空き家を相続した場合の3つのリスクと2つの対策方法

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空き家を相続した場合にはどうしたらいいのか、その対策方法を知りたい方も多いのではないでしょうか?

相続が発生すると相続人はさまざまな種類の財産を引き継ぐことになり、中でも、空き家を相続した場合は難しい問題を抱えることになることもあります。

被相続人が住んでいた住宅と敷地を相続しても、引っ越しをして自分で住むことができれば空き家にはなりませんが、移り住むことができない場合は空き家になってしまい、さまざまなリスクが生じる可能性があります。

そこで、今回は空き家を相続した場合に起こりえる各種リスクとその対策についてご紹介します。

1. 空き家を相続した場合のリスクとは

核家族化が進んだことによって、両親は田舎に住んでいて子供は都会で別の住宅を取得して生活しているといったケースも多くなっています。
そういったケースにおいて両親が死亡すると、田舎にある住宅は空き家となり、子供はその空き家を相続することになります。

空き家を相続した場合にはさまざまなリスクが存在しますので、どんなリスクがあるか、どのように対処すべきかを知っておく必要があるでしょう。

空き家を相続した場合のリスクは主に3つあげられます。

1-1.空き家を放置することのリスク

空き家を放置することによって近隣に迷惑をかける可能性があることです。

空き家状態になっていると不審者が住みつく、火災が発生してもすぐに気づかず近隣を巻き込んだ大火災に発生する可能性があるなど社会問題にまでなっています。

万が一、空き家が原因で近隣に対して損害を与えた場合は、損害賠償責任が生じる可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。

1-2.空き家にかかる税金のリスク

固定資産税や都市計画税などの税負担の増加が挙げられます。

実際に人が住んでいる住宅の敷地の場合は、固定資産税が一定の面積までは6分の1、超えた面積については3分の1にまで軽減される特例があります。
都市計画税の対象となっている場合でも、3分の1もしくは3分の2に軽減される特例の適用があります。

しかし、空き家状態になるとこの軽減措置の適用がなくなりますので、固定資産税や都市計画税の負担が増加することになります。

空き家状態で放置していると家賃収入などで税負担をカバーすることもできませんので、経済的な負担が大きくなる可能性が高いことを知っておく必要があります。

1-3.空き家の解体費用のリスク

解体費用の負担が生じるリスクです。

空き家が近隣の安全などを阻害する存在になっている場合は、行政によって強制的に建物が撤去されてしまう可能性があります。

その場合は、解体費用を負担することになりますので、この点もリスクとして認識しておくべきでしょう。

こういったリスクを回避するためにも早めに何らかの手を打っておくことをおすすめします。

2.売却による空き家対策

空き家状態を解消するための方法として、建物だけを売却する、もしくは土地と建物をセットで売却する方法が挙げられます。
場合によっては、建物を撤去した上で更地の状態で売却することも考えられます。

いずれにしても、売却すれば空き家の所有者でなくなり、空き家を所有しているリスクを回避できます。
空き家で火事が生じるリスクもなくなりますし、固定資産税などの負担も必要なくなります。

2-1.ポイント

建物については、空き家状態が長くなればなるほど資産価値は減少してしまいますので、売却する場合は、できるだけ早めに決断することをおすすめします。

また売却にあたっては、住宅や敷地の相場をしっかり把握した上で、信頼できる不動産業者に売却の仲介を依頼することがポイントです。

価額に関しては国土交通省が運営している不動産取引情報検索サイトなどで、ある程度の相場を把握することは可能ですし、複数の不動産業者に査定を依頼する方法で相場を知ることも有効な方法です。

空き家の状態によっては、解体して更地にしたほうが有利な価格で土地を売却できることもありますが、空き家をリノベーションして建物の資産価値をアップした上で売却する方法も検討してみるとよいでしょう。

2-2.合わせて活用したい特例

地価の上昇などによって土地の売却益が大きくなると、所得税や住民税などの税負担も大きくなる可能性があります。

そういった場合は、被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円特別控除の特例を利用することをおすすめします。

この特例は、所得税の計算上、売却益から3,000万円が控除でき、税負担を大幅に軽減できる点が特徴です。
以前は、実際に人が住んでいる居住用財産だけが対象でしたが、平成28年4月1日以降の売却であれば空き家であっても3,000万円特別控除の特例が活用できることになりました。

ただし、相続の開始があった日から3年目の12月31日までの売却であること、原則として昭和56年5月31日以前に建築されたものであること、マンションなどの区分所有建物には活用できないことなどの一定要件を満たす必要があります。

活用にあたっては、税務署や税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

3.賃貸経営による空き家対策

空き家の対策として賃貸経営を行う方法があります。

敷地が広ければ、空き家を取り壊してメゾネットの賃貸住宅や賃貸アパートなどを建設して賃貸経営を行うこともできます。

空き家状態では維持費がかかるばかりですし、管理も十分に行われず建物が朽ちていくことになりが、賃貸経営を行うことによって維持費をカバーできる収入が得られたり、適切な管理が行われ建物の資産価値を維持したりすることも可能になるでしょう。

ポイント

賃貸経営を行う場合はいくつかのポイントに注意する必要があります。

賃貸需要があるかどうかを見極める

空き家のある場所に賃貸需要があるかどうかを見極めることが大切です。

リノベーションして貸家にするにせよ賃貸物件を新たに建設するにせよ、借りてくれる人がいなければ賃貸経営は破たんしてしまいます。

固定資産税などの維持費をカバーする収入が得られないばかりか、追加の維持管理費や広告費用、リノベーション費用または賃貸物件建築コストを回収することができなくなってしまいます。

一軒家としての賃貸需要があるかどうか、アパートとしての需要があるかどうかなどを十分調査した上で賃貸経営を始めるようにしましょう。
場合によっては駐車場経営を検討するという選択肢も有効かもしれません。

賃貸経営のノウハウ

不動産賃貸による所得は不労所得ともいわれていますが、決して何もしないで利益が得られるというわけではありません。

空室期間をできるだけ短くするために魅力的な物件にする努力が必要ですし、入居者を満足させるために優秀な管理会社を選ぶことも大切です。

一括借り上げで家賃保証をしてもらい、すべてを不動産会社にお願いして自分は何もしないという方法もありますが、この方法も万能ではなく、家賃の引き下げリスクはゼロではありません。

空き家対策として賃貸経営を行う自信がない場合は、素直に売却したほうがよいかもしれませんので、安易に賃貸経営を始めないほうがよいでしょう。

4.まとめ

相続によって空き家を取得した場合は、近隣に迷惑をかけてしまうなど社会問題や賠償問題になるリスクや税金を含めた維持管理費の負担リスク、さらには行政による強制撤去費用を負担するリスクなどが生じます。

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