最近は少し条件が悪くても買い取ってくれる買取専門業者もありますが、通常の売却と比べると売却価格はかなり下がります。
また中には信用性の低い業者もありますので、よく見極めることが大切です。
3.空き家を貸す場合
空き家を誰かに貸す場合、売却同様、まず不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更する作業(相続登記)が必要です。
3-1.メリット
3-1-1.解体費用がかからない
家をそのまま貸すことができるので、解体費用はかかりません。
解体に必要な日数もかかりませんので、すぐに人に貸すことができます。
3-1-2.家をそのまま保存できる
思い入れがある家を壊さなくて済みます。
人が住むことで管理しているのと同様な状態になり、家が傷むのを避けられます。
3-2.デメリット
3-2-1.借り手が見つからない場合がある
築数十年経った家ですと、老朽化も進んでおり、なかなか借り手が見つからない可能性があります。
水周りなどの修繕やバリアフリーなどのリフォームを行なうことで、借り手が見つかるかもしれませんが、その分の費用がかかります。
解体費用とリフォーム費用を比べてから考えるのも良いかもしれません。
3-2-2.管理委託費がかかる可能性がある
自分で管理できる方は問題ありませんが、遠方に住んでいる等で自分で空き家の管理ができない場合、不動産会社に管理委託をするという手があります。
その場合、不動産会社に管理委託費を支払う必要があります。
4.相続放棄する場合
相続放棄とは、亡くなった方の全財産を相続しないと家庭裁判所に申請することです。
▼相続放棄について詳しくはこちらをご覧下さい。
【これを読めば相続放棄は完璧!相続放棄の総まとめ】
4-1.相続放棄後の空き家は誰が管理するのか
相続放棄をすればもう空き家に関わらなくて済む!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。
民法940条では、相続した財産について次のように定められています。
民法940条
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
つまり、相続放棄しても自分の代わりに空き家を管理してくれる人が決まるまでは、管理責任は自分にあるということです。
自分が相続放棄して他の相続人に順位が移ればその人が自動的に管理者になりますが、もし自分以外に相続人がいない場合は、相続放棄すると管理する人がいなくなってしまいます。
その場合は、家庭裁判所に「相続財産管理人」の申立てを行い、管理する人を選任してもらう必要があります。
▼相続財産管理人について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
【相続人がいない時はどうする?相続財産管理人を立てて解決】
4-2.相続放棄する場合のメリット
手続きが簡単
家庭裁判所に申請書を提出するだけなので、手続き自体は簡単です。
各相続人が独断で行なうことができます。
4-3.相続放棄する場合のデメリット
4-3-1.プラスの財産も相続できない
相続放棄をすると、空き家以外の財産も全て相続することができません。
預貯金や株式、骨董品や車なども相続することができませんので、よく考えてから行いましょう。
4-3-2.相続放棄後でも一定期間は管理責任がある
相続放棄したらすぐに「もう自分には関係ない」とはなりません。
次の順位の相続人に管理をお願いするか、家裁で相続財産管理人の申立てを行いましょう。
5.空き家を寄付する場合
空き家を自治体等に寄付するという方法もあります。
寄付する場合は主に空き家が存在する市区町村などに申請をします。
5-1.メリット
地域へ貢献できる
空き家を活用できれば消費活動を伴うので地域の活性化に繋がり、自治体の税収に繋がります。
寄付する人に直接的な還元はないかもしれませんが、地域へ貢献できるという意味ではいいかもしれません。
5-2.デメリット
寄付実績は少ない
多くの自治体では空き家は活用価値がないとして受け入れないことが多く、空き家の寄付制度は存在していてもなかなか受け入れてもらえないのが実態です。
6.まとめ
相続した空き家の対処方法について、主に4つの方法をご紹介致しましたがいかがでしたでしょうか。
高齢化が進む日本では、今後より空き家が増えて問題が深刻化すると言われています。
その問題を解決しようと政府も様々な特例を作っているため、今後もそのような特例が増えるかもしれません。
問題に直面してから考えるのではなく、そのような方法があるのか事前に把握してその時々で最善な方法が取れるようにしましょう。
著者:相続ハウス 彼末 彩子(相続診断士)