
投資で調べているとよく目にするのが「ドルコスト平均法」ですが、どのようなものなのか、知らない方も多いのではないでしょうか?
ドルコスト平均法は投資方法の1つで、低リスクで着実に資産を増やしていけるため、初心者におすすめです。
今回はドルコスト平均法のしくみや活用方法、注意点を詳しく解説します。
しっかりと理解し、リスクを抑えた運用をしましょう。
1.ドルコスト平均法(定額購入法)とは
ドルコスト平均法とは、一定の金額で定期的に外貨や株式、債券などの投資商品を購入していく投資方法です。
1-1.ドルコスト平均法の発祥
仕組みを理解する前に、なぜ「ドルコスト平均法」と呼ばれているかと考えると、この仕組みの目的が見えてきます。
発祥は1940年代にアメリカにて、投資のリスクを減らす目的で名前がついたと言われています。
アメリカ表記は「ドルコストアベレージング」(=Dollar-Cost Averaging)つまり、「ドルのコストを平均化しましょう」という意味になります。
これは、イギリスの場合は「ポンドコストアベレージング」と呼ばれています。
この仕組みが、日本に入ってきたタイミングで、そのまま和訳されてしまい、ドルコスト平均法となったわけですが、本来でしたら「円コストアベレージング」(=円コスト平均法)になるべきでした。
仕組み上、毎月定額で同じモノを購入するため、別名「定額購入法」とも名付けられていますが、その目的は「コスト」つまり購入費用を平均化しよう、ということです。
1-2.毎月定額なのは、口数ではなく金額
大事なのは、定量購入ではなく、定額購入ということです。
実際に、数字で見てみましょう。
(例)下記の流れで株価が変動した場合、AさんとBさんどちらのコスト(一口あたりの購入費用)が割安でしょうか。
Aさん:毎月1万口を買う
Bさん:毎月1万円分の株式を買えるだけ買う
1月目 | 2月目 | 3月目 | 4月目 | 5月目 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
Aさん 毎月定量購入 (1万口) |
10,000円 | 7,000円 | 12,000円 | 6,000円 | 11,000円 | 46,000円 50,000口 (平均9,2000円/万口) |
Bさん 毎月定額購入 (1万円) |
10,000口 | 14,285口 | 8,333口 | 16,666口 | 9,090口 | 50,000円 58,374口 (平均8,565円/万口) |
最終的に、1万口あたりの費用を見ていくと、Bさんの方が安く購入できていることがわかります。
株式投資などは、「口数×価格」にて資産価値が決まってきます。
Aさんは、定量で買うことで、購入額を平均化し、Bさんは価格を定額にすることで、口数を平均化していきます。
別の言い方をすると、同額で購入を続けていくので、株価の下降局面は、欲しい株式が割安でたくさん買える時期、株価の上昇局面は、買いだめておいた株式が一気に跳ね上がる時期という考えができます。
1-3.どのような投資先に向いているか
基本的には、積立投資で負けないための鉄則になるので、どんな積立投資にも活用ができます。
どんなに少額でも高額でも、購入期間が多少バラバラでも、定額で購入することで平均購入単価は平準化されていくのです。
ただし、より効果を出すためには、下記を意識することも大事です。
・価格変動リスクの高いもの(先読みづらいもの)
・購入単価が低いもの(細かく購入可能なため)
・長期投資ができるもの(15年以上など)
・破綻リスクが低いもの(値下がりは良いが、上昇を将来的に見込めるもの)
2.ドルコスト平均法の活用方法
2-1.為替リスクヘッジに使える
定額購入だと、一般的には株式など何かを購入する、という意識になりますが、円ドルの為替でも実は活用が可能です。
円ドル相場は、毎日変動し、先読みも難しいですが、破綻リスクは非常に少ないでしょう。
毎月円預金口座から、ドル預金口座などに為替変換をするだけで、為替価格が平均化されていきます。
2-2.海外オフショア投資にも活用可能
海外オフショア投資のような、ドルやポンドで購入し、かつ株式や債券の購入をするものは、ドルコスト平均法での購入方法をおすすめします。
個別株だけを買うような海外オフショア投資商品は少ないので、大きな損にもなりにくく、破綻リスクも非常に少ないでしょう。
2-3.忙しい人ほど利用すべき
通常、投資を行う際は投資対象を逐一チェックし、株や価値が上がるか下がるかを見極めて売買を行います。
投資を本業としているなら良いのですが、会社員の本業や事業が忙しい人は、逐一チェックすることは難しいですし、本業に支障が出てしまいます。
ただし、ドルコスト平均法での購入方法にすれば、中長期での投資を前提とするので、投資先の値動きを常にチェックする必要はなく、たくさんの精神的・時間的メリットを受けることができます。
<ドルコスト平均法を活用するメリット>
・逐一値動きをチェックする必要がない
・売買のタイミングを見極める必要がない
・値上がり値下がりを気にしなくて済む
3.注意しておきたいこと
ここまで聞くと、ドルコスト平均法はデメリットがないように思えますが、もちろん存在します。
その特徴から、商品や仕組みごとにそれぞれ違うデメリットもありますので、十分把握しておきましょう。
3-1.NISAには向かない
NISAは投資期間が10年と比較的中期になります。
株式運用においてドルコスト平均法を活用する場合、10年ではあまり効果が出ない可能性もあります。
NISAなどの短期売買益に対する非課税枠は少額でコツコツ買うよりは、短期での運用益を狙うほうが効率的でしょう。
3-2.国内株式や投資信託をする場合は手数料がかかる
国内の個別株式や、投資信託を購入する際には、必ず「購入時手数料(買付手数料)」が必ずかかります。
ドルコスト平均法は、少額で細かく購入をしていく仕組みなので、購入の度に手数料がかかると、投資効果としては非常に薄くなってしまいます。
3-3.短期投資には向かない
ドルコスト平均法の仕組み上、価格変動があるものを長期でコツコツ購入を行うから、平均購入単価を下げることが可能になります。
そのため、短期投資の場合は、値上がりや値下がりがどちらかに偏っている場合は、ドルコスト平均法の効果は薄くなるでしょう。
つまり、値上がり局面だけでは意味がなく、値下がり局面だけでも意味がなく、値上がりと値下がりを両方経過するような期間での活用をおすすめします。
4.まとめ
様々な投資手法が世の中にはありますが、ドルコスト平均法は比較的低リスクで少額からも始められますので会社員の初心者投資家には最適な手法だと言われます。
ただし、必ずしも利益がでるわけでもなく、注意点をしっかりと意識した上で活用をしましょう。
特に、期間や投資先の設定で迷われた場合は、総合FP事務所に一度ご相談されることをおすすめいたします。
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