相続税の申告は、相続が開始した日(=被相続人が亡くなった日)から10か月以内にしなくてはいけません。
期限内に無事に終わればいいですが、間に合わなかった場合は申告漏れになってしまいます。
また、申告すべき事柄が漏れた場合も申告漏れです。
その際はどのようなペナルティを受けるのか、不安に思う方もいるのではないでしょうか?
申告漏れがあった場合、どんなペナルティが待っているのか、ペナルティを回避するためにはどうすればいいのかをまとめました。
1.相続税の申告漏れがあった場合のペナルティ
相続税の申告漏れがあった場合、「追徴課税」というペナルティがあります。
1-1.追徴課税の一覧
そこで、追徴課税をわかりやすく表にまとめてみました。
名前 | 内容 | 実際の税率 |
---|---|---|
延滞税 | 相続税の納期限までに税金の納付がなされない場合に発生する税金 | ・納期限の翌日から2か月以内に納付した場合:「年7.3%」と「前年の11月20日の公定歩合+4%」のいずれか低い方の利率で計算 ・納期限から2か月を超えた場合:年14.6% |
過少申告加算税 | 申告期限内に提出された申告書の金額が不足していた場合に課される税金 | ・法定期限までに相続税の申告書を提出し、その申告書の税額が過少であった場合、自主的に修正申告をする場合:なし ・法定期限までに相続税の申告書を提出し、その申告書の税額が過少であった場合、税務署から指摘されて修正申告する場合:10% ・税額が期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額を超えるときの超える部分:15% |
無申告加算税 | 正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金 | ・法定申告期限までに申告せず、自主的に期限後申告する場合:5% ・法定申告期限まで申告せず、税務調査により期限後申告する場合:納税額のうち50万円までの部分については15%、納税額のうち50万円を超える部分については20% |
重加算税 | 隠ぺいや仮装がある場合、延滞税、過少申告加算税、無申告加算税の代わりに課される税金 | ・申告書を提出した場合で、財産を隠ぺいまたは事実を仮装していた場合:35% ・申告書を提出しなかった場合で、財産を隠ぺいまたは事実を仮装していた場合:40% |
重加算税は事実の隠ぺいや仮装をした場合に課せられるものですが、その他の追徴課税は納期や申告期限を守らないと課される可能性がある、という事実を胸にとどめておきましょう。
2.相続税の申告漏れを防ぐためのテクニック
では、相続税の申告漏れを防ぐためには、どういう点に気を付ければいいのでしょうか?
2-1.時間に余裕を持って動く
原始的かもしれませんが、時間に余裕を持って動くことは基本です。
相続税の申告期限は相続が開始された日=亡くなった日の翌日から10か月となっています。
葬儀、法事の準備などであわただしいかと思いますが、「どの段階で何が必要になるか」をしっかり見据え、できることはどんどん前倒しにしていきましょう。
2-2.相続財産調査をしっかり行う
相続財産調査、と書くと難しく思えますが、「被相続人=亡くなった人がどんな財産を持っていたかを把握する」ということです。
ある程度相続の話がまとまってきてから、「実はこんな財産もありました」といわれたのでは、困ってしまいますよね。
必要に応じて、税理士、司法書士、弁護士などの専門家を交え、財産調査をしっかり行いましょう。
2-3.税務調査に対応できるようにする
相続税の申告に際し、税務調査が入る可能性もあります。
その場合どんな対応をすればいいのでしょうか?
2-3-1.税務調査の入る確率は?
実際、どれくらいの確率で入るのでしょう?
国税庁によれば、個人実調率は4.5%。4件に1件の割合で税務調査が行われているようです。
参考:国税庁 平成26事務年度における相続税の調査の状況について
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sozoku_chosa/index.htm
参考:国税庁 平成26年分の相続税の申告状況について
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sozoku_shinkoku/index.htm
2-3-2.税務調査はいつ行われる?
8月~11月の期間に税務調査が行われることが多いようです。
税務署の年度替わりが6月末のため、人事異動などが行われた7月からの新年度以降、税務調査のピークがやってくるようです。
また、2月16日から3月15日までは所得税の確定申告の期間にあたるため、この時期に税務調査が行われることは少ないでしょう。
2-3-3.書面添付制度について
できることなら税務調査は来てほしくない、という人にぜひ知っておいてもらいたい制度があります。
それが「書面添付制度」です。
これは、税理士が顧客の税務申告に際し、税理士法(33条の2第1項)に規定される計算事項等を記載した書面を添付する制度です。
添付することで、申告書が一定の品質をクリアしているという保証になります。
もちろん、税務署からの信頼を得る手段としても有効です。