安心!確実!揉めない!手間楽!公正証書遺言のすすめ

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自分の死後、相続財産を巡って仲の良かった家族の間で争いが起きるのではないか?

遺言書を作成しても本当に遺言書どおりの遺産分割が行われるのか?

遺言書はどうやって書けばいいの?

このような不安を抱えていらっしゃいませんか。

近年、相続財産を巡り相続人が争いを起こし、「相続」が「争族」となってしまう場合が増えています。今まで仲の良かった家族が自分の相続をきっかけに仲が悪くなってしまう…このようなことは確実に避けたいことです。

今回は、大切な財産を大切な人に、争いなく確実に遺し、その上、その後の手続きをできるだけ簡単に済ませることができる公正証書遺言について、その特徴と効果、なぜ公正証書なのか、無効にしないためのコツ等をご説明いたします。

1.公正証書遺言とは

1-1. 遺言書とはどのようなものか

遺言書とは、亡くなっていく人が、自分が亡くなった後、残された家族が自分の財産の分配について揉めないようにするため、自分の財産を誰にどのように相続させるということをあらかじめ書面で明らかにするものです。

遺言書は原則として法定相続分より優先されます(ただし、遺留分を下回っていた場合においては、遺言内容どおりに分割されない場合があります)。

遺言書は、相続人同士の争いを防ぐほか、自身の最後の想いを残す重要な役割を果たします。

1-2. 遺言書の種類

遺言書は大きくわけて自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類あり、それぞれ一長一短があります。

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1-3. 公正証書遺言の特徴

公正証書遺言の特徴について詳しく説明していきたいと思います。

1-3-1. 証明力・証拠力・信頼性が高い

公正証書とは公証役場において公証人が作成する権利義務などに関する公文書のことです。公証人の面前で作成するため、作成日に偽りはなく、また、元裁判官や法務省のOB等の法律のプロである公証人が内容を確認するので、公正証書の内容は法律的に無効な記載がされていないという信頼性があります。

さらに、印鑑証明書等により本人確認を行うため、真正に成立していることに疑いの余地がありません。以上のことから、遺言書という私人が作った文書を公正証書にすること、すなわち公正証書遺言にすることで、高い証明力と証拠力、信頼性がある遺言書を作成することができます。

さらに原本(遺言者、公証人、証人が署名・押印したもの)が公証役場に保管されるため、紛失や変造、隠匿、あるいは遺言書を書いたのに相続人に発見されないという事態を防ぐことができます。つまり、遺言者の希望通りの遺産分割を相続人に対して行わせることができます。この点が公正証書遺言の最大のメリットであると言えます。

1-3-2. 証人が必要で費用がかかる

公正証書遺言を作るためにはいくつか用意しなければならないものや踏まなければならない手続き及び費用が、自筆証書遺言や秘密証書遺言よりも多くかかります。

まずは、証人を2名以上選ばなければなりません。証人は配偶者や子どもなどの推定相続人や直系血族関係の人、遺贈を受ける人、未成年者等はなることができません。つまり、身近な親族はなれないということになります。しかし、なかなか証人になってくれるよう頼める人は多くありません。そのため、通常は弁護士や司法書士が証人となる場合が多くなります。

また、公正証書にするために、公証人に対する費用も必要になってきます。

このとき、弁護士や司法書士に依頼することでより有効かつ適切な遺言書の作成が可能となります。弁護士等は遺言者と面談をし、遺言書の文案を作成してくれます。この場合は、弁護士等への報酬がかかります。

1-3-3. 自分以外の人にも内容が明らかになる

公正証書遺言にする場合は、遺言書の内容を秘密にしておくことができません。少なくとも公証人と2名の証人には遺言の存在及び内容が明らかになってしまいます。ですが、推定相続人等に秘密にすることはできるため、本当に誰にも知られたくない等のことがない限り、有用でしょう。

1-3-4. 手続きが煩雑

公証人や弁護士・司法書士等の専門家との遺言内容の打ち合わせや印鑑証明書・相続人との関係性を証明する戸籍をはじめとして、集めなければならない書類も多く、作成までに時間と手間がかかります。書き直しの可能性、有効性をどこまで求めるか等を考慮して、はじめに手間をかけてでも確実にしたい場合は、有用でしょう。

1-4. どこで作ればいいのか

公正証書遺言は、原則として公証役場で作成する必要があります。公証役場は日本全国に約300箇所あり、原則的にはどこの公証役場に行っても公正証書遺言を作成することができます。ただし、証人も公正証書遺言を作る公証役場に行かなければならないので、できれば証人が行きやすい公証役場を選ぶと良いかと思います。

また、原則的には公証役場に赴いて作成する必要がありますが、遺言書を作成したい人が寝たきりで動けない場合などは、公証人が遺言者の自宅あるいは病院、介護施設等へ赴き、作成するという出張サービスも行っています。

さらに、公正証書遺言を作成する際には原則的に遺言者が遺言内容を公証人及び証人の前で口述する必要がありますが、話すことが困難な方や耳が不自由な方でも、見て確認してもらうことにより、作成することができます。

1-5.いつまでに作ればいいのか

公正証書遺言は作成するまでに一定の時間がかかります。それは、証人を選ぶことや、公証人と打ち合わせをすること、必要書類を集めること、公証役場に赴く必要等があるからです。そのため、ある程度の余裕をもって作ることをおすすめします。

また、公証人が遺言者に遺言能力がないと判断した場合は、公正証書遺言を作成することはできません。また、仮に遺言能力があるか不鮮明な状態で作成された場合でも、後々争いの原因になることが考えられます。そのため、遺言者の判断能力がしっかりしているうちに作成する必要があります。

公正証書遺言を作成した場合でも、いつでも内容の訂正や撤回を行うことができますので元気なうちに一度ご検討してみてはいかがでしょうか。

2.公正証書遺言の効果

2-1. 遺言内容が確実

公正証書遺言は、公証役場において原本が保管されるため、遺言書の紛失や内容の変造等の心配はありません。また、遺言内容についても、公証人がチェックするため、曖昧な表現で効力が無効になるという心配もありません。遺言で記した遺産分割は、原則として特別なことがない限りは、法定相続分による分割方法よりも優先されるため、遺言者の指定したとおりの遺産分割が行わるようにすることができます。そのことにより、相続人間の争いを未然に防ぐことができ、遺言内容を確実に遺すことができます。

公正証書遺言にした遺言書が確実でないとしたら、絶対とは言えませんが、①遺留分への配慮がされていない場合(この場合であっても、遺言書が無効になるわけではありません)、もしくは、②遺言能力を欠いた状態で場合に作られた遺言書である場合(5参照)の2点のみでしょう。

2-2. 相続発生後の手続きを簡略化

2-2-1. 検認が不要

公正証書遺言以外の遺言書の場合、遺言者が亡くなった後、相続人同士ですぐに遺言どおりの遺産分割を行うことはできません。自筆証書遺言等を相続人が発見した場合もしくは遺言書を保管していた人は、遺言者が亡くなった後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認という手続きを受けなければなりません。これには、戸籍の収集を含めると、2ヶ月前後の期間を要してしまうため、自筆証書や秘密証書による遺言はすぐに実現することができません。

すでに述べてきましたが、公正証書遺言は自筆証書遺言や秘密証書遺言とは異なり、この検認手続きは必要ありませんので、相続人は直ちに、遺言書どおりの遺産分割を行うことができます。

2-2-2. 見つけてもらいやすい

自筆証書遺言等の場合、遺言書を相続人に発見されない場合や紛失等で発見できない場合、また、隠匿等により、せっかく書いた遺言書通りの遺産分割が行われない可能性があります。

一方、公正証書遺言では、亡くなった方が公正証書遺言を作ったかどうかがわからない場合、公正証書遺言検索システムが利用でき、公正証書遺言の検索、謄本請求ができます。公正証書遺言検索システムは、日本中のどこの公証役場でも行うことができます。ただし、この手続きを行うことができるのは相続人や受遺者、遺言執行者等の利害関係人にのみ認められ、遺言者本人以外の者が行う場合は、遺言者本人が亡くなった後でなければ請求することはできません。

2-2-3. 遺産分割協議書を作成する必要がない

自筆証書遺言等でも可能ですが、きちんとした公正証書遺言であれば、遺言書通りの遺産分割ができるので、相続人間で遺産分割協議及び遺産分割協議書の作成をしなくともよい場合があります。

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