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2. 遺産相続対策(争族対策)
2つめの対策として挙げられるのは、遺産相続対策です。
残された相続人間での争いを避ける為に、生前から備えておく対策のことです。
揉めることが予測されていたにも関わらず、この遺産相続対策を怠ってしまうと、後々になって相続人間で遺産分割がまとまらずに争いが長引き、相続税を抑えられる特例等が受けられなかったという事例もありました。
争いや時間のロスを避ける為にも、しっかり対策をする必要があります。
では、どのような対策があるのか、解説していきます。
2-1.遺言書の作成
相続の発生後、まず遺言書の有無を確認します。
被相続人の遺言書が遺されていた場合には、遺言書の内容に従って被相続人の財産を分配していく流れになります。
ですが、遺言書が遺されていなかった場合には相続人全員で、相続財産を誰がどのように分けるのかを話し合う必要があります(=遺産分割協議)。
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要になる為、話し合いがまとまらない場合には、いつまでたっても財産を分けることができません。
相続人同士の中が不仲であったり、被相続人が再婚をしていたり、その他にも遺産相続が絡んだ際に揉めることが予測される場合には、遺言書を作成して相続発生後の手続きがスムーズに進められるように備えておきましょう。
遺言書の種類や詳しい説明については、下記の記事でご紹介しています。
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【【保存版】遺される家族のためにぜひ検討したい遺言書の全て】
2-2.財産を整理する
財産が分けづらい内容だと、相続人にうまく分配することができずに、偏った財産を相続させることになってしまうかもしれません。
相続人が不公平を唱え、そこから争いの発端になってしまうことも考えられます。
例えば、自宅と親から相続した実家(空き家)等を3人の相続人に相続させる場合、使用していない空き家を生前に売却して現金化し、財産を分けやすくするという方法等があります。
2-3.生命保険
例えば、被相続人の相続財産が自宅とわずかな預金のみだったとします。
相続人が複数いた場合、このようなケースだと全ての相続人で平等に遺産相続をしようとすると、1つの不動産(自宅)を相続人全員での共有名義にするか、自宅を売却して得た現金を相続人全員で分けるということになります。
このような場合、相続人の誰か1人が自宅を取得し、さらにその相続人を死亡保険金の受取人に設定しておき、その生命保険金を、その他の相続に対して現金として支払う訳です。
そうすれば、自宅を共有名義にしたり、売却せずとも他の相続人も納得の上で自宅を相続することができます。
このような方法を「代償分割」といいます。
生命保険を活用し、代償分割にて遺産相続争いを防ぐという方法もあります。
▼詳しくはこちら
【不動産など分割できない相続財産は代償分割でスッキリ解決】
3. 納税資金対策
相続対策として、よく節税対策に目がいきがちですが、財産の評価額を下げるだけでなく、納税資金を確保する為に、納税資金に換価しやすい資産を用意してくということも重要な対策になってきます。
相続税は原則として、相続発生後10ヶ月以内に現金で一括納付しなければなりません。
3つめの対策として挙げられるのは、納税資金対策です。
これは、相続税の申告が必要な方にのみ当てはまる対策になりますが、相続税が支払えない…なんて事態を防ぐ為に、生前から納税資金対策を考えておきましょう。
3-1.生命保険
上記でも述べたように、相続税の納付は原則的には現金一括納付です。
よくあるケースが、相続財産のほとんどが不動産で、預貯金が少なく相続税を賄えないというケースです。
そういった事態に備えて、納税資金を確保するのに有効な対策が生命保険です。
生命保険金の受取人は、加入者の死亡と同時に死亡保険金を受け取る権利が発生します。
銀行に預貯金が遺されていた場合には、その口座は相続発生と共に凍結されてしまい、預貯金を受け取るまでに手間や時間がかかります。
そして、他の相続人と協力して手続きを進めていかなければなりません。
生命保険は、受取人本人が受取の手続きを済ませればすぐに使える現金となりますので、すぐに納税資金として充てることができます。
3-2.資産の売却
売却できる資産があった場合には、その売却代金で納税資金を確保することができます。
ところが、納税の為に急いで売却しなければならないと相手に思われると、足元を見られて売却価格が低くなる可能性もあります。
せっかくの資産価値を下げない為にも、時間に余裕を持って売却の手続きを進められることをお勧めします。
ただし、売却をしたことによりかかる税金もありますので、どういった方法が一番有効かは、税理士等の専門家に相談をしてから売却された方が宜しいかと思われます。
3-3.金融機関による借入
金融機関から融資を受けて納税する方法です。
金利は、金融機関により異なる為、それぞれ確認が必要になりますが、延納の金利より低い場合には有利となります。
ちなみに延納とは、相続税を現金一括で期限内に納付することが不可能な場合に、相続税を分割して支払う方法です。
延納できる期間は原則として5年以内です。
延納を税務署に認めてもらうには、担保の提供等、一定の条件が必要になります。
更に、利子税(相続税の延滞税よりは安いです)がかかります。
利子税の割合は、相続財産の不動産が占める割合や、延納期間によって、年間数%になります。
マイナス金利の今、金融機関から借入をする方が得かもしれません。
従って、金融機関からの借り入れと延納の双方の金利を比べた上で、負担の少ない方を選択しましょう。
4.まとめ
今回は、相続対策として大きく3つに分けた対策と、それぞれの対策の中で具体的な対策方法をご紹介させていただきました。