しかし、後になって協議を蒸し返されたりなど、何かあった際に、遺産分割協議書が残されていれば「相続人全員の合意のもとでこのような遺産分割になった」という証拠になります。
トラブルを未然に防ぐためにも、遺産分割協議書は作成しておいた方が良いと思われます。
<参考記事>
遺産分割協議書の書き方とポイントを解説【サンプル付】
5-5.話し合いがまとまらない場合
5-5-1.遺産分割調停
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要となります。1人でも反対する方がいた場合、その遺産分割協議は有効な遺産分割協議とはなりません。
相続が発生し、相続税の申告が必要な場合には相続発生から10ヵ月以内に申告・納税を行う必要があります。
遺産分割協議が終わっていなくても、相続税の申告期限内に手続きを終えなくてはなりません。どうしても話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行います。
遺産分割調停では、裁判官と民間から選ばれた調停委員2人で構成される調停委員会が、相続人のそれぞれから話を聞き、納得して問題を解決できるように意見を調整してくれます。
法律的、実務的に妥当な結論に向けた歩み寄りを前提として、調停員が助言や解決案の提示をして話し合いを進めてきます。
5-5-2.遺産分割審判
それでも話し合いがまとまらず、調停が不成立となった場合には自動的に審判手続きへと移行します。
裁判官の判断によって、結論が出されることになります。
<参考記事>
【遺産分割がまとまらない!遺産分割調停で解決策を】
6.まとめ
遺産分割協議は、相続手続きに関してとても重要なものになります。
相続税申告が必要な方には、この遺産分割協議が速やかにまとまるかまとまらないかで、その後の手続きに相当な影響が出てきます。
また、申告や名義変更の必要がなかった場合でも、財産を誰がどのように分けるのか?という相続手続きを進めていく面では欠かせません。
どうして行わなければいけないの?今は面倒だから、とりあえず今は放っておこうとお思いの方も多々いらっしゃるかもしれません。ですが、遺産分割協議を行わずにいたことによって、後々相続権が引き継がれていった相続人の方々が、途方に暮れているという事態は少なくありません。
今回ご紹介させていただいた、遺産分割協議の流れをご参考にしていただいて、相続発生時に遺産分割協議を速やかに行っていただけますと幸いです。
また、遺言書が遺されていた場合でも遺産分割協議が必要になってしまう場合もあるという事例についてもご紹介させていただきましたので、遺言書を遺されている方、そして相続発生後に揉めるかもしれないという方は、遺言書の内容をチェックしてみてください。
著者:相続ハウス 栗田千晶 (相続診断士)
監修:赤坂トラスト総合事務所 市倉伯緒 (司法書士)