遺言書の内容を確実に実現させる!遺言執行者の重要性

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遺言書の存在をご存知の方は多くいらっしゃると思いますが、「遺言執行者」というのも遺言書作成には重要なポイントになってきます。

遺言執行者とは簡単に言ってしまうと、遺言書の内容を実現するために具体的な手続きを行う人(または法人等)のことです。

遺言書を作成する方は、この遺言執行者を指定する事ができます。もし、ご自身が遺言書の作成に取り掛かったときに、作成された遺言書を確実に実現したいと思っている方は遺言執行者を指定するべきです。

ではなぜ遺言執行者が必要になるのか。

今回は、遺言執行者の必要性や仕事内容、また、ご自身が遺言書にて遺言執行者に指定されていた場合にはどうすれば良いのか、などについてご説明させていただきます。

遺言執行者の存在は、意外と見落とされがちです。

是非、この記事を読んで遺言執行者の重要性をお含みおきいただければと思います。

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 1 遺言執行者とは

1-1遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言を作成した人が亡くなって、相続が発生した際に、遺言書に書かれていた内容を実現するために遺産分割や名義変更などの相続に必要な手続きを行う人のことです。

要するに、亡くなった方の意思を実現する人のことを言います。

絶対に遺言執行者を遺言書で指定しなくてはならない、という決まりはありませんが、遺言を作成した人が、遺言の内容や相続人の状況に応じて指定するかを決めます。

遺言書を作成する方は、ご自身が亡くなった後に、揉めごとになったりして遺言書の内容が実現しなかったらどうしよう・・・と不安に思われたりするかもしれません。

ですが、民法では亡くなった人の意思が一番に尊重されます。遺言書の効力はとても強いのです。そして、その遺言書の内容を確実に実行させるために、遺言執行者の制度があります。

遺言書を作成する方は、亡くなった後に相続手続きをトラブルなく速やかに行うために、遺言執行者を指定することができます。

1-2.遺言執行者は重要なのか

通常、相続手続きは相続人全員で実行することが一般的ですが、相続人が複数いる場合、利害関係や物理的な要因から足並みが揃いにくいことがあります。

相続が発生してから、申告・納税までを10ヵ月以内に完了させなければならないことから、なるべく揉め事を避け、スムーズに手続きを進めていく必要があります。

そのような場合のために、相続人の代わりに遺言内容を実行する人を決めておくと便利です。

遺言執行者の指定は、必ず必要という訳ではありません。ですが、相続人の廃除や子の認知をする場合の遺言には必須になります。

それ以外の遺言内容の場合であれば、任意での指定になります。

1-3.指定の仕方

遺言執行者の指定は、遺言書で指定しなければなりません。

遺言執行者の指定を第三者にお願いするという遺言を書くこともできます。

図1

また、遺言書にて遺言執行者の指定がなかった場合には相続人などが家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てを行うこともできます。(3で詳しく解説します)

相続発生後に相続人の負担を少しでも減らしたいと考えている方は、遺言にて執行者を指定しておきましょう。

1-4.遺言執行者になれる人

遺言執行者は、未成年、破産者を除けば基本的に誰でもなることができます。また、法人(信託銀行など)であっても構いません。相続人や受遺者(※)でもなることはできますが、遺言執行者は利害関係が複雑にからむことが多く、財産の分割内容によっては相続人間で揉めごとになり、手続きがスムーズに進まないなどといった事例もよくあります。

※受遺者とは…遺贈を受ける人のことをいいます。遺言によって財産を受け取る指定をされた人のことです。

相続人でない人でも、遺留分を侵さない範囲で遺言書によって財産を遺す指定されていた場合、財産を「遺贈」という形で受け取ることができます。

特に遺言書での分割指定で、紛争になりそうなことが危惧されるのであれば、相続に利害のない第三者、そして経験や知識を持っている専門家を遺言執行者に指定することをおすすめします。

専門家は手続きのみであれば司法書士や税理士が選任されることが多いですが、裁判などに発展する可能性が高い場合は、弁護士を選任することが多いようです。

1-5.遺言執行者の仕事内容

遺言執行者に指定された人は、相続財産の管理や、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持つことになります、と民法で定められています。

つまり、遺言執行者が指定された遺言書が効力のあるものと認められた場合には、相続人がどれだけ拒もうと、原則として、相続財産の処分やその他、遺言の執行を妨げるような行為をすることはできないのです。

では、遺言執行者の仕事内容は具体的にどのようなものなのでしょうか。

例えば以下が挙げられます。

・遺言執行者に就任した旨を相続人や受遺者全員に通知する。

・財産目録(相続財産のリスト)を作成し、相続人・受贈者へ交付する。

・受遺者に対して、遺贈を受けるかどうか確かめる。

・遺言人よる認知があった場合、就任してから10日以内に市町村役場に戸籍の届出をする

・相続人の廃除や、廃除の取り消しをする旨の記載があった場合、家庭裁判所に申し立ての手続きをする。

・遺言書の内容に従い、不動産の名義変更や預貯金の解約や払戻し、その他財産の名義変更を行う。

・遺言書の内容に従い、財産を引き渡す。

・相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする。

・全ての手続きが終了したら、相続人や受遺者に業務が完了した旨を通知する。

1-6.遺言執行者を指定するメリット

遺言執行者を指定すると、遺言の内容を確実に実行できる、相続手続きをスムーズに進めることができる、相続人間での紛争が予測される場合に備えることができる、などの点があります。

また、不動産の名義変更は遺言書に遺言執行者が指定されていなかったとしても手続きすることは可能です。ですが、預貯金の場合は、遺言書があっても遺言執行者が指定されていないと金融機関は相続人全員の署名と実印の押印、印鑑証明書の提出を求めるケースがほとんどです。

その点、遺言執行者はその手続きを単独で行うことができます。(※金融機関によって解除の要件が違う場合もあります)

2.遺言執行者に指定されたら

2-1.もし自分が遺言執行者に指定されたら

もし、自身を遺言執行者に指定する旨の内容が記載されていた場合、執行者になるかならないか、他の相続人や、その他利害関係者に遺言書の写しを添えて、その旨を告知します。

2-2.相続人が反対をすることはできるか

遺言執行者に指定された方が、任務を全く行わない場合などには、その相続の利害関係者(相続人や受遺者)が遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求することができます。

その理由が正当な理由であり、家庭裁判所の許可が下りれば、解任ができます。

2-3.遺言執行者を辞退することはできるか

ひとたび遺言執行者として指定や選任をされた場合でも、遺言執行が客観的に見て困難など、正当な理由があれば、家庭裁判所の許可を得てその任務を辞することができます。

辞任を希望される方は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所にその旨を申請する必要があります。

なぜ辞任にも制限が生じるかというと、遺言執行者だけの判断でされた一方的な辞任によって、相続人に損害を与えないためです。

3.遺言執行者の指定がなかった場合

3-1.どのように手続きを進めていけば良いのか

遺言書に遺言執行者を指定する旨の記載がなかった場合や、指定されていた方が亡くなっていたり、辞退をされた場合、相続人や受遺者は家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。

3-2.選任手続きの仕方

遺言執行者の選任申し立てをする場合、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所にて申し立ての手続きをします。

3-3.必要な費用

・執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分

・連絡用の郵便切手(通知される家庭裁判所により異なります)

3-4.必要な書類

・執行者の申し立て書

・遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本

・遺言執行者候補者の住民票または戸籍附票

・遺言書の写し、または遺言書の検認調書の写し

・利害関係を証する資料(親族の場合、戸籍謄本)

4.遺言執行者が必要な場合

遺言執行者が必ず必要な場合があります。それは、①相続人の廃除及びその取り消し②認知の2つの場合です。

必ずしも必要でない場合でも、以下の様な場合には指定の要否を検討することをおすすめします。

・相続人が、兄妹姉妹などのように多い場合

・揉めそうな場合

・遺贈を考えている場合

・銀行口座が多かったり、不動産登記が必要など、手続きが多岐に渡る場合

・寄付をする場合

4-1.相続人の廃除及びその取り消し

生前に親族間で揉め事などがあり、被相続人の方が相続人の中にどうしても財産を遺したくない!と思っている場合、遺言書にその意思を遺すことができます。

ですが効力のある遺言書に「相続させない」と記載したとしても「遺留分」という最低限の財産を受け取る権利が保護されています。

その遺留分も含めて一切の相続権をなくすことができるのが「相続人の廃除」です。

ただしこれは、家庭裁判所に審判を申し立て、認めてもらってから初めて廃除ができるものです。

相続人の廃除の旨が遺言書に記載されていたのに、遺言執行者の指定はなされていなかったとします。その場合、他の相続人が廃除の記載をされていた相続人に対して廃除の請求を行うことはできません。排除の請求は、遺言執行者のみができる業務です。

そうなると遺言執行者の選任申し立てを行わなければならず、相続手続きに時間がかかってしまいます。

なお、相続人廃除の請求が認められることは、実務上は非常に少なくなっています。相続人の地位を奪うことは、憲法29条3項に定める国民に対する財産権の保障に関する条項と関連するため、裁判所としてはかなり厳格な要件を求めるからです。

4-2.子の認知

仮に、被相続人に愛人がいたとします。その愛人との間に子が生まれたとして、その子を被相続人が遺言書にて「認知する」と意思を遺したとします。

その時に、子の認知手続きを行えるのは、遺言執行者のみです。

子の認知となると、おそらく他の相続人の方と揉め事になることが予測されますので、遺言書を遺される場合には遺言執行者の指定をしておくべきでしょう。

まとめ

今回は、遺言執行者とは何なのか、その業務内容や重要性、遺言執行者の指定がなかった場合にはどうしたら良いのか、また、遺言執行者が必要な場合のケースについてご紹介させていただきました。

財産を遺される方は、ご自身の気持ちを託すために遺言書を遺したいと考える方は多くいらっしゃいます。ですが、そこには遺言執行者という役割が重要になってくるという点は盲点のようです。

特に、自筆証書遺言書を作成されていた場合、この遺言執行者の記載が抜けているケースをよく目にします。

指定されているのとされていないのとでは、相続発生後の手続きのスピード感にかなり差が出てきます。相続発生後、相続人の方の負担を少しでも減らすために、今回の記事をご覧になりこれから遺言書を作成される方はご留意していただき、また、すでに遺言書を作成されていらっしゃる方はチェックをしていただければと思います。

著者:相続ハウス 栗田 千晶(相続診断士)
監修:司法書士法人おおさか法務事務所

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