自分の財産を孫に財産を渡したいと思われたことはありませんか?
相続では財産を受け継ぐことができる人の範囲や割合、順位が決められており、被相続人の子供は法定相続人に含まれていますが、基本的に孫は相続人に含まれていないのです。
では、孫へ財産を相続させるためには、どうしたらいいのでしょうか?
ここでは孫へ財産を渡すための4つの方法」をご紹介します。
1.孫は法定相続人ではない
被相続人の財産を引き継ぐことができる一定範囲内の親族は「法定相続人」と呼ばれ、以下の人になります。
常に相続人 | 配偶者 |
第一順位 | 子(代襲相続人を含む) |
第二順位 | 直系尊属 |
第三順位 | 兄弟姉妹(代襲相続人を含む) |
このように、孫は法定相続人ではないため、相続があった時に孫に財産を遺す場合は何らかの手段を講じる必要があります。
2.孫に財産を渡すための4つの方法
2-1.遺言書
遺言書は特定の孫に特定の財産を相続させたり、複数の孫に相続を遺せたり、被相続人の意思を反映させやすいのが魅力です。
遺言書の中でも自筆証書遺言ならば、自分で作成も可能ですし、生前何度でも書き直しができますので、状況の変化に応じて臨機応援に対応することもできます。
他にも検認手続きが不要な公正証書遺言や遺言の内容を秘密にしておける秘密証書遺言など、バリエーションが豊富ですので、好みの方法を選べるのもいいですね。
▼遺言書について詳しく知りたい方はこちら
【【保存版】遺される家族のためにぜひ検討したい遺言書の全て】
2-2.生前贈与を行う
贈与にも税金がかかりますが、年間110万円までなら非課税となります。
1年ごとの贈与額は多くなくとも、毎年積み重ねれば大きな財産を譲り渡すことが可能です。
なお、自身で孫名義の通帳を作り、お金を振り込むといった、預貯金を使って贈与を行う場合もありますが、このような預貯金は「名義預金(名義だけ他人にした本人の預貯金)」とされ、孫の財産とはみなされない可能性が高いので、注意が必要です。
通帳の管理は孫、もしくは孫の親権者に任せ、可能であれば贈与の契約書も交わしておくようにするなど、贈与を行うならば、互いの意思確認をしっかり行うようにしましょう。
2-3.生命保険の活用
一般的なのは、自身の生命保険の受取人を孫にする方法で、万が一の時にはスムーズに財産を遺せるでしょう。
ただし、孫は法定相続人ではないため、500万円×法定相続人の数の金額が控除される「生命保険の非課税枠」は適用できませんので、一定の相続税が課されることを見込んでおくようにしましょう。
また、生命保険の保険料を孫に贈与するという方法もあります。
保険料金が年間110万円以下ならば、贈与税は発生しません。
更にこの方法ならば孫が保険料を支払っているため、保険金が相続税の対象になりません。
なお「名義預金」と同じような問題が生じるため、保険料の贈与が真正に行われたことを証明できるようにしておきたいです。
贈与の記録が残るように書面を交わしておくと安心かもしれません。
2-4.養子縁組
孫を養子縁組によって子供にしてしまうことで、法定相続人としての権利を手に入れることができます。
ただ、養子縁組には家庭裁判所の許可が必要ですし、戸籍上とはいえ続柄が変わってしまうのは孫にとって影響が大きいかもしれませんので、採用の可否は慎重に検討したいです。
留意点として、養子縁組の相続権には一定の制限があります。
相続人に実の子がいる状況で養子を設ける場合、法定相続人に含めることができる養子は1人までと定められているのです。
複数の孫を養子にして平等に相続させることは出来ませんので注意しておきましょう。
▼養子縁組について詳しく知りたい方はこちら
【養子は相続財産を貰えるの?養子縁組を行う際の注意点】
3.孫が法定相続人になる代襲相続
代襲相続とは
相続開始時に被相続人の子が、「死亡している」「法律上当然に相続人としての資格を失う」などの場合、その子(被相続人の孫)が相続分を承継します。これを代襲相続といいます。
なお、「法律上当然に相続人としての資格を失う」とは、相続人となるべきものが被相続人を故意に殺害したり、脅迫や詐術によって遺言書を書かせた、などが要件で、かなり特殊な事例といえるでしょう。
4.孫に相続させるときの注意点
4-1.相続税が2割増になる
生前贈与や生命保険を活用することで、孫に相続財産を遺すことが可能ですが、本来相続人でない孫への相続は、「二割加算」といって、相続税が20%増しになります。
「孫のためにこれだけの財産を遺したい」という時は、税金が加算される分多めに見積もることが必要かもしれません。
4-2.トラブルを避けるためにしておきたいこと
孫に財産を相続させることによって、遺された遺族の間に溝が生じてしまう可能性もあります。
こうしたトラブルを避けるためには、事前に相続間で話し合いをしておきたいです。
孫を応援したいという思いや、理由を他の相続人に伝えて納得してもらいましょう。
また、例えどんな理由があったとしても、相続財産全体に比べて孫への相続分が過多であれば理解が得にくいです。
金額についても十分な配慮をしたいです。
相続の目的や合意の経緯を遺言書に遺しておき、理解してもらった内容がぶれないようにしておくと更に安心です。
5.まとめ
相続人との関係や貢献度、孫の経済状況によっては、つながりの近い子供よりも、孫に財産を渡したいと考えるケースもあり得ます。
そのような場合には、ぜひとも今回紹介した遺言や生前贈与の活用や養子縁組を行う方法を参考にしてください。