遺す方も遺される方もこれで安心!自筆証書遺言書ガイド

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遺言書については世間に広く認知されていることと思いますが、遺言書にも種類があり、その中でも、一番皆さんがイメージしやすい遺言書は、自分1人で書く「自筆証書遺言書」という遺言書ではないでしょうか?

昨今では遺言書についてテレビなどでも多く取り上げられている遺言書ですね。
では、自筆証書遺言書を作成するにあたり、どんな内容を書くのか?書き方は?ポイントなどはあるのか?などについてはご存知でしょうか。

また、自分の家族が亡くなった際に遺言書が出てきたけど、これってどうすれば良いの?とお悩みになられるかもしれません。
今回は、自筆証書遺言書のメリット・デメリット、自筆証書遺言書を作成する場合、そして自筆証書遺言書が遺されていた場合、などについてご紹介していきます。

財産を遺す側の方も、遺される側の方も、その時に備えてご覧になってみてください。

1.自筆証書遺言書とは

1-1.自筆証書遺言書とは

遺言作成の方法の1つに、自筆証書遺言書があります。自筆証書遺言書とは、読んで字の如く自分で書く遺言書のことです。
全文を自分で書かなくてはいけません。また、字が上手く書けないからといって他の人に代筆してもらうことやワープロやパソコンを使用したものは無効になってしまいますのでご注意ください。
また、「自分で書くこと」が作成にあたる要件になりますので、そもそも字が書けない方はこの方式での遺言書作成ができないということになります。

1-2.自筆証書遺言書のメリット

1-2-1.いつでもどこでも作成ができる

自筆証書遺言書は、ご自身だけで作成ができるという簡便な点がメリットと言えるでしょう。公正証書遺言書の作成になると、公証役場に出向いて公証人に作成をしてもらわなければなりません。また、公証人との予定調整なども必要になってきてしまいますので、すぐに作りたい!と思い立ったときに、作成ができないのです。
以前、意識ははっきりしているけれど医師から余命1週間と言われた方から、明日にでも遺言書を作成してもらいたいというご相談を受けたことがありました。ご相談を受けた次の日に財産を遺す方の入院されている病院にて作成ができ、大変安心されていたというような事例もあります。

1-2-2.費用がかからない

自筆証書遺言書は、自分1人で作成ができますので基本的に費用はかかりません。
上記でも述べたように、公正証書遺言書を作成する場合には公証人に遺言書を作成してもらう手数料がかかってしまいます。また、遺言書作成の立会いに証人を用意する必要がありますので、公証役場の方に証人になってもらった場合にはその費用もかかってきます。

1-2-3.遺言書の存在と内容を秘密にできる

自筆証書遺言書は、その内容と存在を誰にも知られずに保管しておくことができます。誰とも関与せずに作成することができるからです。
もし、ご自身の意思を遺言書の内容確認時まで伏せておきたいということであれば、自筆証書遺言書の形式で作成していただければ秘密を保つことができます。

1-3.自筆証書遺言書のデメリット

1-3-1.脅迫や改ざんなどの恐れがある

自筆証書遺言書は、その性質から1人で作成されることが少なくありません。
そうした場合に、作成時にもしかしたら脅されて書かされていたりしても文面では伝わりません。また、作成をした後に、相続人の誰かが勝手に書き直してしまったとしても気付けないという危険性があります。

1-3-2.遺言書が発見されない恐れがある

亡くなるまで遺言書の存在と内容を秘密にできるというメリットがありますが逆に亡くなった後に誰からもその存在を見つけてもらえないという恐れもあります。
公正証書遺言書のように、遺言書を確実に第三者が保管しておいてくれる訳ではないのです。

1-3-3.内容に不備や誤りがあると無効になる恐れがある

自筆証書遺言書は、公正証書遺言書のように公証人に作成をしてもらい、形式の面では無効になることはないというリスクが保障されている訳ではありません。
無効にならないように、日付や署名など、必ず書かなければならない内容があります。
自筆証書遺言書は、簡単に作成ができるが故に、どのような形式で、何を書くのか、などがわからないままに個人の判断で作成されてしまうこともあります。
そうなると、せっかく亡くなった方が遺してくださった意思が無効となってしまう可能性もあります。
また、無効にならなくとも、財産の特定ができていない曖昧な内容だったりする場合、色々な解釈ができてしまったり、その財産を特定できないという事態になってしまうこともあります。そうなると、結局遺された相続人間で解釈に違いが生じ、紛争を導きかねないなど、相続人が苦労することになってしまう場合もありますので、ご注意ください。

1-3-4.発見された後、手続きまで時間と手間がかかる

自筆証書遺言書は、発見されてからすぐにその遺言内容にもとづいて手続きを進められる訳ではありません。
家庭裁判所で検認手続きを行わなければならないため、時間と手間がかかります。
この検認手続きには、戸籍の収集が必要になり、かつ、家庭裁判所に申し立てをしてから内容を確認できるまで通常2週間程度かかってしまいます。

2.遺言書の書き方

2-1.作成にあたって用意するもの

①ペン・ボールペン・筆など:鉛筆など消すことができるものは変造のおそれがありますので使用しないほうが好ましいです
②紙:一般的には便箋などに書かれる方が多いですが、チラシの裏などの紙切れでも記載が正しければ効力を発揮します。紙質やサイズに規定はありません
③封筒・のり:封筒に入れ、封をするのが好ましいです。封筒には、日付と「遺言書在中」などと記載しておくことをおすすめします。

2-2.記載しなければならないポイント

日付、氏名、押印
この3つのいずれかでも欠けていると無効になってしまいます。
日付は年号でも西暦でも構いません。ですが、「○年○月」や「○年○月吉日」のように日の記載がない場合は無効になってしまいます。
逆に、日にちが特定されれば良いため、例えば「私の還暦の日」というような記載でも認められます。

2-3.押印する印鑑

押印をする印鑑は実印でなくても良いとされています。認印でも構いません。拇印でも問題ありませんが、出来れば避けた方が好ましいでしょう。
これは、相続人間で母音の押印された遺言書について争いになった場合に、その母音が果たして本当に遺言書を遺した本人のものかどうかまで争うこともあると言われています。ですので、実印で押印をするのが一番安全と言えるかもしれません。

3.遺言書が見つかったとき

3-1.遺言書が見つかったら開封して良いの?

亡くなった方の遺品整理をしていると、引き出しや仏壇から遺言書が発見されるケースが多くあります。遺言書と書いてある封筒を見つけたら、開封したくなるお気持ちは分かりますが、その場では開封しないでください。
遺言書が発見された場合、勝手に開封してはいけません。開封をする為には家庭裁判所で「検認」の手続きを行いましょう。

3-2.もし検認前に開封してしまったら

中身を勝手に開封してしまうと、民法により5万円以下の過料に処せられる場合があります。
また、遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したと認定された場合には、民法の「相続人の欠格事由」に該当し、相続人の資格を失うことになります。
ですが、検認手続きを行わずに開封したからといって、直ちに遺言が無効になってしまうということではありません。
開封してしまった場合でも、まずは家庭裁判所にて検認の手続きを行いましょう。
また、封印がされていなかった場合でも、同様に検認手続きを行う必要があります。

3-3.検認手続きを行う

遺言書の検認手続きを遺言者の最終住所地を管轄する家庭裁判所にて行います。

3-3-1.検認手続きの流れ

必要書類を集める

検認の申し立てを家庭裁判所に行う

申し立てをした家庭裁判所から「○月○日に遺言書の検認手続きを行います」という検認期日の通知がくる

決定した期日に、遺言書の保管者が遺言書を持参し、相続人の立会いのもと遺言書の開封と検認が行われ、検認調書が作成される

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