皆様の中には、親が亡くなったり介護施設に入った後に空き家になってしまった家を相続した(する)けれど、その後どうしたらいいのかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
解体費用が高い、面倒くさい、売れるかわからない、など様々な理由があるかもしれませんが、空き家はそのままにしておくと相続人だけではなく、家のご近所の人にまで迷惑がかかってしまうこともあります。
そこで今回は、空き家を相続した後の対処方法と、空き家と併せて活用したいお得な控除や補助金制度をご紹介しますので、既に空き家を相続した方も今後する予定の方も、ぜひ参考にしてみてください。
1.空き家をそのままにしておくのはデメリットばかり!
空き家をそのままにしておくと、倒壊や老朽化によりケガをしたり、放火や不法投棄などの可能性があるのでとても危険です。
またどんなに市場価値が低くても、所有しているだけで固定資産税がかかってしまいます。
そして最も影響があるものが、2015年5月26日に施行された「空き家対策特別措置法」です。
これは市町村の調査で「特定空き家等」と認定されれば指導、勧告、撤去命令などの対象となるというもので、所有者が撤去命令に従わない場合や、市町村が手を尽くしても所有者が分からない場合は、強制的に取り壊しができることになったのです。
(認定されたらすぐ取り壊しになる訳ではありません)
しかも、この取り壊し費用は所有者が負担しなくてはいけません。
「特定空き家」とは
•そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
•著しく衛生上有害となるおそれがある状態
•適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
•その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(空家対策特別措置法第2条より)
このままだと負担が大きいから空き家をどうにかしたいなと思った場合、売却・賃貸・相続放棄・寄付の4つの方法があります。
2.空き家を売却する場合
空き家を売却する場合、まず不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更する作業(相続登記)が必要です。
相続登記が完了後、新しく名義人となった人が売却手続きを行います。
▼相続登記について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
【相続登記をしないと後悔する!やり方や必要書類を解説】
2-1.費用
売却をするにあたって、下記の費用が発生します。
2-1-1.登録免許税
相続登記の際に法務局に支払う税金です。
相続の場合の登録免許税は「固定資産評価額×0.4%」と決まっており、これは該当不動産を相続した人が支払います。
2-1-2.譲渡所得税
売却価格が取得費+経費より高かった場合、その差額に対して譲渡所得税が発生します。
相続した家の場合、取得したのがかなり昔であるため取得費がわからなかったり、契約書や領収書がない、というケースが多々見受けられます。
そのような場合、取得費の額を譲渡収入の5%相当額とすることができます。
▼詳しくはこちらをご覧下さい。
【土地や建物を売ったら課税対象!譲渡所得税を徹底解剖】
2-1-3.建物解体費用
更地にして売却する場合、建物を解体する必要があります。
地域、面積、構造によって費用は大きく変わるので一概に○○円とは言えません。
複数社に見積もりをしてもらい、比べてみることをおすすめ致します。
2-2.空き家バンク
最近では国が自治体(市区町村など)に空き家問題に取り組むよう働きかけており、「空き家バンク」を設置している自治体もあります。
空き家バンクとは、主に自治体や自治体から委託を受けた団体によって運営されており、空き家の所有者と利用希望者のマッチングをする仕組みです。
不動産会社が仲介手数料を受け取る営利目的であるのに対し、自治体が運営しているため営利目的ではなく、費用なしで利用できる制度です。
しかし空き家バンクを設定している自治体は少なく、空き家の受け入れはまだまだ少ないと言えます。
2-3.空き家を売却する場合のメリット
2-3-1.空き家解体の補助金制度
解体費用の補助は多くの自治体で行われています。
解体費用が高くて困っている方は、対象の空き家がある地域に補助金制度があるか確認してみましょう。
補助金の金額は、解体工事費用の半分や1/3など、自治体により様々です。
補助金を受けることができる条件は自治体により異なっていますが、旧耐震基準で建築されているものや防火地域等の地域指定があることが多いようです。
2-3-2.譲渡所得の特別控除
「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」とは、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに売却した空き家のうち、一定の条件を満たしていれば売却益(譲渡所得)のうち3,000万円までは非課税になるというものです。
「一定の条件」とは
•相続開始まで自宅であり、相続により空き家になった
•昭和56年5月31日以前に建築された
•マンションなど、区分所有建物ではない(戸建てである)
•相続から3年を経過する日の属する12月31日までの譲渡である
•売却額が1億円を超えない
•相続から空き家以外になっていない(使用履歴がない)
•行政から要件を満たす証明書等が発行されている
以上の条件を全て満たす必要があります。
これは平成28年4月からスタートした特例であり、空き家の売買を活発にして空き家を減らしていく目的で定められました。
この控除が使えるのは平成31年12月31日までです。
2-4.空き家を売却する場合のデメリット
買い手が見つからない可能性がある
当たり前ですが、売却は買い手が見つからないことには成立しません。
なかなか買い手が見つからなかった場合、見つかるまでの管理や費用は当然発生します。