・相続欠格者
・被相続人により廃除を受けた人
・虚偽の養子縁組で養子となっている子
・虚偽の認知届で子となっている人など
5-2.時効及び除斥期間
相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間、この権利を行使しないときは、時効によって消滅してしまいます。
上記の法定代理人とは、包括受贈者、相続分の譲受人、遺言執行者、相続財産管理人等が該当します。これらの人たちも、相続権を請求することができます。
また、相続開始から20年が経過したときは、真正相続人が相続権侵害の事実を知った知らないに関わらず、消滅します。
相続権の侵害された事実を知った時とは、単に相続開始の事実を知るだけでなく、自分が真正相続人であることを知り、しかも自分が相続から除外されている事実を知った時とされています。
6.相続税申告
6-1.相続税申告の期限
相続が発生し、相続税の申告が必要になることが分かった場合、申告には期限があります。
申告期限(税務署に申告書を提出する期限)は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内になります。
例えば1月10日に相続開始を知った場合には、その年の11月10日が相続税の申告期限になります。
また、納付期限(納税額を税務署に納付する期限)も申告期限と同一であるため注意が必要です。
申告してから納付期限が設けられるわけではないので注意しましょう。
申告期限までに申告をしても、税金を期限までに納めなかった際には利息にあたる延納税がかかる場合がありますのでご注意下さい。
▼詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
【もう過ぎてる?/相続税の申告期限と過ぎた場合のペナルティ】
6-2.課税権の期間制限(除斥期間)
相続が発生したときに、相続人がそもそも相続の発生自体を知らなかった、また、相続が発生したことは知っていても、自分が相続税の申告対象者であることを知らなかったという事態も、稀かもしれませんが起こり得ます。
その場合、ある一定の年数が経過すると、相続税の申告・納税義務(課税権)が消滅します。
課税権の期間制限は、原則5年、そして、悪質な場合は7年と定められています。
まず、原則5年ですが、こちらは相続の開始を知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)から10か月の申告期限を起算日とします。
すなわち、相続の開始(亡くなったこと)を知った日から、5年10ヶ月(7年10ヶ月)で時効になります。
悪質な場合とは、相続税の申告・納税義務が自分にあると知っていたにも関わらず、意図的に申告を行わなかった場合を指します。
この場合には、期間が5年から7年に延びます。
また、法律を知らなかったということは通用しませんのでご注意ください。
自分に申告義務が発生すると分かった時点で、速やかに申告されることをおすすめします。
7.相続登記
7-1.相続登記とは
不動産(土地、建物、マンションなど)を持っている人が亡くなられた後、その不動産の名義を相続で受け継いだ人に書き換えることを相続登記といいます。
「相続登記」と聞くときもあるし「不動産登記」と聞くときもありますが何か違うの?と思われるかもしれません。
これらは同じ意味として捉えていただいて構いません。
相続登記とは、相続を原因として名義を書き換えることをいいます。
7-2.時効
相続税申告とは違い、相続登記には時効がありません。
例えば20年前に祖父が亡くなり、5年前に父が亡くなったけれど、家の名義は祖父のままだった、ということがあった場合、名義人である祖父が亡くなったのは20年前ですが、今から相続登記をしても十分間に合います。
ですが、時効が設けられていないからといって、そのままずっと放置していると、いざその土地を売却しようと思った際に権利関係が複雑化していた等、本来相続のタイミングで行っておけばスムーズに済んだ手続きが、長年放置していたが為に、煩雑なってしまったというケースは少なくありません。
早急に!ということではありませんが、出来るだけスムーズなうちに手続きを終えておかれることをおすすめします。
▼詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
【放置しているとどうなるの?相続登記の期限と方法】
8.まとめ
今回は、時効や除斥期間が設けられている各手続きの解説と、これらがいつ来るのかについてご紹介させていただきました。
あまり認知されていないものもありますが、相続には様々な手続きに関しての時効や除斥期間があります。
ご自身が相続手続きの関係者になった際に、自分に該当する必要な手続きはどの手続きになるのか、また、時効や除斥期間がいつと定められているのかをあらかじめ把握し、相続に備えましょう。
著者:相続ハウス 栗田 千晶(相続診断士)
監修:弁護士法人法律事務所オーセンス 森田 雅也(弁護士)