遺産分割の対象・非対称となる財産と5つの分割方法

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遺産分割にはどのような方法があるのか、ご存じでしょうか?

故人の財産の次の持ち主を確定する作業であるのが「遺産分割」です。
しかし、故人の財産の中には土地や不動産など、簡単に分けることができないものもあり、相続人の間で財産を円満に分け合うためには、限られた時間で納得のいく話し合いをする必要があります。

今回は、遺産分割の流れや注意点などについて説明します。
相続人同士でトラブルを引き起こさないようにするためにも、財産の分け方についてしっかりと押さえておきましょう。

1. 遺産分割の対象になる財産、対象にならない財産とは

相続では、故人の財産として権利や義務を全て引き継ぐということになっています。
その中でも、相続人の間で分割の対象になるものとならないものがあります。

1-1.遺産分割の対象になるもの

遺産分割の対象になるものには、プラスの財産とマイナスの財産があります。

1-1-1.プラスの財産

プラスの財産としては、宅地や農地、家屋などの不動産、借地権や借家権などの不動産に関する権利や現金・預金や株式・投資信託などの金融資産、貴金属・自動車・骨董品などの動産、著作権・商標権・電話加入権などの権利、ゴルフ会員権や生命保険に関する権利、故人が事業を営んでいた場合は機械・商品・原材料・売掛金・未収金などがあります。

1-1-2.マイナスの財産

マイナスの財産としては、住宅ローンやマイカーローンなどの借入金、他人の借金の連帯保証人としての債務、未払いの所得税や固定資産税などの税金、クレジットカード決済をした分の未払金、病院での治療費などの未払金などがあります。

1-2.遺産分割の対象にならないもの

遺産分割の対象にならないものには、運転免許や医師免許・弁護士資格などの故人しか使うことのできないもの、お墓や仏壇・位牌・神棚などの先祖を祀るためのもの、故人以外が受取人に指定されている生命保険金などがあります。

特に生命保険金の扱いは、注意が必要です。
故人が契約者・保険金受取人となっていた場合は遺産分割の対象になりますが、故人が契約者・故人以外の人が保険金受取人になっていた場合は、指定されている個人の財産となるため、遺産分割の対象になりません。

一方で相続税を計算する場合には、故人以外が保険金受取人に指定されていたとしても課税される対象になります。

2. 遺産分割の方法

故人がきちんと書いた「遺言」があれば、その遺産分割方法は最優先されます。
遺言がない場合、遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれだけ相続するか、法定相続分を目安にして決めなければなりません。

遺産分割方法には、遺言に沿った分割の他に、共有分割、現物分割、換価交換、代償分割という4つの方法があります。

それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、財産の内容や金額、相続人の人数や組み合わせなどに合わせて考えることが必要です。

2-1.遺言による遺産分割

遺言が残されている場合は、その内容に沿った遺産分割が優先されます。

遺言の内容によって、特定の子どもにすべての財産を相続させたり、相続人ではないが介護してくれた嫁に財産の一部を相続させるなど、法定相続分とは異なる分割を指定することや相続人以外の人へ財産を譲り渡すこともできます。

しかし、分割の割合が法定相続分と大きく異なる場合など、相続人の間でもめてしまうこともあります。

不公平な分割割合となる遺言を残す場合は、自分が思っていることを「付言事項(ふげんじこう)」として添えるなど、トラブルとならないよう、配慮をすることも必要でしょう。

2-2.共有分割

共有分割とは、複数の相続人で持分を決めて財産を共有する分割方法です。

公平な分割ができ、土地などの財産をそのまま残すことができますが、個々の相続人が自由に財産を処分することができず、相続人が死亡すると権利関係がさらに複雑になります。

2-3.現物分割

現物換価とは残された財産をそのまま分割する方法です。

分割の手間がかからず、財産をそのまま残すことができますが、不動産と現金などで金額差が大きいと公平に分割できず、争いのもとになることもあります。

2-4.換価交換

換価分割とは、すべての財産を現金に換えてから分割する方法です。

不動産などの分割しにくい財産も公平に分割することが可能ですが、売却に手間と費用がかかり、売却益が出た場合には所得税や住民税が課税されます。

2-5.代償分割

代償分割とは、一部の相続人に法定相続分よりも多くの財産を引き継ぎ、その相続人が他の相続人に対して代償金を払う方法で、親と同居している子どもが自宅をそのまま相続する場合などに活用されます。

土地や家を手放すことなく引き継ぐことができますが、代償分割を行うためには代償金を支払う能力がないと実現が難しくなります。

3. 遺産分割協議とは

遺言書がない場合などに誰がどの財産をどれだけ相続するか、遺産分割をするための話し合いを「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議には相続人全員の合意が必要で、相続人全員が合意しない場合は無効となり、やり直しとなってしまいます。

遺産分割協議でまとまった内容を書き記したものを遺産分割協議書といいます。
相続税の申告や故人の銀行預金の名義変更や不動産の相続登記などでも提出を求められるので作成が必要です。

遺産分割協議には期日がありませんが、相続税の申告期限は、相続開始を知った日から10ヶ月以内と定められており、相続税の申告や納付をする際には、遺産分割協議書を添付する必要があるので、相続税が発生する場合は期限までに遺産分割協議を終える必要があります。

相続開始から10ヶ月以内に全員が合意した遺産分割協議書を作成するためには、まず協議をリードする人を決めてスケジュールを立て、いつまでに財産の総額を把握できるか、いつまでに戸籍調査など相続人を明確にできるか、そしていつ頃、分割方法について話し合うか、目安をつけて行うようにしましょう。

相続人の間でどうしても合意できない場合は家庭裁判所による調停・審判が必要になることもあるので、早めに準備することをおすすめします。

4.まとめ

相続人の全員が合意して円満な相続を実現するのは大変なことです。

特に相続人が多い場合や財産のほとんどが不動産など、簡単に分けられないものである場合などは公平に分割するのは困難です。

財産をどうやってわけたらいいのか、迷われていたり、何から始めていいか見当もつかないという方、トラブルになることを懸念されている方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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