贈与を行う際「相続時精算課税制度」を適用するためにはどのように申告をしたらいいか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか?
贈与税の課税方式の1つである「相続時精算課税制度」を適用すると、生前贈与を2,500万円まで非課税で行うことができるようになるため、生前贈与を受けた多くの方がこの制度を有効活用しています。
ではこの「相続時精算課税制度」を適用するためには、どのように申告をすればいいのでしょうか?
「相続時精算課税制度」の申告手続きの流れや必要な書類、注意点などを詳しくお伝えします。
1. 相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度とは贈与税の課税方式のひとつで、2,500万円までであれば税金をかけることなく生前贈与が行えるというものです。
贈与税の課税方式には「相続時精算課税」と「暦年課税」の2種類があり、相続時精算課税制度は固定税率(一律20%)、暦年課税は超過累進税率となっています。
▼詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
【相続税対策に意外と使える!相続時精算課税制度の活用法】
2. 相続時精算課税制度の申告方法
相続時精算課税制度は、一定の適用条件を満たす人だけが選択できるようになっています。
続いてはその申告方法について見ていきましょう。
2-1. 申告手続きの流れ
相続時精算課税制度の申告手続きの流れは、以下の通りです。
受贈者として贈与を受ける
↓
自分が相続時精算課税制度の適用条件を満たしているか確認する
↓
申告手続きのために必要な書類を集める
↓
申告手続きを行う
2-2. 申告するための条件
相続時精算課税制度の申告をするためには、贈与者・受贈者ともに以下の適用条件を満たしていなければなりません。
2-2-1. 対象となる贈与者
贈与をした年の1月1日現在において60歳以上であること
2-2-2. 対象となる受贈者
(1) 次のいずれかに該当する者であること。
イ:贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
ロ:贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
ハ:贈与を受けた時に、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有している。
(2) 贈与者の直系卑属である推定相続人である子又は孫であること。
(3) 贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上であること。
▼参考:国税庁HP(相続時精算課税選択の特例)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4503.htm
2-3. 必要書類
相続時精算課税制度の申告には、以下の書類が必要となります。
・贈与税の申告書
・相続時精算課税選択届出書
(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/zoyo/yoshiki2011/pdf/014.pdf)
・受贈者の戸籍謄本(抄本)
・受贈者の戸籍の附票の写し
・贈与者の住民票の写し
・贈与者の戸籍の附票の写し
2-4. 申告期限
相続時精算課税制度の申告期間は「贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで」です。
この期間に申請をしないと、自動的に暦年課税で贈与税が課税されることになります。
3. 贈与税の申告書とは
相続税の申告書が第15表まであるのに対し、贈与税の申告書はかなりシンプルで、第2表までしかありません。
それぞれの用紙がどういうものなのか確認してみましょう。
3-1. 申告書第一表(贈与税の申告書)
相続税の申告をするすべての人が使用する申告書で、申告者の情報や贈与を受けた財産の種類、金額、贈与税額などを記載します。
「相続時精算課税制度」や「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けない場合は、申告書第一表のみを提出しましょう。
3-2. 申告書第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)
もし住宅を購入するために贈与を受けた人が各種要件を満たしていた場合には、申告書第一表の二を一緒に提出することで「住宅取得等資金贈与の特例」を受けることができます。
3-3. 申告書第二表(相続時精算課税の計算明細書)
相続時精算課税制度の申告をするために必要です。
申告書第二表には、特定贈与者の情報や取得した財産の明細、取得年月日などの情報を正確に記入して、問題なく特例を受けられるようにしましょう。