【控除額】
配偶者が相続する場合、①1億6000万円、②法定相続分のどちらか大きい金額までは相続税はかかりません。
つまり、1億6,000万円未満は無税、または1億6,000万円を超えた場合であっても、法定相続分までなら相続税額は0円ということになります。
▼より詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
【奥さんは無税って本当?相続税の配偶者控除を分り易く解説】
4-3.未成年者控除
【控除を受けられる人】
・未成年者
【控除額】
未成年者が相続する場合、「(その未成年者が20才になるまでの年数)×10万円」の金額を相続税から控除することができます。
4-4.障害者控除
【控除を受けられる人】
・85歳未満の障害者
【控除額】
受けられる控除は障害の区分によって異なります。
・一般障害者:(その障害者が85才になるまでの年数)×10万円
・特別障害者:(その障害者が85才になるまでの年数)×20万円
尚、これは相続人が障害者であった場合に限りますので、被相続人が障害者であった場合については特に控除はありません。
4-5.相次相続控除
【控除を受けられる人】
10年以内に2回相続が発生した人
ただし、2回相続が発生していれば誰でも控除を受けられる訳ではありません。
下記の様な条件が必要になります。
①控除を受けようとする人が1回目・2回目のどちらの時も相続人であり、実際に遺産を相続していること(放棄していないこと)
②2回目の相続の被相続人が、1回目の相続で遺産を相続していること
③②の際、相続税が発生していること
【控除額】
相次相続控除の計算は複雑で難しい為、税理士などの専門家に相談しましょう。
4-6.外国税額控除
【控除を受けられる人】
下記のどちらも当てはまる人
・外国の財産を相続した人
・外国の財産について、その外国において“相続税に相当する税”が課税された人
【控除額】
次のうち少ないほうが適応されます。
①外国で支払った「相続税に相当する税」
②相続税×海外にある財産額/相続人の相続財産額
5.その他の控除
これまでご説明した控除以外にも、相続税に関する非課税枠というものがあります。
これらは「みなし相続財産」と呼ばれ、本来は相続財産ではありませんが、被相続人の死亡を原因として相続人のもとに入ってきた財産ですので税法上は相続財産に加えるというものです。
税法上は相続財産ですが、それらは受取人が指定されている財産のため、遺産分割協議の対象にはなりません。
5-1.生命保険金の非課税枠
生命保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。
ただし、これが適応されるのは受取人が相続人である場合のみですので注意が必要です。
また、契約者・被保険人・受取人が誰かによって相続税の対象になるかが変わるため、これから相続税対策で生命保険を活用しようと思っている方はきちんとその保険が相続税の対象になるのか、非課税枠が使えるのかを確認しましょう。
▼詳しくはこちらをご覧ください。
【相続税額を大幅に抑える!生命保険でできる相続税対策】
5-2.死亡退職金の非課税枠
死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。
死亡退職金のうちみなし相続財産とされるのは、被相続人の死亡によって支給される退職手当金、功労金などで、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものです。
6.まとめ
相続税に関する控除についてご説明してきましたが、参考になりましたでしょうか。
控除が受けられるかどうかで、相続税の金額がかなり変わることがあるということがお分かり頂けたと思います。
それだけお得ならぜひ控除を受けたい、と思う方も多いかと思いますが、これらの計算は複雑なことが多く、また適応条件も細かいため、正確な控除を受けるためにも税理士等の専門家に相談することをおすすめします。
また、控除を受けるために今から対策をしたい、という方も、一度専門家に相談しましょう。
せっかくやった相続税対策が結果的に節税にならなかったり、かえって手間がかかってしまったりしないよう、計画的に行うことが大切です。
著者:相続ハウス 彼末 彩子(相続診断士)
監修:税理士法人エスネットワークス