前回の相続に対して課税された相続税の金額のうち、前の相続からの年数が1年につき10%が減っていくという計算で控除価格が決定されます。
具体的に示す為に、国税庁の公式ウェブサイトに掲載されている計算式を紹介します。
A×C/(B-A)[求めた割合が100/100を超えるときは、100/100とする]×D/C×(10-E)/10=各相続人の相次相続控除額
A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
この相続税額は、相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額をいい、その被相続人が納税猶予の適用を受けていた場合の免除された相続税額並びに延滞税、利子税及び加算税の額は含まれません。B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務及び葬式費用の金額)
C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
D:今回のその相続人の純資産価額
E:前の相続から今回の相続までの期間
1年未満の期間は切り捨てます。
出典:国税庁ウェブサイト
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4168.htm
2-6.海外で相続税を支払った人が受けられる控除
被相続人が海外に所有していた財産については、その国で相続税を支払う場合もあります。
その際には、その国と日本との間で2重に課税するリスクを避けるために、その国で支払った税金が控除されます。
3.小規模宅地等の特例
相続によって引き継ぐ可能性の高い財産の1つに土地がありますが、それらの土地が、被相続人が住んでいたり事業に使っていたりした場合には「小規模宅地等の特例」という制度が適用されます。
この制度を使うと、例えば、対象となる土地に被相続人の住んでいた場合は、面積の330㎡までに対して、相続税の課税対象となる価格が80%減額されます。
▼小規模宅地等の特例について詳しく知りたい方はこちら
【小規模宅地等の特例を活用して相続税を80%減らす究極の方法】
4.相続税の控除額の計算例
実際に相続税が控除された上で、どれだけの金額が課税されるのかを、計算によって求めてみましょう。
例えば、被相続人の子ども2人が、5,000万円の財産を相続で受け取ったとします。
法定相続人はこの2人で、1人は20歳、もう1人が17歳だとします。
まず、財産総額から基礎控除の金額を引きます。
5,000万円-(3,000万円+600万円×2)=800万円
子ども2人の場合、法定相続分は2分の1ずつになります。
その内容にしたがって、財産を均等に分けるものとします。
課税価格はそれぞれ400万円ずつになります。
1,000万円以下の場合は、課税される税率は10%となり、控除額はありません。
400万円×10%=40万円
ここから下の子どもは17歳なので、20歳になるまでの年数(3年)につき10万円が控除されます。
3年×10万円=30万円となり、30万円が控除されます。
40万円-30万円=10万円
こうした計算の結果、上の子どもの相続税は40万円、下の子どもの相続税は10万円となります。
5.まとめ
相続人の条件や財産の種類によって、さまざまな控除が受けられることがお分かりいただけたかと思います。
細かい条件が設定されている上に、控除額の計算方法もそれぞれ異なっています。
相続人にとっては正直、手間であることは言うまでもありません。
ですが被相続人の財産をなるべく純粋な形で受け取るためにも、どのような控除が適用されるかを把握しておくことは大切です。
現在相続に向き合っている人はもちろんですが、まだ直面していない人も、事前に備えておくといいかもしれません。