遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、そのうちの公正証書遺言と秘密証書遺言の作成には証人が必要だということをご存じでしょうか?
公正証書遺言や秘密証書遺言は、公証人の確認にもとづいて作成されるため、後になって問題が生じにくいという点で、安全・確実に遺言を遺すためにとても有効な方法です。
しかし、作成には費用がかかるという点や、公証役場に行かなければいけない点から、手続きには負担がかかるように感じている人も少なくないでしょう。
その条件の1つとして、公正証書遺言等の作成には2人の証人をたてなければいけないことも含まれるかもしれません。
証人をたてる際には、どういった点に注意しなければいけないのでしょうか?
また、証人になる方には、どのような手続きをお願いする必要があるのでしょうか?
今回は、公正証書遺言等の証人をたてる上で必要となる情報をお伝えします。
公正証書遺言等を遺すことを検討されている方は必見です。
1.公正証書遺言等には、2人の証人の立会いが必要
遺言の種類は、費用もかからず、自分でいつでも手軽に作成できる自筆証書遺言、遺言の内容を秘密にしておく秘密証書遺言、最も安全・確実に遺言を遺せる公正証書遺言の大きく3つにわかれます。
その中でも公正証書遺言と秘密証書遺言は、遺言を書く人が原則として公証役場へ行き、その際に2人以上の証人をたてなければならないといった点で、他の遺言とは異なっています。
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2.証人の条件
公正証書遺言と秘密証書遺言の作成には、2人の証人をたてることが条件となっています。
ですが、この証人は誰でもなれるというわけではなく、民法の第974条によって、以下の条件に該当する人は証人になれないことが決められています。
1.未成年者
2.推定相続人、および受遺者、並びにこれらの配偶者および直系血族
3.公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人
つまり、未成年者や公証人の配偶者などの身近な人、そして遺言を作成する人の配偶者や子供、孫といった身近な立場の人は、証人になることができないということです。
配偶者や子供などを証人にできないのは、遺言を作成する人にとっても都合が悪いと感じることがあるかもしれません。
ですがそれは、遺言の内容がその人の利害に関係する可能性が高くなるためなのです。
そのため、証人には、信頼している友達や知人などに頼むケースが多くなっています。
他にも、司法書士や税理士、弁護士、銀行員といった人たちに依頼をすることも少なくありません。
専門的な知識も持っているので、安心して遺言の作成に望めるというメリットがあります。
なお、公証役場でも証人を用意してくれる場合もあります(有料)。
3.証人に必要な役割とは
証人に選ばれた人は、遺言を作成する時にどのようなことをすればいいのでしょうか?
他にも必要な物や費用など、覚えておいてほしいポイントを紹介します。
3-1.当日に必要なものとかかる費用
遺言を作成する当日、証人は印鑑を持って公証役場に行く必要があります。
証人が持っていく印鑑は必ずしも実印である必要がありませんが、実印と印鑑証明書を用意するのが無難です。
公証人によっては、印鑑証明書や身分証明書の提出を求められる場合もあります。
証人にかかる費用は、知り合いなどに依頼をした場合は特に費用は必要ありません。
しかし、弁護士などの専門家の方に依頼をした場合には、請求された費用や報酬などを支払う必要があります。
3-2.当日に証人が行う手続き
公正証書遺言と秘密証書遺言の作成に関して、証人が行わなければいけない作業というのは特に存在していません。
大切なのは公証役場へ同行し、遺言の作成に立ち会うことなのです。
ただし証人になった人は、書かれていた遺言の内容を他者へ口外しないことを心がけなければいけません。
証人が秘密を守るのはもちろんですが、証人を選ぶ段階で、信頼できる人を選ぶ必要があります。
4.まとめ
証人が必要になる点も含めて、遺言の作成のためにさまざまな手続きが必要になる公正証書遺言と秘密証書遺言は、他の遺言に比べても手間がかかると言わざるを得ません。
しかし、その代わりに、遺言の内容や保存に関して、高い確実性が保たれるというメリットがあります。
相続人に揉めて欲しくない場合や特定の相続人に特定の財産を相続してもらいたい場合には、選択してほしい遺言です。
自分のまわりに証人にふさわしい人がいるかどうか、よく考えてみてください。
選択肢の1つとして専門家に依頼するという方法を検討してみることも、安心につながります。
自分の意思を最後までしっかりと伝えるためには、そういった手間や負担を惜しまない姿勢が大切だといえるでしょう。