【非課税額】
上記のうち500万円
3-5.結婚・子育て資金一括贈与(平成31年3月31日まで)
20歳以上50歳未満の結婚・子育て資金に充てる為に、父母や祖父母等の直系尊属が金銭等を出し、金融機関に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,000万円(結婚資金については、うち300万円)までの金額については贈与税が非課税となります。
ただし、受贈者が50歳を過ぎた時に使い残した金額があった場合は、その金額に対して贈与税がかかってしまう為、注意が必要です。
また、贈与者の相続が発生した時点での残高金額は、相続税の課税対象となります。
この規定の適用を受けようとする受贈者は、一定の日までに結婚・子育て資金の支払いに充てた金銭等に係る領収書を取扱金融機関の営業所等に提出しなければなりません。
【区分(支払)】 子育て資金 【具体例】 【非課税額】 |
【区分(支払)】 結婚資金 【具体例】 【非課税額】 |
3-6.相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、生前に贈与を行う時には2,500万円までが特別控除となりますが、その代わり、相続時に「贈与された財産」と「相続した財産」の合計額に対して相続税がかかる、いわば相続財産の前渡しができる制度です。
適用対象者は、贈与者については贈与年の1月1日において60歳以上の父母や祖父母等の直系尊属、受贈者については贈与者の推定相続人である贈与年の1月1日において20歳以上の子(代襲相続人を含む)又は同日において20歳以上の孫である必要があります。
この制度を適用するためには、最初の贈与を受けた年の翌年の贈与税申告期間に、贈与税の申告書に相続時精算課税選択届出書を添付して受贈者の所轄税務署長に提出(届出)する必要があります。
3-7.贈与のまとめ
贈与についての詳細は、こちらの記事をご参照下さい。
「相続税で損しないために活用すべき生前贈与の総まとめ【保存版】」
4.不動産を使った節税対策
不動産を使った節税対策をご紹介します。
4-1.小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、被相続人が所有していた居住用宅地や事業用宅地の相続において、小規模宅地等に該当するものについては、相続税の評価額を大幅に減額することができる制度です。
例えば、相続税法上の土地の評価額が1億円の場合、居住用宅地に小規模宅地等の特例を適用すると、土地の評価額が80%減額され、2,000万円となります。
本来ならば、土地を持っているだけで相続税が発生する方も、小規模宅地等の特例が適用できれば相続税が発生しなくなる場合もある為、非常に有効な節税対策と言うことができます。
4-2.賃貸物件を建てて貸す・資産の組み換えを行う
賃貸アパートやマンションを建てて人に貸している土地の評価額は、貸家建付地の評価減に該当し、入居率が高ければ高い程、土地の評価額を大幅に下げることができます。
(例)路線価25万円、敷地面積が200㎡、借地権割合が70%、借家権割合が30%、入居率が100%(賃貸割合が1)の場合
【土地の相続税評価額の出し方】
計算式 | |
---|---|
自用地 | 路線価×敷地面積 例:25万円×200㎡=5,000万円 |
貸地 | 自用地の評価額×(1-借地権割合) 例:5,000万円×(1-0.7)=1,500万円 |
貸家建付地 | 自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) 例:5,000万円×(1-0.7×0.3×1.0)=3,950万円 |
また、現預金で投資用マンションを購入することや現在所有している路線価の低い広い物件から路線価の高い狭い物件に組み換える等の資産の組み換えを行うことも、節税対策や納税資金の準備、相続が発生した際に財産を分割しやすくすることができます。
4-3.売却
土地を売却することで、相続税の納税資金の準備や遺産分割がしやすくなります。
その為、将来的にその土地を利用する予定がなく、収益性も期待できない場合は売却を検討されることも良いかもしれません。
しかし、売却をすると、財産が現金化されます。
土地の場合には貸家や貸家建付地、小規模宅地等の特例等の土地の評価額を下げる方法がありますが、現金はそのまま相続税課税価格になります。
その為、現金の方が、相続税が高額になることもあり、注意が必要です。
売却した現金を「3.贈与を使った節税対策」でご紹介した生前贈与の方法で贈与することも対策として有効かもしれません。
詳細な内容は、こちらの記事をご参照下さい。
「土地の有効活用で賢く相続税対策を!」
5.その他の節税対策
5-1.養子縁組をして基礎控除額等をあげる
養子縁組をすると、本来ならば法定相続人ではなかった人を法定相続人とすることができます。
例えば、孫は父母が生きている限り、祖父母の法定相続人ではありません。
その為、祖父母から孫に相続財産を相続させることはできません。もし孫に相続財産を渡したいのであれば、祖父母が遺言書を書き、孫に財産を遺贈する旨の記載をする必要があります。