相続人がいない時はどうする?相続財産管理人を立てて解決

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親戚等の身寄りがない方のお世話をしているが、その方がお亡くなりになった時に、財産は一体誰のものになるのだろうか?

自分がお金を貸している人がお亡くなりになった時、相続人が全員相続放棄をしたら、貸したお金は返ってくるのだろうか?一体誰に請求すればいいのだろうか?

遺言書で遺贈を受けたけれども、他の相続人は全員相続放棄をした場合、どうやって財産をもらえばいいのだろうか?

このような心配をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

亡くなった方に相続人がいるのかどうかはっきりしない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合には、その方の財産はどうなるのでしょうか。

このような状態で、被相続人のお世話をしていた方、お金を貸していた方、遺贈を受けた方は、どのような手続きをすればよいのでしょうか。

このような場合にこれらの処理をするために「相続財産管理人」という人を立ててもらいます。

そこで今回は、相続財産管理人による相続財産管理の手続きの流れをご説明しますので、是非参考にしてみて下さい。

1.相続財産管理人とは

相続財産管理人とは、亡くなった方に法定相続人がいるかどうか不明な場合、または相続人全員が相続放棄を行った場合に、相続財産の調査・管理、換価等を行う役目を持つ人のことをいいます。

家庭裁判所の審判によって選任されるもので、被相続人との関係や利害関係のない者(一般的には地域の弁護士や司法書士等)が選任されます。

2.相続財産管理人の選任が必要なケース

相続財産管理人の選任が必要なケースは、主に以下の3つです。

・相続人にお金を貸していた(「相続債権者」といいます)
・被相続人より特定遺贈を受けた
・被相続人と生前特別の縁故があった(相続人と生前に長い間生計を一にして同居していたり、療養看護を努めていたりした)人。(「特別縁故者」といいます)

これらの人々は、相続財産管理人の選任後、手続きを踏むことで債権の回収や遺贈、相続財産の分与が可能になります。

亡くなった人に相続人がいない場合や、相続人全員が相続を放棄してしまった場合は、相続財産を管理する人がいなくなります。そうなると、被相続人の債権者や受遺者は相続財産から弁済を受けられず、相続財産が失われたり、隠されたりする不利益を被る可能性があります。

そこで、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、相続財産管理人に相続財産の調査・管理、換価等を行わせることで相続財産からの支払いを確保するのです。

また、特別縁故者は、相続債権者や受遺者に対する弁済が行われた後に家庭裁判所に申立を行って審理を受けた後、相当性が認められれば、相続財産の分与を受けることができます。

3.相続財産管理人選任の要件

家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらうためには、次の事項をすべて満たす必要があります。

  • 相続が開始したこと
  • 相続人がいるかどうか明らかでないこと、または相続人となる者全員が相続放棄をしていること
  • 相続財産が存在すること
  • 利害関係人または検察官から、家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立てがあること

4.相続財産管理人の選任とその手続き

4-1申立

申立人は、相続財産管理人の選任審判申立書を作成し、必要書類を添付して家庭裁判所に提出します。弁護士に依頼した場合は、弁護士が申立人の代理人として相続財産管理人の選任審判申立書の作成・提出を行います。

4-1-1.申立人

相続財産管理人の申立は、以下のいずれかが行います。

  • 利害関係人(相続債権者、特定遺贈の受遺者、特別縁故者など)
  • 検察官

利害関係人とは、相続財産に対し、法律上の利害関係を有する人のことをいいます。例えば、被相続人の債権者(お金を貸していた人)、特定遺贈の受遺者、特別縁故者として財産の分与を求めようとする人、相続財産に対する担保権者、事務管理者(相続財産の保管者)等です。

4-1-2.申立先

相続財産管理人の申立は、被相続人の最後の住所地管轄の家庭裁判所にて行います。

4-1-3.申立てに必要な費用

相続財産管理人の申立に必要な費用は以下の通りです。

  • 収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手
  • 官報公告料3,775円

相続財産管理人の申立費用自体は、上記の合計で数千円程度です。

ただし、申立後に申立人が裁判所に対して支払うお金があります。これは相続財産の管理費用が足りなかった場合に備えて予め納めておくというお金で、事案の複雑さによっては数十万~100万円程度になってしまうことがあります。

このお金は結果的に相続財産から管理報酬や実費等が全て支出できた場合には申立人へ返還されますが、相続財産が小額で管理費用を賄えないような場合には全く返還されないという可能性もあります。実際には、たとえば数十万円の預貯金が残っていたとしても、予納金額が相続財産を上回るため、相続財産選任ができずにお金の残った預金を放置せざるを得ないというケースも散見されます。

また、相続財産管理業務は通常1年以上続くものですから、すぐに返還されるものではないという点にも注意してください。

4-1-4.申述に必要な書類

相続財産管理人の申立に必要な書類は以下の通りです。

  • 申立書

申立書の書式は以下のリンクの「家事審判申立書」からダウンロードできます。
http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_15/index.html

申立書の記入例は上記リンクの「記入例(相続財産管理人選任)」からダウンロードできます。

 

  • 戸籍謄本

相続人がいないことを明らかにするために、以下の戸籍謄本を添付します。

申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は、申立後に追加提出しても構いません。

戸籍謄本は、被相続人の在籍していた本籍地の市区町村役場で取得できます。
戸籍謄本は、相続発生日以降の最新の状態のものを使用します。

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の子及びその代襲者で以前死亡した方がいる場合,その方の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹で以前死亡した方がいる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 代襲者としての甥又は姪で以前死亡した方がいる場合,その方の死亡の記載がある戸籍謄本

 

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