 | 300円/通 |
固定資産評価証明書 | 土地1筆・家屋1棟につき300円 |
※各必要書類は自治体により費用が異なるので、お問い合わせされることをおすすめします。
2-2.登録免許税の計算方法
登録免許税を計算するには、固定資産税評価額と呼ばれる数字を知る必要があります。
固定資産税評価額は、毎年5月~6月頃に届く、固定資産税納税通知書で確認することができます。
もしくは、役所の窓口で固定資産税評価証明書を取得し、確認することも可能です。
相続登記の場合、添付書類として固定資産税評価証明書は必要になるので、取得しておくといいでしょう。
では、登録免許税の計算方法を確認していきましょう。
たとえば、2,000万8,340円の土地を相続したとしましょう。
(1)1,000円未満を切り捨てます。
2,000万8,000円
(2)相続における登録免許税の税率である「0.4%」を掛けます。
2,000万8,000円×0.4%=80,032円
(3)100円未満を切り捨てます。
80,000円(納付税額)
2-2-1.登録免許税の納付方法
登録免許税は現金ではなく、相続登記申請書に「収入印紙」を貼り付けて納めます。
収入印紙は、法務局の窓口や郵便局で入手できます。
登録免許税の場合、所得税など他の税金とは異なり、万一、少なく納めてしまった場合でもペナルティはありません。
後日、法務局から電話などで連絡があり、追加納付するよう指示されます。
3.専門家に依頼した場合にかかる費用
司法書士や弁護士等の専門家に相続登記の依頼をした場合、おおよそ7万円前後の報酬を支払うケースが多いようです。
事務所によっては、この7万円に登録免許税や交通費等、必要な経費が上乗せされ、さらに複雑な相続登記の場合には状況に応じて加算されるところもあるようです。
3-1.専門家に依頼した方がいいケース
では、専門家に依頼した方がいいのは、どのような時なのか確認してみましょう。
・「争族」になっていたり、相続人の特定が困難な場合。
・祖父が死亡し父が相続人になっていたけれど、手続きをする前に父も死亡するなど、立て続けに相続が発生した場合。
・相続した不動産に地上権や賃借権といった他人が絡む権利が付いている場合や早急にその不動産を売りたい場合。