相続や贈与とは違う!理解しておきたい遺贈について徹底解説

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遺贈

「遺贈」という言葉をご存知ですか。
聞いたことはあるけれど、明確な意味はわからないという方は多いのではないでしょうか?

この「遺贈」の意味を正しく理解し、適切に使用しなければ、後々とんでもないことがおきてしまうことがあります。

今回は、この「遺贈」について、ご説明していきたいと思います。

1.遺贈とは

1-1.遺贈の意義

遺贈とは、遺言により特定の人に財産の全部又は一部を無償で譲与することを言います。
法定相続人以外の人は亡くなった方の相続財産を受け継ぐことはできません。

しかし、遺贈をすることにより法定相続人だけではなく、法定相続人以外の人や法人にも財産を譲与することができます。

1-2.遺贈の種類

遺贈には2つの種類があります。
それぞれご紹介して行きたいと思います。

1-2-1.包括遺贈

包括遺贈とは、相続財産の全体に対する配分割合を示した遺贈のことです。
例えば、「すべての相続財産のうち3分の1をAに遺贈する」というような場合です。

包括遺贈の場合、プラス財産だけではなく、遺言者に借金等のマイナス財産があった場合も指定された割合に従って受け継ぐことになります。

上記の例えの場合ですと、Aはプラスの相続財産の3分の1を取得するだけではなく、マイナスの相続財産の3分の1も相続することになります。

包括遺贈で財産を受け継ぐ人は、相続人と同一の権利義務を有します(民法990条)。
その為、法定相続人でない人も、相続人の一人として他の相続人と共に遺産分割協議をしなければなりません。

1-2-2.特定遺贈

特定遺贈とは、特定した相続財産を譲与することです。
例えば、「○○の土地をAに遺贈する」「○○銀行の預貯金をBに遺贈する」というような場合です。

特定遺贈では包括遺贈と異なり、特に指定がない限り遺言者にマイナス財産があったとしても、これを相続することはありません。

特定遺贈で財産を受け継ぐ人は、包括遺贈で財産を受け継ぐ場合と異なり、遺産分割協議が不要です。

2.間違いやすい用語

2-1.贈与との違い

贈与と遺贈の違いは、財産を譲与する人(贈与者)が生きているうちに譲与したかどうかという点があげられます。

贈与者が生きているうちに財産を譲与した場合を贈与といい、贈与者の相続が発生した後に財産を譲与した場合を遺贈といいます。

また、贈与は、財産をあげる人(贈与者)と財産をもらう人(受贈者)双方の合意のもと成立するという違いもあります。

2-1-1.死因贈与との違い

死因贈与とは、贈与者の相続が発生したことを原因として受贈者に財産を譲与する契約のことです。
例えば、「私(贈与者)の相続が発生したら、(受贈者に)1,000万円を贈与する」というような場合です。
贈与者の相続が発生した後に無償で財産を受け継ぐことができる点は遺贈と同様です。

遺贈との大きな違いは、死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意が必要となる点です。
つまり、贈与者が生前に受贈者に対して「私の相続が発生したら、1,000万円をあげます」ということに対して、受贈者が承諾することによって成立する契約です。

一方、遺贈は贈与者が遺言書に財産を受贈者に遺贈する旨の記載をするだけで成立し、受贈者の承諾は不要です。
つまり、贈与者の一方的な意思表示のみで成立します。

このように、死因贈与は契約の一種の為、相続や遺贈のように贈与者の相続が発生後に放棄することはできません。

また、遺贈は遺言書に記載することが必要ですが、死因贈与はあくまでも契約となる為、口約束でも成立します(通常は契約証書等にすることが多いです)。

さらに、未成年者と死因贈与契約を結ぶ場合には、親権者の同意または代理が必要となります。

2-2.相続との違い

相続は被相続人の相続が発生した瞬間から自然に発生します。
一方、遺贈は、遺言書がなければ発生することはありません。

2-2-1.「相続させる」「遺贈する」の違い

遺言書に「○○の土地をAに相続させる」と書かれていた場合、相続人の間で遺産分割協議をすることなく、指定された人(ここでいうA)が財産を受け継ぐことができます。
しかし、「相続させる」という文言を使う場合には注意が必要です。

「相続させる」という文言を使う場合には、財産を受け継ぐ人は法定相続人でなければなりません。
法定相続人ではない第三者や法人に「相続させる」旨の遺言をすることはできません。

遺言で法定相続人以外の人に財産を取得させる為には、「遺贈する」という文言を使う必要があります。
ここを間違えてしまうと、その部分については法律上有効な遺言とされず、その財産については相続人全員で遺産分割協議をしなければならないこともあります。

そもそも、遺言書は遺言者の相続発生後に遺産分割について相続人同士で争うことを回避することや法定相続人以外の人に財産を遺したい場合に作成されることが多いです。

しかし、誤った表現をした為に、相続人全員で話し合いを行わなければならず、争いを回避する目的を果たすことができないことや、本来財産を遺したかった方に遺すことができない結果となってしまう場合があります。

一方、法定相続人に対しては「相続させる」「遺贈する」どちらも使うことができます。ただし、手続きをするにあたって若干の違いが生じる場合があります。
詳しくは、弁護士・司法書士等の専門家にご相談下さい。

3.遺贈で財産を取得した場合の税金

3-1.相続税

遺贈で財産を承継した人には、贈与税ではなく、相続税が発生します。
ただし、相続税は相続財産が基礎控除額を超えた場合にのみ発生します。

例えば、被相続人の法定相続人が1名だった場合、被相続人の財産のうち3,600万円(基礎控除額=3,000万円+(600×法定相続人の数))までは相続税がかかりません。

法定相続人以外の人が遺贈で受け継いだ相続財産も相続税課税価格としてその他の被相続人の財産と合算されて算出されます。

これが基礎控除額を上回れば、法定相続人だけではなく、遺贈により財産を取得した人も相続税を支払わなければなりません。

また、遺贈で財産を承継する人が被相続人の一親等の血族(子・両親)及び配偶者以外の人である場合、相続税は2割加算されます。

つまり、被相続人と血縁関係のない方だけではなく、被相続人の兄弟姉妹や被相続人の孫(被相続人の養子となっている孫も含み、代襲相続の場合を除く)等が相続財産を承継する場合は、相続税が2割加算されるので注意が必要です。

3-2.登録免許税

登録免許税とは、不動産の名義変更を行う際に国に支払う税金のことを言います。

通常、法務局へ登記申請をする際に支払います。
登録免許税は固定資産税評価額に税率をかけることによって算出します。
税率は、登記の原因によって異なります。

例えば、相続を原因とする場合、固定資産税評価額に0.4%かけた金額が登録免許税となります。
一方、遺贈を原因とする場合、固定資産税評価額の固定資産税評価額に2%かけた金額が登録免許税となります。
相続を原因とすることができるのは、法定相続人が相続する場合です。

一方、遺贈を原因とする登記をしなければならないのが、法定相続人以外の人が財産を受け継ぐ場合です。
その場合には、相続を原因とする場合と比べると税率が5倍高くなります。

なお、遺言書で法定相続人に対して遺贈するという文言が使われていた場合の登記原因は相続となる為、固定資産税評価額の0.4%が登録免許税額となります。

3-3.不動産取得税

法定相続人が相続もしくは遺贈によって不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりません。
一方、遺贈によって法定相続人以外の人が不動産を取得した場合は、包括遺贈と特定遺贈によって異なります。

包括遺贈の場合には不動産取得税はかかりませんが、法定相続人以外の人が特定遺贈で財産を取得した場合には不動産取得税がかかります。

4.遺贈を放棄する場合の手続き

財産を受け継ぎたくない場合は、放棄することができます。
包括遺贈の場合と特定遺贈の場合で放棄手続きに違いがあります。

包括遺贈の場合、遺贈の放棄をするには相続放棄と同様、包括遺贈で財産を受け継ぐ人が遺言者の相続を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。

一方、特定遺贈の場合、特定遺贈で財産を受け継ぐ人は、いつでも遺言執行者又は相続人に放棄する旨の意思表示をすることにより、遺贈を放棄することができます。
包括遺贈のように、遺言者の相続が発生した時から3ヶ月以内という期限や家庭裁判所へ申述する必要はありません。

遺贈

※遺言書に負債を受け継ぐ旨の記載があった場合等は受け継ぐことがあります。

5.注意点

いずれの遺贈の場合も、受遺者が遺言者より先に死亡すると遺贈の効力は生じません。
つまり、遺贈は代襲相続しません。
通常通り、遺言者の相続人が相続します。

そのため、遺言書に受遺者が遺贈の効力発生前に死亡した際には、この財産を誰に遺贈するかを記載する(補充遺贈と言います)こともあります。

また、遺留分を侵害する遺贈をした場合、他の相続人が遺留分減殺請求を行使すれば、遺留分を侵害している分の財産を返さなければなりません。

6.まとめ

今回は遺贈についてご紹介しました。
遺贈では、法定相続人に特定の財産を譲与することができ、また、本来相続財産をもらう権利がない人にも財産を譲与することができます。
その為、遺贈を検討される方も多いのではないでしょうか。

遺贈をする場合には、遺言書で書かなければならないことや法定相続人の遺留分を考えた遺贈をすること等、注意をしなければならない点がいくつかあります。

「相続」「贈与」「遺贈」等、様々な相続に関する用語がありますが、違いをしっかり認識して正しく使って頂きたいと思います。

著者:山﨑 あすか(相続診断士)
監修:赤坂トラスト総合事務所 市倉 伯緒(司法書士)

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